健康志向ブームの高まりにより、サプリメントを摂取している人は増えています。サプリメントを摂取する理由はさまざまです。病気の予防・疲労回復・症状の改善・美容・ダイエット・老化防止などを目的として、自分に必要な栄養素のサプリメントを選ぶ人が多いです。

しかし、サプリメントの効果を感じられず継続できないという人も多いのも事実です。

サプリメントは以下の3種類に分けられます。

①ビタミン・ミネラル・アミノ酸・脂質など身体を構成するベースの栄養素(マルチビタミン・DHA・EPAなど)

②身体の抗酸化力や免疫力を高め、調整機能を整えるもの(ビール酵母・酵素・ローヤルゼリーなど)

③特定の症状回復のためのもの(イチョウ葉エキス・ウコン・マカ・ブルーベリーなど)

機能の面からこのように分類されます。サプリメントを摂取するうえで、基本となるものは①です。②や③の摂取は、身体を構成するビタミンやミネラルを整えてからでないと、効果は現れにくいとされています。

土台がないと壊れてしまう家造りと同様に、土台がないと身体の機能は正常に働きません。土台を作る栄養素が①のビタミン・ミネラル・アミノ酸・脂質です。

では、実際に土台造りの基本から、サプリメントを摂取していても効果を実感できない原因まで探っていきましょう。

サプリメントの特徴

ドラッグストアなどに行くと、同じビタミン剤でも「サプリメント」と「医薬品」があります。この2種の違いは、薬機法(旧薬事法)という法律に基づいて厚生労働省が管理しているかどうかです。

医薬品は、今ある症状を改善するための含有量が設定されています。そのため、長期間摂取することは考慮されていません。

医薬品に比べ、サプリメントは「栄養補助食品」という位置づけです。即効性がある薬とは違い、長期間の摂取により、食事だけで不足しがちな栄養を補う目的で作られています。

サプリメントはあくまでも身体が動きやすくするために「補う」働きをします。そのため、大量に摂取したからといって病気や症状が治るわけではありません。

私たちの身体は何十兆個の細胞から成り立っています。その細胞が身体の組織を作り、筋肉・骨・血液・肌・ホルモン・神経などとなっています。また、身体は毎日1兆個もの細胞を作り替えています。

それら細胞を作り出しているもの、細胞を満たしているもの、細胞を囲っているもの全てにおいて、私たちが食事から摂った栄養が原料となっているのです。

「疲れがとれない」「肌荒れを治したい」「血液をサラサラにしたい」「風邪をひきにくくしたい」「便秘体質を治したい」などと、症状改善のためにサプリメントを摂取する人は多いです。

しかし、そういった今ある症状は、細胞に栄養が満たされていなく、細胞がうまく働けない環境になっていることが原因です。

例えば細胞に鉄が不足していると、血流が悪くなり、身体中に酸素が行き渡りません。それにより、頭痛や肩こりといった症状を引き起こします。

このように、細胞を栄養で満たすことが、健康的な身体を作り出す基本になります。サプリメントで流行の栄養素をプラスする前に、普段の食べ物の偏り・ストレス・生活習慣の乱れなどによって、今ある症状が発症していることを認識しなければなりません。

サプリメントの消化吸収

ではサプリメントを摂取した後、どのように消化吸収されて、効果として現れるのでしょうか。

通常、食事から食べ物を摂取すると、唾液によって消化が起こり、胃酸によりさらに細かく分解されます。その後、十二指腸を通り、小腸から栄養素として血液中に吸収されます。

細かくなった栄養素は、血液に乗って全身を流れ、各細胞に取り込まれます。この一連の流れにより、栄養素は細胞で働くことができるのです。

食べ物とは異なり、サプリメントは栄養素がそのままカプセルや錠剤の中に入っています。そのカプセルや錠剤が胃で溶けるのか、腸で溶けるのかはサプリメントによって違います。

胃で溶けるタイプのカプセルや錠剤であれば、胃酸が正常に分泌されることで溶けることができ、カプセルや錠剤の中にある栄養が外に放出されるようになります。

「肉料理や揚げ物を食べると胃もたれする」「胃痛をよく感じる」「胃薬が欠かせない」などと、胃が丈夫ではないと思っている場合は、胃酸分泌が正常ではない可能性があります。また、胃の粘膜に炎症を起こしているかもしれません。

そのように胃の消化作用がスムーズにいかないと、当然サプリメントもしっかり溶かすことができず、栄養として吸収できません。つまり、良質なサプリメントを摂取していても、消化能力が低いと栄養素を吸収できず、そのまま排出していることになるのです。

