「オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は健康や美容のために必要である」と広く認識されており、魚料理やサプリメントから摂取している人は多いです。

「1日に必要なオメガ3脂肪酸摂取量、DHA・EPA摂取量」の基準が厚生労働省から発表されていますが、摂取の上限量は設定されていません。そのため、一見過剰摂取は無縁のように思えてしまいます。

ただ、栄養素には摂取上限量が設定されているものもあり、身体にとってオメガ3脂肪酸は上限なしで摂取して良いものなのか気になります。

ここでは、「オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂り過ぎることで、身体にどう作用するのか」を確認していきます。

厚生労働省の摂取基準量

DHA・EPAはオメガ3脂肪酸の仲間であり、体内に入ると主に以下のような働きをします。

  1. 細胞や血管の膜に取り込まれ、膜を柔軟にする
  2. 炎症を終息・抑制する

このように、DHA・EPAは体内の膜や炎症に作用することで、細胞一つ一つが機能しやすくなり、健康や美容のためには欠かせません。では、私たちはどれほどの量のオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取すれば効果を期待できるのでしょうか。

厚生労働省からは1日に必要とされるオメガ3脂肪酸量が設定されています。

オメガ3脂肪酸は1日当たり2.1g(成人男性の場合)の摂取が必要とされており、その中でもDHA・EPAは1日あたり1gの摂取が必要だとされています。この量を魚で補うとすると、イワシであれば2尾、サンマなら1尾、ブリやサバなら切り身1枚食べる必要があります。

オメガ3脂肪酸の効果を上げる

DHA・EPAを魚やサプリメントから摂取したあと、細胞膜などに取り込まれて機能するためには、体内での「オメガ3脂肪酸の酸化」を防がなくてはいけません。細胞膜に存在するオメガ3脂肪酸が酸化されてしまっては、しなやかな細胞膜を構成することができず、細胞は機能低下してしまいます。

脂肪酸は酸素・熱・光によって酸化されるため、オメガ3脂肪酸が含まれている魚やサプリメントを摂取する際はそれらを避ける必要があります。魚料理であれば調理したてのものを食べるようにし、サプリメントであれば抗酸化物質(ビタミンEなど)が含まれているものを選ぶようにしましょう。

このようにオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は「酸化を防ぎながら意識的に摂取する」必要があります。

特に頭痛や肩こり、便秘や下痢、花粉症、不眠、うつ病など身体に何らかの症状がある場合は、体内の炎症が促進されているため、積極的にオメガ3脂肪酸の摂取を意識しなくてはいけません。DHA・EPAは炎症を終息させる働きがあるからです。

このとき、厚生労働省が毎日の摂取基準量として指定しているオメガ3脂肪酸量を魚料理だけで補おうとすると、毎日青魚を食べる必要があります。

しかし現実的ではないため、魚料理が苦手な人や料理する時間がない人、そもそも魚が苦手な人を含め健康や美容を意識している人は、毎日魚料理を食べるよりDHA・EPAのサプリメントで補いたいと考えます。

ただ、サプリメントの摂取では過剰摂取による副作用が気になります。

オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂り過ぎは身体にとって害なのか

細胞の傷が引き金になっている体内の炎症を終息・抑制してくれるのなら、「今ある症状を早く改善させたい」と考え、DHA・EPAサプリメントを多めに摂取しようと考える人がいるかもしれません。

特に魚料理を全く食べない人が厚生労働省の指定しているオメガ3脂肪酸の量をDHA・EPAサプリメントだけで補おうとすると、メーカーが指定している1日当たりの摂取量を超えて摂取しなくてはいけません。サプリメントは0.6g/カプセルほどのDHA・EPA量が配合されているカプセルが多いからです。

「0.6gでは1日に摂取するべきオメガ3脂肪酸量の2.1gを補えないから、多めの量を摂取しよう」と考える人もいると思います。その場合、サプリメントメーカーが1日当たり1カプセル(0.6g)を推奨しているのであれば、2.1gだと3倍以上の量を摂取することになります。

