私たちの身体は生きている限り炎症が起きたり消えたりしています。普段食べているものには炎症を引き起こすものと抑制させるものがあります。また、食べ物だけではなく、ストレスや生活習慣なども炎症に影響します。

「炎症は身体にとって良くないもの」と認識されがちですが、身体の反応として必要な炎症もあります。しかし、炎症が長く続くことで身体が病気になってしまうこともあります。

ここでは炎症とは身体にとってどのような反応なのかを確認し、「炎症を引き起こすもの」と「炎症を抑えるもの」についてまとめていきます。特に、DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)の炎症抑制作用は医療的にも認められているため、詳しく作用を述べていきます。

炎症とは何か

炎症は身体にとって異物(病原体や有害物質など)や死んでしまった自分の細胞を体外へ排出しようとする反応です。例えばウイルスや細菌が体内に侵入したとき、それらを排除しようと熱を発して炎症反応を起こします。これが風邪の症状である発熱の仕組みです。

発熱以外の反応でも、炎症反応はあります。「蚊に刺されたあとの腫れやかゆみ」「運動をした後の筋肉痛」「足をくじいた後のねんざ」など、「発熱、赤み(発赤)、腫れ、痛み」を伴う症状が炎症反応です。

このように症状を伴いながら原因となっている(有害)物質を追い出した後、痛みや熱が治まっていく反応を急性炎症といいます。急性炎症の反応は、「パーっと症状が出て、スーッとひいていく」イメージです。

炎症反応の際に有害物質を追い出す仕事をするのは免疫細胞です。免疫細胞が正常に働けば、風邪ウイルスを排除するために炎症反応(発熱)を起こします。そのため、「発熱する風邪をひかないこと=健康なこと」ではなく、「しっかり発熱できる身体=免疫細胞がしっかり働ける身体」なのです。

ただ、発熱がダラダラ続くことは炎症反応が収束できなくなっている可能性があるため、注意が必要です。小さい子供は風邪をひくとすぐ高熱を出し、解熱するのも早いです。それは体内で免疫細胞が正常に働き、急性炎症の反応がしっかり行われているからです。

このように、急性炎症は「免疫細胞が自分の身体を守るために有害物質を追い出す反応」として身体にとって必要な反応です。そのために急性炎症反応が起きることは一つの治療と考えられ、健康のために良いことなのです。

ただ、急性反応に対して慢性炎症は身体にとっては良くないものがあります。病原菌や有害物質に反応して起こる急性炎症に対して、何も感染していない状態で起きる反応を慢性炎症と呼びます。

慢性炎症は細胞にストレスがかかったり、細胞が損傷したりすると徐々に発生し、自覚症状がないまま長期間続きます。

つまり、体外の物質に対して反応するのが急性炎症であって、体内の細胞のストレスや損傷に対して反応するのが慢性炎症なのです。傷ついた細胞や死んだ細胞は正常な細胞にとって有害になるため、免疫細胞は体外へ排除しようと作用します。その結果として炎症が起き、慢性炎症へとつながっていくのです。

慢性炎症はなぜ身体に良くないのか

慢性炎症は機能低下した細胞(傷ついた細胞や死んだ細胞)を免疫細胞によって排除しようとする反応がきっかけになります。体内では、「一つの細胞が炎症を起こすと、次々と他の細胞も炎症していく」という反応が起きます。

細胞の炎症をマンションでの火事とイメージしてみてください。一つの部屋が火事になると、どんどん隣の部屋にも火事がうつっていきます。そのような火事のように一つの細胞が炎症すると炎症が周りの細胞まで広がっていくのです。

さらに、炎症は飛び火するため、隣り合っていない全身の細胞へも炎症は広がっていきます。一カ所炎症があれば全身の細胞が炎症しやすい状態といえるのです。例えば歯周病(歯茎の炎症)がある人は、全身にも炎症が広がりやすくなります。