したがって、サプリメントの栄養をしっかり吸収するには、「消化能力が高い胃を普段から整えておく」ことが基本となります。

また、サプリメントを形成するカプセルや錠剤自体も、胃で溶けやすい性質で作られているものを選ぶことが必要です。

サプリメント会社の多くは、「胃の中での溶けやすさ」を調査してから商品として販売しています。その調査は「崩壊試験」と呼ばれています。胃の中と同じ温度の水中で、振動を与えて溶けるかどうかの試験です。

この試験で、およそ30分以内で溶けることができれば、「胃の中でしっかり溶けるもの」とみなされます。購入の際は、サプリメント会社に崩壊試験のことをメール等で確認してみると、「飲んでも意味がないサプリメント」を避けることができます。

つまり、「胃の中でカプセルが溶けにくく、中の栄養を吸収できないサプリメントを選ぶこと」を避けられます。崩壊試験を実施した結果、きちんと胃の中で溶けてくれるサプリメントが適切ですが、そうでないサプリメントは溶けてくれないので栄養を吸収できません。

腸で溶けるサプリメント

また、腸で作用した方が効果的な栄養素については、腸溶性の加工がしてあるサプリメントを選ぶと良いでしょう。なぜ胃ではなく腸で溶ける必要があるのかというと、胃酸で分解されると有効性がなくなるものや、胃から腸に運ばれる間に性質が変わってしまうものがあるからです。

例えばDHA・EPA(魚油)のサプリメントは、胃で溶けてしまうと腸内に届くまでに内容物が酸化(劣化)してしまいます。腸溶性の加工(胃で溶けず、腸で溶ける加工)があれば、酸化しないで身体に有益なDHA・EPAが腸で吸収されます。

ただ、腸溶性であっても、腸内に炎症がある場合は栄養素をうまく吸収できなくなります。そのため、腸の状態も普段から整えておくことが必要となります。

サプリメントの効果を発揮できる身体(胃腸)はどういう状態か

では、サプリメントの消化吸収面から考慮して、栄養素を効果的に摂り入れられる身体にするにはどのようにすれば良いでしょうか。

「胃での消化能力」「腸の吸収力」を上げて栄養素の吸収を良くするためには、胃と腸の粘膜で起きている炎症を修復する必要があります。

腸の粘膜で炎症が起き、粘膜に傷ができたり、穴があいたりしている状態の症状をリーキーガット症候群(腸管壁浸漏症候群)と呼びます。腸の粘膜は以下のよう働きをします。

〇食べたものの吸収

〇不要なものの排出

〇有害なものを体内に入れないバリア機能

〇化学物質の解毒

このように、私たちが健康的な身体を保つために、腸の粘膜はとても重大な仕事をしています。

腸の粘膜に穴があくと、これらの働きが滞ります。栄養は吸収しにくくなり、ウイルス・水銀などの重金属・農薬・添加物・未消化の食べ物・毒素などの有害なものが腸から血液中へ流れ出てしまうことになります。

血液中にこれらの有害物質が流れ込むことで、身体中の細胞内に有害物質が取り入れられる可能性があります。そうなることにより、アレルギー・花粉症・便秘下痢・片頭痛・うつ病・アトピー・肌荒れ・慢性疲労といった全身の症状を起こす原因となります。

例えば片頭痛が続き、病院であらゆる検査をしても原因が見つからない場合は、リーキーガットを引き起こしているかもしれません。身体に必要な栄養が吸収されにくくなるわけですから、血行も滞り、頭痛につながります。

腸に炎症を起こして穴があいていたとしても、腸に自覚症状は出ないので、発症しているかどうかは検査をしない限り分かりません。しかし、現代人の7割は、腸粘膜に炎症を引き起こしているといわれています。では、リーキーガットを引き起こす原因は何でしょうか。原因になるものは以下のものです。

〇精製炭水化物の摂り過ぎ(白砂糖・白小麦など)

〇グルテン(小麦のたんぱく質)