それは良いことなのでしょうか。以下の2点の理由から過剰摂取について確認していきます。

DHA・EPAの含有率から過剰摂取の害を考える

DHA・EPAサプリメントには、DHA・EPA以外に他の脂肪酸もたくさん含有されています。DHA・EPAサプリメントの原材料を確認してみると、「DHA・EPA含有精製魚油」と記載されている商品が多いです。

この表示は、DHA・EPA以外にも脂肪酸が含まれている証拠となります。具体的には、オメガ6脂肪酸や飽和脂肪酸が含まれています。また、上の写真の「ビタミンE含有植物油」にはオメガ6脂肪酸が含まれています。

栄養成分表を見ると、このサプリメント6粒中に脂質は2.13g含まれているのに対し、DHA・EPAは合計で0.86g(860mg)しか含まれていません。つまりこのサプリメントに含まれている全脂質中、DHA・EPAは約40%(0.86÷2.13×100=40%)しか含有されていないことが分かります。

そのため、このサプリメントに含まれている脂質の約60%はDHA・EPA以外のオメガ6脂肪酸、飽和脂肪酸であることが分かります。

オメガ6脂肪酸はオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)とは対照的な働きをするため、細胞膜を硬くし、炎症を促進させます。つまりオメガ6脂肪酸(サラダ油)の過剰摂取により、あらゆる不快な症状や病気を引き起こすということです。

つまり、サプリメントからオメガ3脂肪酸を健康のために摂取しているつもりで、悪い働きをするオメガ6脂肪酸も大量に摂取してしまっていることになります。ただでさえオメガ6脂肪酸は、サラダ油、加工食品、コンビニ食品、外食、お菓子など現代人は無意識に過剰摂取しがちです。

ただ、サプリメントによっては含有されている全脂質中のDHA・EPA量が70%、80%と高含有率になっている商品もあります。健康や美容のためにDHA・EPAサプリメントを摂取するのであれば、DHA・EPAの含有率に注意し、できるだけサプリメントからは他の脂肪酸の摂取をしないようにしましょう。

このようにDHA・EPAの高含有商品であっても他の脂肪酸は含まれていますので、メーカー側が推奨する摂取量を守って摂取するようにすることをお勧めします。

オメガ3脂肪酸の酸化による過剰摂取の副作用

DHA・EPAサプリメントの過剰摂取について考えたとき、含有率だけでなく脂肪酸の酸化も身体に影響します。上述のようにオメガ3脂肪酸が酸化したら、全身の細胞を機能低下させる原因となり、身体にとって有害です。

DHA・EPAサプリメント自体に酸化を防止するビタミンE(抗酸化物質)がしっかり含有されていて、サプリメント自体の酸化は安心できても、体内に吸収された後に、体内の活性酸素によって酸化される場合もあります。

活性酸素は「病原菌を攻撃する」という身体にとって重要な作用があるため、誰の身体にも存在します。しかし、活性酸素の多さは人それぞれであり、ストレス、寝不足、運動不足、食事の偏りなど生活習慣の乱れがある人は活性酸素が多くなります。

活性酸素が多い体内では、酸化されやすい脂肪酸はどんどん酸化されてしまいます。酸化されやすい脂肪酸はオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)とオメガ6脂肪酸(サラダ油など)です。それらの油(脂肪酸)が体内に多ければ多いほど、脂肪酸は酸化されて細胞機能を低下させてしまうということになります。

オメガ6脂肪酸を意識的に摂らないようにしない限り、現代人の体内には多くの「酸化しやすい油」が存在することになります。そのような状態でオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)をサプリメントから過剰に摂取していると、体内には酸化されやすい脂肪酸が過剰になります。

酸化した油が体内にたくさん存在すると、細胞膜に存在する脂肪酸は過酸化脂質となり、細胞自体が機能しにくくなります。その結果、生活習慣病やがん、アルツハイマー病、下痢便秘、肌荒れなどさまざまな症状を引き起こします。

