健康診断で高血圧と診断されて、血圧を正常値にするように指示されている人は多いです。「血圧が高いと血管状態が悪くなり、心疾患や脳血管疾患など血管の病気につながる」とされているからです。

ただ、血圧が高くても自覚症状がありません。そのため、知らないうちに血管の中はますます血液が流れにくい状態となり、心臓や脳に栄養や酸素が行き渡らなくなり、命にかかわる病気にもなります。

さらに一度高血圧と診断されると血圧を下げるための薬が処方されて、「永遠に薬を飲み続けなくてはいけない」と思われている人も多いです。

ここでは高血圧とはどのような状態なのかを確認していき、DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)の摂取が血圧にどう影響するのか述べていきます。

血圧はどうして上がるのか

血圧とは血液が血管の中を通るときに血管にかかる圧力のことです。血液は心臓の動きによって全身の血管へ送り出されます。

血圧の数値は、「心臓から送り出される血液の量」と、「末梢血管抵抗(身体の末梢部分にある毛細血管はどれほど血液が流れにくい状態か)」で表されます。

1回心臓がドクンと動くと血液が押し出され、一般的に1分間に押し出される量を「心拍出量」と呼ばれています。心拍出量が多いほど、血圧は高くなります。

また、末梢血管抵抗では、毛細血管内を血液が流れにくい状態であればあるほど血圧は上がります。例えば、「血管壁の弾力性がなく、毛細血管が細い状態」「流れる血液がドロドロな状態」であれば、末梢血管抵抗は高くなります。

つまり、血液量が多くて、末梢部分(身体の先端)まで流れにくい状態の血管であると、血圧は高くなるということです。

そもそも血液は私たちの細胞一つ一つに栄養と酸素を運ぶために絶えず流れています。血液が運ぶのは栄養と酸素だけでなく、ホルモンや免疫細胞なども運んでいます。また、一つ一つの細胞で不要となった老廃物と二酸化炭素を回収し、体外へ排出できるように運んでいます。

血液は24時間止まらないベルトコンベヤーの役割をしており、ベルトコンベヤーが止まってしまうと私たちは細胞に栄養や酸素が行き届かず生きていくことができません。そのために血管にどれほどの負担がかかっているのか数値で確認するのが、血圧値なのです。

血圧の数値は収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の2つ測定されます。心臓がギュッと縮んで全身へ血液を送り出すときの数値を収縮期血圧といいます。一方、血液が心臓に戻ってきた際、心臓が膨らむときの数値を拡張期血圧と呼びます。

一般的に正常血圧値とされる数値は、「収縮期血圧129mmHgまで」「拡張期血圧84mmHgまで」とされていました(日本高血圧学会)。しかし、降圧剤を服用している人の多さから副作用のことを考慮され、2014年には日本人間ドッグ協会から、収縮期血圧147mmHg/拡張期血圧94mmHg以上が高血圧であると発表されました。

ただ、高血圧と判断される数値が高くなってからでも、メタボリックシンドロームの診断基準として適用されている数値は収縮期血圧130/拡張期血圧85(mmHg)以上です。

数値はあくまでも目安となり、1日の中でも血圧は大きく変動します。毎日数値を気にして血圧を測定することは大事ですが、血管に負担がかからない生活を意識することが、細胞へしっかり栄養と酸素を届けられることにつながります。

高血圧が続くとどうなるのか

血圧が上がるメカニズムを確認してきました。では、血圧が上がり続けるとどうなるのでしょうか。血圧が上がり続けていると、それだけ血管に負担がかかります。そしてさらに血液が流れにくい血管となって、心臓はより圧力をかけないといけません。これが高血圧の悪循環です。

血管に負担がかかり最初にダメージを受けるのは、血管の一番内側にある内皮細胞(血液に接している部分)です。血管の壁は3層になっています。内皮は細胞一つ一つが隣り合ってびっしりくっついて、血管内部を構成しています。身体全体の内皮細胞を全てつなげるとテニスコート6面分の面積にもなります。

動脈など太い血管は3層になっていますが、毛細血管の壁は内皮細胞のみの1層で重要な役割を担っているのが分かります。血管の内皮細胞は本来、血栓形成の防止や血管内外の物質のやり取り、血管の緊張を調整する働きをしています。

血管の内皮細胞は「高血圧」「糖の摂り過ぎ」「脂質の酸化」などでダメージを受け、細胞が機能低下します。血管の内皮細胞が機能低下すると、血栓ができやすく、血管内外の物質のやり取りもしにくくなります。