これは、「炎症を引き起こすスイッチ」となる物質が血液にのって全身を回ってしまうからです。炎症スイッチが一カ所でもあれば、全身に炎症が起こりやすくなるのです。

また、慢性炎症はこのように免疫細胞の反応がきっかけになっていますが、免疫細胞が暴走して、身体にとって有害物質でないものに対しても攻撃して炎症を起こすこともあります。そのように免疫細胞が暴走して炎症を起こすと、食べ物アレルギーや花粉症という症状を引き起こします。

このように急性炎症に対し慢性炎症は正常(健康)な細胞さえも炎症反応を起こして傷つけてしまっている可能性が高いため、健康や美容のためには抑制する必要があるのです。

慢性炎症を抑制する方法は2つあります。ではそれぞれ確認していきます。

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)による抗炎症作用

慢性炎症はオメガ3脂肪酸のうちDHA・EPA(魚油)によって抑制されます。DHA・EPAが炎症を抑制する方法は以下のように2つあります。

  • 炎症を促進するアラキドン酸(オメガ6脂肪酸)の作用を抑制する(間接的)
  • DHA・EPAが直接炎症を終息させる(直接的)

アラキドン酸は、オメガ6脂肪酸に分類され、サラダ油に多く含まれています。サラダ油は調理の際に使う調理油だけでなく、加工食品、コンビニ食品、お菓子、ラクトアイスなどあらゆる食品に含まれています。

アラキドン酸は体内に必要な油ではありますが、多量に摂取すると炎症を引き起こすスイッチとなるのです。現代人はアラキドン酸を含む食品を無意識のうちに過剰摂取している人が多く、炎症の引き金となっています。

アラキドン酸(オメガ6脂肪酸)とDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)は体内では同じ場所に存在します。両脂肪酸とも全身の細胞膜に存在し、椅子取りゲーム状態で細胞膜中の存在箇所を奪い合っています。

その中でアラキドン酸の割合が多くなると炎症が促進されやすくなり、DHA・EPAが多いとアラキドン酸の作用を抑制してくれます。つまり、DHA・EPAをたくさん摂取すると、アラキドン酸(オメガ6脂肪酸)による炎症促進を邪魔することで、炎症を抑制するのです。

さらに、DHA・EPAはアラキドン酸の作用阻害という間接的な炎症抑制のほかに、直接的にも炎症をストップさせます。それは、DHA・EPAから変換される物質(レゾルビン・プロテクチン)が直接炎症を終息する作用をするのです。

このようにDHA・EPAは間接的にも直接的にも炎症を抑制・終息させる作用があります。

しかし、DHA・EPAが炎症抑制・終息の作用を発揮するには下の2つの条件をクリアしたのみだけです。

  • オメガ6脂肪酸の摂取が少ないとき
  • 脂肪酸が酸化されにくい状態のとき

上で述べたようにオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)とオメガ6脂肪酸は存在箇所を奪い合って存在しています。DHA・EPAの摂取に比べてオメガ6脂肪酸の摂取が著しく多い場合はDHA・EPAが作用しにくくなってしまいます。

つまり、DHA・EPAが多く含まれている魚料理をほとんど食べないにも関わらず、コンビニ食品やお菓子、惣菜などを食べる頻度が多い場合は、体内ではオメガ6脂肪酸が作用しやすい状態になります。それは慢性炎症を引き起こしやすい体内になっているということです。

炎症を抑制するには魚料理の摂取を意識すると共に、サラダ油や加工食品、惣菜やお菓子などの摂取を控える必要があります。

DHA・EPAの炎症抑制作用の効果を発揮させるために、もう一つ重要となる条件が「酸化されない」ことです。DHA・EPAは酸化されやすい脂肪酸の一種です。脂肪酸に「熱・空気(酸素)・光」が加わると、たちまち酸化されて体内では細胞機能を低下させてしまう過酸化脂質になってしまいます。

そのため、魚を食べるのであれば、加熱調理してから時間がたっている魚の惣菜や、紫外線にあてて商品を作っている干物などは魚に含まれているDHA・EPAが酸化されている可能性があるので、避けた方が良いです。