〇食品添加物・残留農薬・ホルモン剤

〇酸化油脂・植物油脂

〇抗生物質

〇鎮痛剤

〇ストレス

〇消化不良

このようなものが引き金となり、腸粘膜に炎症を起こします。しかし、起きてしまった炎症は修復予防することができます。修復方法は以下の通りです。

①乳酸菌(ヨーグルトや納豆など)や食物繊維(野菜や果物)をしっかり摂り、腸内細菌のバランスを整える

②炎症の修復効果のあるDHA・EPA(魚油)を摂取する

③リーキーガットを引き起こす原因となる食べ物を摂り過ぎないようにする

④食べる際はよく噛み、消化液をしっかり出す

この4つを心掛けると「栄養を消化吸収しやすい腸粘膜」を作ることにつながります。

特に②の炎症の修復は重要です。DHA・EPAは身体の中に生じる炎症を抑制する働きをします。そのため、「体質改善で最初に取り組むこと」としてDHA・EPAの摂取は必要になります。

DHA・EPAは魚を摂取することで補えます。また、毎日魚を食べることが難しい場合は、サプリメントからも補えます。

このように、「腸粘膜を正常な状態に戻し、しっかり栄養素を吸収できる腸をつくる」ことが、サプリメント本来の効果を実感するためには重要になります。

さらに、胃の粘膜や腸の粘膜はたんぱく質で作られています。たんぱく質は肉・魚・卵・豆製品・乳製品に多く含まれています。こういった食材をしっかり噛んで摂り入れることで、正常な粘膜が作られます。

しかし、粘膜を作る材料だからといって、肉などをよく噛まずに食べてしまうと、未消化のまま腸に運ばれてしまうため、腸粘膜を傷つけてしまうことになります。よく噛んで食べ、たんぱく質の吸収も心掛けましょう。

また、現代人に多いのが「胃酸不足」です。ドラッグストアなどに行くと「胃酸の出過ぎを抑えるために」などと記載されている胃薬をよく見ます。そういったことから、胃酸は出過ぎない方が良いと理解している人もいるかと思います。

しかし、胃酸がしっかりと分泌されていない人の方が多いといわれています。

「食事中は水やお茶をたくさん飲まないようにする」「よく噛んで食べ、消化酵素の分泌を促す」「リラックスしながら食べる」「梅干しや酢などで胃酸の分泌を促す」といったことを食事中に心掛けましょう。胃酸がしっかりと分泌されるようになり、消化作業が促進されます。

「リラックスしながら食べる」効果は大きいです。私たちの身体の機能を左右している自律神経のうち、胃腸の消化吸収作用は副交感神経が支配しています。副交感神経が働きやすい環境は、リラックスしているときです。そのため、仕事をしながらや、イライラしながら食事をしていると副交感神経が働きにくく、胃腸の働きも抑制されてしまいます。

このように腸と同様、胃の状態も正常に保つことが、サプリメントの効果を実感するのに必要です。

サプリメントの効果を発揮できる身体(血液・細胞膜)を整える

ここまで、胃腸の状態を整えることで、サプリメントを消化吸収しやすくする方法を確認してきました。では、胃腸でしっかり消化吸収されたサプリメントの栄養はどのように全身に運ばれるのでしょうか。

腸の粘膜より吸収された栄養素は、血液によって全身に運ばれます。そして、全身の各細胞が運ばれてきた栄養を取り込み、栄養素としての働きを示します。

そのため、「血行が良いか悪いか」「運ばれてきた栄養をしっかり細胞が取り入れられるか」ということでも、サプリメントの効果を発揮できるかが変わってきます。この血行と細胞の状態の鍵を握っているのがDHA・EPAです。

DHA・EPAは赤血球と血管をしなやかにし、血栓を防ぎ、流れやすい血液の状態を作ります。また、細胞は油の膜で囲まれています。その膜を構成する脂質の中でもDHA・EPAの比率が高いと柔軟な膜となり、細胞内への栄養の吸収をスムーズにします。

このように、血液中に流れ出た栄養をしっかり細胞内に取り入れるにはDHA・EPAの働きが大きく関係するのです。

サプリメントの効果を阻害するもの

サプリメントの栄養がしっかり消化吸収できる胃腸、さらには細胞内に取り入れられる血液や細胞膜について確認してきました。しかし、それでもサプリメントの効果を感じられない場合があります。このとき、何が原因となっているのでしょう。

それは、「サプリメントや食事から身体に良いものを摂り入れている以上に、身体に良くないものを摂り入れている」といった可能性が考えられます。

例えば、「DHA・EPAは体内の炎症を抑制する」と述べました。しかし、サラダ油・加工食品の含有油脂・トランス脂肪酸は、逆に炎症を促進させます。

そのため、DHA・EPAの良質なサプリメントを摂取していても、加工食品や惣菜、外食、コンビニ食が多い場合はサラダ油の摂取量がDHA・EPAを大きく上回ることになります。その結果、体内での炎症は促進されます。