血管に血栓ができて、動脈硬化につながる経過は以下の通りです。動脈硬化が心臓の周りや脳に起きると、心疾患や脳血管疾患につながり、命の危険があります。

  1. 血管内皮細胞の機能低下(高血圧・糖の摂り過ぎ・脂質の酸化など)が起こる
  2. 機能低下した血管内皮細胞の箇所に血液中のコレステロールが集まってきて蓄積する
  3. 血管内に蓄積したコレステロールが活性酸素によって酸化される
  4. 血管内に血栓ができる

動脈硬化といえば「コレステロールが多いことが原因で血管内に血栓をつくるもの」と認識している人は多いですが、コレステロールが多いだけでは動脈硬化につながりません。

上の1~4の経過にあるように、血管の機能低下がきっかけとなり、そこに集まったコレステロールが酸化されることで血栓となるのです。

コレステロールが酸化されるのは、「酸化された脂質の摂取が多い場合」と「活性酸素が増えている状態」です。特に植物油脂(オメガ6脂肪酸)とDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)は酸化されやすい脂質です。

油調理してから時間が経っている惣菜や加工食品、お菓子、魚料理は、中に含まれている植物油脂やDHA・EPAが酸化されている可能性があります。これらの摂取が多いと、血栓が形成されやすくなります。

また、呼吸で取り入れた酸素のうち、数パーセントは活性酸素という形で体内にて存在しています。活性酸素は加齢によって増えますが、そのほかでもストレスや寝不足、運動不足、紫外線、栄養の過不足などでも増加します。

活性酸素は体内の脂質を酸化し、過酸化脂質に変換することで、動脈硬化の原因となります。

このように動脈硬化は血管内の脂質(コレステロール)の酸化が直接的な原因となりますが、そのきっかけとなるのは血管内皮細胞の機能低下です。そのため、内皮細胞に負担をかける高血圧は改善する必要があるのです。

血圧を上げ下げさせる自律神経

血圧が上がる原因や、血圧が動脈硬化につながるメカニズムを確認してきました。血圧は1日の中で上がったり下がったりするのを繰り返しています。

イメージとして、「緊張・イライラしたときに血圧が上がり、リラックスしているときに血圧は下がる」と認識している人が多いです。

ではなぜ身体の状態によって血圧が上下するのでしょうか。

それは血圧の上昇下降は自律神経によって支配されているからです。自律神経とは自分の意思で動かすことのできない神経です。活動、緊張時に優位になるのが交感神経であり、身体の症状としては血圧上昇、脈拍促進、発汗促進、体温上昇などの反応につながります。

一方リラックス時や睡眠中に優位になるのが副交感神経です。副交感神経が優位になると、血圧下降、脈拍抑制、胃腸機能促進(消化吸収アップ)などの状態になります。

このように交感神経と副交感神経によって血圧は上昇したり下降したりを繰り返しているのです。運動時や、緊張したりイライラしたりしているときには、ノルアドレナリンやアドレナリン、コルチゾールというホルモンが体内で分泌されています。

それらのホルモン分泌によって交感神経が優位になり、血圧を上げているのです。

また「寒い時期の脱衣所などでは急激に血圧が上がるために要注意である」など聞いたことがあるかもしれません。それは、暖房が入っている温かい場所から急に寒いところに移動することによって、身体は温度差に対応しようとし、体温を上げようとするからです。

その結果、交感神経が急激に優位になり、血管は収縮され血圧は急上昇します。元々血管の状態が良くない人や、血栓ができている人は血流に滞りができ、心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性があるのです。

普段から高血圧の人や、血管内皮細胞が機能低下している人は、そのような交感神経が急激に優位になる場面には注意が必要です。高血圧の人はイライラしたり、気温差が大きかったりすると、血管疾患を起こしやすいのです。

高血圧の改善に必要なポイント

ここまで、動脈硬化や急な環境の変化での血管疾患を防ぐためには、高血圧を改善しなくてはならないことを確認してきました。では、高血圧の改善ポイントを述べていきます。

血圧が上がるメカニズムで確認してきましたが、血圧は「血液が流れにくい血管」であればあるほど上がります。そのため高血圧を改善するためには、まず血液が流れやすい血管に変えることがポイントになります。