さらに、体内が活性酸素によって酸化されやすい状態になっているときも、DHA・EPAが体内で酸化されやすくなってしまうため、摂取には注意が必要です。活性酸素によって酸化されやすい状態とは、病気や睡眠不足のとき、ストレスが多いとき、紫外線に多くあたったときなどです。

また、DHA・EPAの酸化を防ぐためには抗酸化物質を積極的に摂取することも重要です。野菜や果物、魚介類、海藻に抗酸化物質は多く含まれているため摂取を意識しましょう。

DHA・EPAをサプリメントで摂取する場合も同様で、サプリメントに抗酸化物質(ビタミンEなど)がしっかり含まれているものを選びましょう。

慢性炎症を抑制するホルモン

慢性炎症はDHA・EPA以外にも体内で分泌されるホルモンによっても抑制されます。炎症を抑制する代表的なホルモンは副腎から分泌されるコルチゾールです。コルチゾールは「ストレス対抗ホルモン」とも呼ばれており、ストレスを受けたときに身体がダメージを受けないように守ってくれるホルモンです。

ストレスによって細胞がダメージを受けすぎると、修復するために大量にエネルギーが必要になります。また、ダメージによって損傷された細胞に対して免疫細胞が排除しようと働くことでも免疫機能が疲れてしまいます。その結果、健康的に生きていくエネルギーが不足しがちになってしまいます。

そこで健康的に生きるためには、ストレスによる細胞の炎症を抑制させる必要があるのです。その働きをするのがコルチゾールです。コルチゾールは通常、朝起きる直前から分泌され始め、午前中~昼頃をピークに、夜にかけては分泌されにくくなります。午前中~昼間はストレスに対してコルチゾールが分泌されやすいということです。

ただ、身体にストレスが多くかかりコルチゾールが分泌され過ぎていると、コルチゾールを管理する副腎が疲労してしまい、コルチゾールが分泌されにくい状態になってしまいます。その結果、ストレスがかかっても身体に起きる炎症を防げなくなってしまい、さまざまな病気や症状を引き起こします。

コルチゾールを管理している副腎を疲労から守るためには、ビタミンCやたんぱく質、ミネラルをしっかり摂取することが重要です。ストレスから身体を守るためには野菜や肉、魚などまんべんなく食品を摂取するようにしましょう。

さらに、コルチゾールはコレステロールから生成されるため、肉や卵などコレステロールになる材料もしっかり食べましょう。

また、炎症止めの薬としてステロイド剤は有名です。ステロイド剤はコルチゾールを元に作られているものが多いです。しかし、ステロイド剤は薬なので副腎から自然に分泌されるコルチゾールに比べ、薬は確実に細胞内に侵入し、炎症をストップさせます。

アトピーなど皮膚炎に対して、ステロイド剤を塗ると確実に症状が良くなるのは、ステロイド剤によって免疫細胞の働きを一時的に抑制させ、炎症(かゆみや腫れ)を抑制させているのです。そのため、一度ステロイド剤を使い始めると、永遠に使い続けなくては、薬の効き目がきれたときに症状が復活します。

しかし、ステロイド剤を使い続けていると、免疫機能は低下して、免疫細胞の働き(体内に対する有害物質と戦う)が弱まってしまいます。免疫機能が低下すると、がんや細菌感染などになりやすくなります。

ステロイド剤などの炎症止めは塗り薬だけではなく頭痛薬などの炎症止めも同じです。頭痛は痛みとしての炎症反応であり、細胞が機能低下しているサインです。それを炎症止めの薬で一時的に解消させることを続けていては、本来の免疫機能が低下してしまいます。