こうした副作用まで考え、体内の酸化の面からも、DHA・EPAサプリメントの過剰摂取は避けるべきです。

過剰摂取にならない効果的なDHA・EPAサプリメントの摂り方

含有率と酸化の2点から、サプリメントでのDHA・EPAは過剰摂取を避けた方が良いことを確認してきました。では、サプリメントからはDHA・EPAをどのように補うと良いでしょうか。

せっかくお金をかけてサプリメントを購入するのであれば、「健康や美容」という結果につなげたいものです。DHA・EPAサプリメントの実感をしっかり得たい場合は以下の点に気を付けて摂取すると良いです。

  1. 魚料理やナッツを大量に食べた日はサプリメントの摂取を控える
  2. オメガ6脂肪酸の摂取を控える
  3. 抗酸化物質を積極的に摂る
  4. ストレスや睡眠・運動など他の生活習慣も気を付ける

魚料理やナッツを大量に食べた日はサプリメントの摂取を控える

サンマやイワシなどの青魚、ナッツ類、また、亜麻仁油やエゴマ油を大量に食べると、オメガ3脂肪酸は体内にたくさん取り入れられます。オメガ3脂肪酸のうち、魚にはDHA・EPAが含まれており、ナッツや亜麻仁油、エゴマ油にはαリノレン酸と呼ばれるオメガ3脂肪酸の一種が含まれています。

αリノレン酸は摂取すると体内で「αリノレン酸 → EPA → DHA」と変化するため、ナッツや亜麻仁油なども健康のために良いとされています。しかし、αリノレンがDHAまで体内で変わる変化率は0.2~15%とされています。

そのため、「魚料理を食べる頻度が少ない人にとってナッツや亜麻仁油はDHA・EPAの良好な摂取源」とされていますが、体内での変換率を考えるとそうとは言い切れません。したがって、「DHA・EPAを摂取するのであれば魚料理かサプリメントが良い」といえます。

このように「αリノレンはDHA・EPAとして作用しにくい上に、オメガ3脂肪酸であるため酸化しやすい」という特徴があります。「ナッツや亜麻仁油は健康のために良い」とされていますが、酸化されやすい脂肪酸であることを意識し、過剰な摂取は避けましょう。

体内に入る前の食品に含まれているオメガ3脂肪酸の量は「イワシ2尾 = くるみ片手1杯程度 = 亜麻仁油小さじ1杯」と計算されます。

イワシ2尾であれば1日に必要なDHA・EPA摂取量を補えますが、くるみや亜麻仁油は体内で直接DHA・EPAとして作用できないことから、これだけの量を摂取していても過酸化脂質となってしまい、体内で細胞を機能低下させてしまいます。つまり副作用が大きくなります。

このような過酸化脂質になるαリノレンを毎日大量に摂取した上でDHA・EPAサプリメントを摂取していると、「酸化を防ぐ抗酸化物質」がαリノレンに使われてしまって、サプリメントから入ってくるDHA・EPAの酸化まで防ぐことができません。

DHA・EPAとして効果的に体内に取り入れたいのであれば、ナッツや亜麻仁油は控え、魚料理かサプリメントから摂取するのが良いです。

また、毎日青魚を食べる習慣がある人は、サプリメントを摂取することでオメガ3脂肪酸の過剰摂取となるため、「サプリメントは青魚を食べない日だけにする」など工夫するようにしましょう。

他には、まったく魚を食べない人の場合はナッツや亜麻仁油、エゴマ油を「オメガ3脂肪酸の摂取源」にするのではなく、良質なDHA・EPAサプリメント(含有量が多く、酸化されていないもの)を規定量飲むことでオメガ3脂肪酸を摂り入れましょう。

オメガ6脂肪酸の摂取を控える

オメガ6脂肪酸の摂取を控えることは、過酸化脂質の生成を抑制するために必要です。オメガ6脂肪酸(サラダ油など)も酸化されやすい油であるため、摂取量が増えると抗酸化物質がオメガ6脂肪酸の酸化防止に使われてしまいます。

DHA・EPAサプリメントの効果を実感したいのであれば、サラダ油などの摂取は控えましょう。また、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸は細胞膜上で椅子取りゲーム状態で存在しています。