血流の悪化は以下のことが原因となります。

  • 運動不足
  • ストレス・睡眠不足
  • 糖の摂り過ぎ
  • 血管内皮細胞膜の硬化
  • 血管内の炎症
  • 水分不足

・運動不足

身体中の血管の周りには筋肉がついています。特に足から心臓へ血液が戻される際に、下半身の筋肉が収縮することによって血液が流されます。

そのため、足の筋肉が衰えていたり、普段運動をあまりしなかったりする人は心臓から流れた血液が末端から戻されにくい状態となっており、全身の血流が滞ります。

また、全身運動をすると、身体はたくさんのエネルギーを必要とします。そのため、血液中にある余分な糖や中性脂肪からどんどんエネルギーを作り出すようになり、血管内皮細胞を傷つける糖や脂質が減っていきます。つまり、運動をすれば代謝がよくなり、その結果流れやすい血液となるのです。

しかし、高血圧の人が激しい運動をするのには注意が必要です。交感神経が急激に優位になることで、血圧の急上昇を起こしてしまうため、有酸素運動や筋力トレーニングを基本にしましょう。

運動をする時間がないという場合は、デスクワークのときに太ももを上下させたり、かかとを動かしたりするなどして、足の筋肉を少しでも刺激するようにしてみましょう。

・ストレス・睡眠不足

ストレスや睡眠不足はリラックス時が少なくなるため、交感神経優位な時間が続きます。交感神経は全身の筋肉を緊張させて硬くするため、血液は流れにくくなります。

また、ストレスを多く感じたり、睡眠不足の状態が続いたりすると、体内の活性酸素は一気に増え、血管内の脂質が酸化されやすい状態となります。その結果、血管内に血栓ができやすくなり、血流は悪化します。

さらに血管内皮細胞の修復や再生は寝ている間に行われます。睡眠不足により成長ホルモンが出されていないと、内皮細胞の傷はなかなか改善せず、血管としては機能低下したままとなります。そういった理由で、睡眠を十分とることが高血圧の予防・改善には重要になってきます。

糖の摂り過ぎ

普段から砂糖や小麦製品(パンや麺)、白米などの過剰摂取や頻繁摂取があると、血液中に存在する糖が多くなります。糖を血液中から細胞内に移動させるインスリンが効きにくくなるため、血液中に糖が残ったままになるのです。

血液中に過剰に残った糖は血管内皮細胞を機能低下させる原因となります。また、「糖尿病である人は高血圧にもなりやすい」という傾向もあります。それだけ糖の摂り過ぎは血管を傷つけてしまうため、血圧を上げざるを得なくなるのです。

血管内皮細胞膜の硬化

身体中の細胞は膜で囲まれています。血管の内皮細胞も血管内を通る赤血球も膜で覆われています。それらの膜を構成している主な成分は脂質です。どのような種類の脂質で膜が構成されているかによって、血管を硬くするか、逆に弾力を保ち柔軟にするのかが分かれます。

血管を硬くし、血液を流れにくくする脂質はオメガ6脂肪酸(植物油脂)です。調理の際に用いるサラダ油だけでなく、加工食品やお菓子、コンビニ食品、外食など多くの食品に含まれており、現代人は過剰摂取になっている人が多いです。

一方、血管に弾力を与え、血液を流れやすくする脂質はオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAは青魚や赤身魚に多く含まれており、イワシであれば1日に2尾、サンマなら1尾食べれば、身体にとって必要だとされている量が補えます。

毎日魚料理を食べるのが難しい場合は、DHA・EPAサプリメントを摂取するのも一つの方法です。しかし、サプリメントでDHA・EPAを補っていても食事からオメガ6脂肪酸を多く摂取していては、全体的な脂質の量がオーバーしてしまい、過酸化脂質を生成する原因になってしまいます。

オメガ3脂肪酸の効果を感じたいのであれば、同時にオメガ6脂肪酸(サラダ油など)の摂取を控えることが必要です。

・血管内の炎症

炎症は身体にとって有害となる物質を追い出す免疫反応ですが、ストレス過多や不摂生が続くと、健康な細胞までにも炎症が起き、血管の細胞は働きにくくなります。同時に身体には肩こりや頭痛、うつ病、不眠など不快な症状を引き起こします。

体内にはもともと炎症を抑制するホルモンが備わっていますが、身体の機能が低下していると、そういったホルモンも作られにくくなり、不快な症状は続きます。

ただ、炎症を抑制するホルモンと同じ働きをする脂質があり、それがDHA・EPAです。DHA・EPAは炎症を収束・抑制させる作用があるのです。

逆にオメガ6脂肪酸(サラダ油など)は炎症を促進させる作用があります。血管の炎症を抑制して血流を良くするためには、オメガ6脂肪酸の摂取を控え、DHA・EPAを積極的に摂る必要があります。