「DHA・EPAのサプリメントを飲んでいても、症状が良くならない」という声があります。その場合の多くは、サラダ油などの多量摂取が原因です。

「揚げ物はそんなに食べないから、サラダ油の摂取量は多くない」と人によっては思うかもしれません。しかし、私たちの身の回りのあらゆる商品にサラダ油は含まれています。お菓子・アイスクリーム・パン・中華料理・洋食・コンビニ弁当・調味料など、無意識にサラダ油を摂取している場合が多いので意識してみましょう。

また、腸内環境を改善したいと考えて乳酸菌のサプリメントを摂取しながら、甘いものをよく食べている場合も、サプリメントの効果は実感しにくいでしょう。甘いものに含まれる砂糖は腸内の悪玉菌を増やし、腸粘膜の炎症を引き起こします。そのため、乳酸菌を摂取していても、腸内環境は改善しにくくなります。

さらに、ミネラルの吸収を妨げるものもあります。ミネラルとは、亜鉛・鉄・カルシウムなどの総称で、マルチミネラルとしてサプリメントで摂取している人も多いかと思います。

しかし、「リン酸塩」という食品添加物がミネラルの体内での吸収を妨げてしまうのです。リン酸塩は、粘着力によって食品の形状や食感を良くするために用いられる食品添加物です。

リン酸塩はあらゆる加工食品、ちくわなどの魚加工品や肉加工品など多くのものに使用されています。さらに、リン酸塩は原材料に記載義務がないため確認が難しいです。リン酸塩は「食品のボンド」の役割をしますので、例えば、骨抜き魚などで見た目を良くするためにリン酸塩を使用するのです。

そのため、「加工してあるものにはリン酸塩が入っている可能性が高い」と認識すると良いです。ミネラル不足を感じ、サプリメントで補うのでしたら、加工食品の摂取頻度も注意しましょう。

このように、せっかく体質改善のためにサプリメントを摂取していても、その栄養素以上に身体に悪影響を及ぼすものを摂取していてはもったいないです。摂り入れるべきものと同様に、避けるべきものも意識しましょう。

サプリメントを選ぶ基準

ここまで、サプリメントの効果を実感しやすい身体作りについて確認してきました。サプリメントは法的には「食品」扱いのため、品質や含有量は厳しく管理されていません。そのため、サプリメント選びは慎重になる必要があります。

まず、どんなサプリメントでも確認すべき基準があります。それはGMP(Good Manufacturing Practice)を取得しているかどうかです。

GMP認定工場で作られているサプリメントは、「どのような工場で、どのような工程を経て、どのような品質なものか」をチェックされている製品です。GMP認定を受けていることが、品質の良いサプリメントの一つの基準となります。

さらに、「含有量について」「製造方法について」「原材料について」など、各栄養素によって選びたい基準はそれぞれ存在します。

例えばDHA・EPAのサプリメントであれば、「どこの海でとれた魚なのか」「水銀など重金属が除外されている原材料なのか」「酸化を防ぐ成分(ビタミンEなど)は入っているか」「酸化しないよう低温で作られているか」「添加物はどうなのか」など、確認すべきポイントはたくさんあります。

サプリメントは毎日体内に摂り入れるものですので、良質なものを選択できるようにしましょう。

まとめ

ここでは、サプリメントが効かない理由を身体の消化吸収のメカニズムと共に確認してきました。

胃の粘膜や胃酸分泌を整え、また、腸粘膜の状態を正常化することが、栄養の消化吸収には欠かせません。粘膜の炎症を促進させる砂糖・サラダ油・酸化油脂・食品添加物等を避け、胃腸をいたわる生活習慣を保つことで、サプリメントの効果は実感しやすくなります。

また、「炎症が起きている箇所の修復」が体質改善のスタートになります。DHA・EPAを魚やサプリメントから摂り入れ、今ある炎症を修復し、体質改善しやすい身体にしましょう。

さらに、胃腸の粘膜と同様、血液と細胞膜もDHA・EPA摂取によりしなやかに保つことが重要です。細胞内にしっかりと栄養素を取り込める状態にすることが、サプリメントの効果実感には必要なのです。

サプリメントというと、「いかに評判が良いものを取り入れるか」を重視しがちですが、同じ商品でも効果は一人一人違います。品質が良いものでも、その栄養素が摂り入れられる健康な身体でないと、効果が出ないからです。

いくらサプリメントを摂取しても効かないのには理由があります。まずは、自分の身体と向き合い、消化吸収能力の妨げになっているものを避けることから始めましょう。