せっかくサプリメントでオメガ3脂肪酸を摂取していても、それ以上にオメガ6脂肪酸の摂取が多ければ、細胞膜はオメガ6脂肪酸の割合が多くなってしまいます。

上述の通り、現代人はオメガ6脂肪酸の過剰摂取になりがちであり、例えば唐揚げ4個またはドーナツ2個食べれば、1日に抑えたいオメガ6脂肪酸量をオーバーしてしまいます。ポテトチップスは1袋食べると、推奨量の5倍ものオメガ6脂肪酸量を摂取することになってしまいます。

このように健康や美容のためにオメガ3脂肪酸をサプリメントで摂取していても、オメガ6脂肪酸の摂取が多ければ効果を感じにくくなってしまうため、油の摂り方には注意が必要です。

抗酸化物質を積極的に摂る

さらにDHA・EPAサプリメントの効果を実感するためには、抗酸化物質を積極的に摂ると良いです。抗酸化物質であるビタミンE、Cやポリフェノール、セサミンなどは魚介類や野菜、果物、ワイン、ゴマやアーモンドなどに多く含まれています。

食事から摂取する魚やサラダ油、さらにサプリメントから摂取するDHA・EPAの酸化を防いで過酸化脂質の生成を抑えるには、野菜や魚介類を積極的に摂取しましょう。

ただ、アーモンドはビタミンEが豊富であり、抗酸化物質として有名ですが、同時にオメガ6脂肪酸も多く含まれているため、食べ過ぎには注意が必要です。

ストレスや睡眠・運動など他の生活習慣も気を付ける

油や抗酸化物質の摂取の仕方以外に、ストレスや睡眠不足もDHA・EPAサプリメントの効果に関係します。ストレスは体内の炎症を増やすと共に、活性酸素を増やす原因にもなります。また、睡眠不足や運動不足な状態も活性酸素を増やします。

活性酸素が増えると、体内に存在している脂肪酸は酸化されやすくなります。どんな良質なサプリメントを摂取していても細胞膜に取り入れられる時点で酸化されてしまっては、効果がなくなってしまうため、活性酸素の発生には注意が必要です。睡眠をしっかりとって、適度な運動を心掛けましょう。

まとめ

ここではオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂り過ぎても良いのかどうかを確認してきました。DHA・EPAは健康や美容にとって欠かすことのできない脂肪酸です。1日に必要なDHA・EPAをサプリメントだけで補おうとすると、メーカー側が推奨する量より過剰に摂取しなければなりません。

しかし、DHA・EPAサプリメントの過剰摂取は「DHA・EPAの含有率」「脂肪酸の酸化」から考慮して、避けた方が良いです。DHA・EPAサプリメントを過剰摂取することで、DHA・EPA以外の脂肪酸も過剰摂取してしまい、体内での酸化はされやすくなってしまいます。これが、副作用につながります。

また、DHA・EPAサプリメントを摂取する際は、同じオメガ3脂肪酸であるナッツや亜麻仁油を控える必要があります。抗酸化物質をαリノレンの酸化防止に使われてしまうだけでなく、αリノレンはDHA・EPAとして作用し切れません。

普段の食生活で補え切れないDHA・EPAをサプリメントから補う気持ちで、青魚を食べなかった日などに抗酸化物質を意識しながらサプリメントから補っていきましょう。

青魚を食べていても、「不調が続いている」「美容面で気になる部分が多い」「冷えや肩こりがひどい」「やる気が起きない」など、何らかの症状を有しているケースがあります。この場合、オメガ6脂肪酸(植物油脂)の過剰摂取や脂肪酸の酸化などの理由でDHA・EPAが作用し切れていない可能性があります。

そういった場合は油の摂り方を見直すと共に、抗酸化物質の摂取や生活習慣の改善によってDHA・EPAサプリメントが体内で作用しやすい身体に整えましょう。

DHA・EPAの摂取で健康と美容について効果を感じたい場合は、ナッツや亜麻仁油、オメガ6脂肪酸の過剰摂取を避け、酸化防止を意識すると良いです。