水分不足

水分は血液を作る材料として欠かせません。水分が不足している血液は血管内を流れにくくなり、高血圧の原因になります。血流を良くするためには十分な水分をこまめに摂取することが重要になります。

しかし、糖分の多いジュースや果物飲料、コーヒードリンクなどは水分摂取になるどころか、糖分の過剰摂取を招いてしまいます。水分補給は水か「カフェインが含まれていないお茶」にしましょう。

高血圧の改善に必要なDHA・EPA

高血圧の改善に必要な食事や生活習慣のポイントを確認してきました。特に、血管の細胞膜を柔軟にして血管に弾力をもたせるためにも、血管内の炎症を抑制させるためにも、「DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)が必要である」ことが共通しています。

「オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取と血圧」について世界中でさまざまな疫学調査が行われています。その中で「DHA・EPAの摂取が血圧降下に効果があった」という結果もあれば、「効果がなかった」というものもあります。

調査結果に差があるのは、DHA・EPAの摂取方法に差があるからだと考えられます。上述の通り、DHA・EPAは酸化されやすい油です。調理してから時間が経っている魚料理や、体内に活性酸素が多い状態で摂取していても、DHA・EPAの効果は感じにくくなります。

また、野菜や果物、新鮮な魚介類には体内での酸化を防ぐ抗酸化物質が多く含まれており、それらを積極的に摂取していなくては、身体の中でDHA・EPAが健康的な作用を発揮しません。

魚料理と同じように、DHA・EPAをサプリメントから摂取していても、そのサプリメントが酸化していては身体には逆効果です。サプリメントを選ぶ際はビタミンEなど抗酸化物質が含有されているものを選ぶようにしましょう。

ほかにも、オメガ6脂肪酸(サラダ油など)の過剰摂取がある中でDHA・EPAを摂り入れていても、酸化されやすい脂質の過剰状態となり、DHA・EPAは健康的な働きができません。

このようにDHA・EPAを摂取して高血圧を改善したいのであれば、摂取の仕方に注意しなくてはいけません。

減塩が高血圧の改善にならない理由

高血圧と診断されると「塩分の摂り過ぎに注意しましょう」と多くの医療機関から注意されます。「塩分の過剰摂取により血圧が上がる」という認識は古くからあります。塩分の摂り過ぎで血圧が上がるとされてきたメカニズムは以下の通りです。

  1. 塩分の過剰摂取
  2. 血液中のナトリウム濃度が上がる
  3. 血液中の濃度を一定に保とうとして、水分が増える
  4. 血液量が増加して血圧が上がる

このように塩分の過剰摂取は血液量の増大を招くため、避けられるように言われてきたのです。

しかし、血液量の増大を防いでも、高血圧の根本的な解決にはなりません。血液量を抑えて血圧を下げることは、対症療法にしかならないのです。

高血圧の改善は血液が流れやすい血管を作ることが基本になります。ナトリウム自体は血管を傷つけません。

ただ、食塩がたくさん含まれている加工食品やお菓子には、食塩のほかに砂糖や植物油脂も多く含まれています。食塩の摂取を意識することで、必然的に血管を傷つける物質の摂取が控えられる可能性が高いです。

減塩自体が高血圧の根本的な改善につながらないことを意識し、全体的な食生活や生活習慣を見直しましょう。

まとめ

ここでは血圧が上がるメカニズムや高血圧を改善する方法について確認してきました。血液は私たちが健康的に生きていく上で欠かせない栄養素や酸素、ホルモンを絶えず運んでいます。そんな血液の流れを管理しているのが血圧です。

そのため、健康的な身体のためには血管に負担がかかる高血圧を予防・改善させる必要があります。

高血圧の原因になるのは、血管状態の悪化です。血管をつくっている内皮細胞の機能低下を避けるためには、糖や植物油脂の摂り方を意識し、睡眠・運動習慣を見直す必要があります。

また、血管内皮細胞の膜をしなやかにし、細胞の炎症を抑制するDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)を摂取することで、血液が流れやすい血管となります。

高血圧と診断されて、減塩と血圧を下げる薬の服薬だけ行っていても、血管の状態は改善せず、動脈硬化になる危険性は変わりません。まずは血管状態を悪化させて、高血圧を引き起こした原因に目を向け、そこから改善していくことが大事です。