ステロイド剤などの炎症止めを利用するのは最小限にし、本来の身体に備わっているコルチゾールを必要なときに必要な分だけ分泌できる身体を作りましょう。

慢性炎症を引き起こすもの

慢性炎症は万病の元となりDHA・EPAやコルチゾールなどで抑制することも大事ですが、慢性炎症を引き起こさないようにすることを意識しなくてはなりません。

慢性炎症は「損傷した細胞や死んだ細胞を排除する免疫細胞の働き」であるため、まず健康な細胞を傷つけないことが慢性炎症を予防する上で重要になります。

健康な細胞を傷つける(機能低下させる)ものは以下のようなものです。

  • 活性酸素
  • 過酸化脂質
  • 過剰な糖質
  • 過剰な添加物やアルコール
  • 紫外線
  • ストレス
  • 運動不足
  • 睡眠不足

活性酸素は脂肪酸を酸化させ過酸化脂質を生成させます。過酸化脂質が細胞に蓄積することで、細胞は機能低下し、やがて働くこともできなくなります。

砂糖や小麦粉製品の摂り過ぎなどで過剰な糖質を摂取することは、流れにくい血液の原因となり、血液によって栄養や酸素を細胞まで運びにくくします。その結果、細胞は機能低下し、炎症につながります。

ストレス過多は、コルチゾールが分泌過剰となり副腎が疲労してしまうだけでなく、活性酸素を増やす原因にもなります。運動不足や睡眠不足な状態も活性酸素を増やすことにつながり、炎症の原因となる活性酸素を増やしてしまいます。

このように健康な細胞を傷つけないようにするには、食べるものだけでなく、睡眠や運動などの生活習慣も意識しなくてはなりません。

健康な細胞を維持して慢性炎症を防ぐ

慢性炎症の予防には健康な細胞の維持が条件となります。上で述べたように細胞を傷つけないような生活習慣も大事ですが、そもそも細胞にしっかり栄養と酸素が行き渡るような状態でないと、細胞は生きるためのエネルギーを作り出せず、弱ってしまいます。

細胞にバランスの良い栄養と酸素を送り届けるためには、栄養バランスの良い食事を摂ることも大事となりますが、栄養や酸素を細胞まで運ぶ血液の流れが良くなくてはなりません。

ここでポイントになるのが血管の壁をしなやかにするオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAを摂取することで血液が流れやすい血管となり、さらに、血液中の赤血球の膜も流れやすい状態にしてくれます。

一方、オメガ6脂肪酸(サラダ油)は血液を流れにくい状態にし、細胞へ栄養や酸素を届けにくくするため控えなくてなりません。

さらにオメガ3脂肪酸は一つ一つの細胞膜もしなやかにするため、血液によって運ばれてきた栄養や酸素を細胞の中に取り込みやすい膜を形成します。

このように細胞の機能低下を防ぎエネルギーを作りやすい健康な細胞を維持するには、DHA・EPAを積極的に摂取し、オメガ6脂肪酸(サラダ油)の摂取を控えるようにしましょう。それが慢性炎症の元となる「機能低下(傷ついた)した細胞」を増やさないポイントになります。

まとめ

ここでは炎症の起きるメカニズムから慢性炎症の防ぎ方を確認してきました。炎症は病原体や有害物質、傷ついた細胞に対して免疫細胞が体外へ排除しようとする反応であり、身体にとって必要な反応です。

そのため、風邪の発熱などの急性反応を解熱剤などで下げることはお勧めできません。しかし、自分の傷ついた細胞を排除しようとする慢性炎症は、健康な細胞まで次々と炎症を引き起こしてしまうため、抑制する必要があります。

体内にはコルチゾールという炎症を抑制するホルモンの分泌もありますが、ストレスを感じ過ぎて副腎が疲労するとコルチゾールは分泌されにくくなります。

コルチゾールのほかに炎症を抑制する作用があるのがオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAは炎症を促進するアラキドン酸の作用を邪魔して炎症を抑制させます。さらにDHA・EPAは直接炎症を収束させる物質に変化して炎症反応の連鎖をストップさせます。

ただ、DHA・EPAが炎症抑制作用を発揮するにはオメガ6脂肪酸の摂取を控えて、DHA・EPAの酸化を防がなくてはいけません。魚料理は調理したてを食べるようにし、サプリメントはビタミンEなどの抗酸化物質が含まれているものを選びましょう。

炎症が病気や症状につながらないようにするには、健康な細胞を維持することが重要です。バランスの良い食事とDHA・EPAの摂取により、炎症しにくい細胞を維持しましょう。そして過剰な慢性炎症を抑制・収束できるようにDHA・EPAを体内に備えておきましょう。