髪の毛について、白髪を改善したいと悩んでいる人は男女共に多いです。黒髪が多い日本人にとって白髪があることに違和感を覚える人は多く、白髪染めなどで白髪を目立たなくする傾向にあります。

また、白髪といえば老化の兆候であるイメージが大きいです。ただ、20代や30代など若いうちから生えてくる人もいます。そういった白髪については「遺伝だから仕方がない」と諦めがちになります。ただ、そうなると定期的な白髪染めが欠かせない生活となります。

白髪は本当に遺伝や老化の問題なのでしょうか。

ここでは、白髪が生えるメカニズムと改善方法、また白髪の改善にDHA・EPAが効果的であるのかについて確認していきます。

白髪が生えるメカニズム(メラニン不足)

髪の毛や体毛などは、人種や遺伝によって特定の色がついています。そのような毛の色はメラニン色素によって決められます。メラニンといえば「肌にできるシミの元」というイメージが強く、あまり良い印象がないかもしれません。

本来メラニンは、「有害な紫外線から肌や髪の毛を守る」という重要な役割を果たしているのです。メラニンがないと肌や髪の毛は紫外線から守られずに内部の組織が壊され、皮膚がんなどの病気につながります。メラニンは肌や髪の毛を守っている黒い日傘だとイメージしてください。

肌でも髪の毛でもメラニンが作られる過程は同じです。髪の毛の根本の毛球部分にメラノサイトという細胞が存在します。そのメラノサイトによってメラニンが作られ、髪の毛の先までメラニンが運ばれ、黒や茶色の色素が付きます。

つまり、白髪が生える主な原因は、髪の毛中にメラニンがなく、色がつかないことによります。では、どうして髪の毛のメラニンが不足してしまうのでしょうか。それには以下の2つの理由があります。

  1. メラニンを作る材料が足りない
  2. メラノサイト(メラニン生成細胞)の機能低下

1.のメラニンを作る材料になるのがチロシンいうアミノ酸です。チーズや大豆製品などのたんぱく質を摂取することでチロシンが取り入れられます。さらにメラニンを生成するためにはアミノ酸だけではなく、ビタミンB群やミネラルなどさまざまな栄養素が必要となります。

そのため、これらさまざまな栄養素を含む、肉、魚、卵、豆製品、野菜、海藻、果物、発酵食品などをまんべんなく食べるようにしましょう。

また、栄養をバランスよく摂っていても、血流が悪い状態だと頭皮にあるメラノサイト(メラニン生成細胞)までしっかりと栄養が運ばれません。私たちが食べた物の栄養は胃腸で消化され、腸粘膜から血管に入り、血液に運ばれ全身の細胞へ届けられます。

髪の毛の毛根は頭皮中にあり、頭皮にはたくさんの毛細血管が通っています。メラノサイトはその毛細血管から栄養と酸素を受け取り、メラニンを作るのです。

つまり、頭皮の毛細血管中の血流が良い状態であれば、スムーズにメラノサイト(メラニン生成細胞)まで栄養と酸素が運ばれ、髪の毛の色素(メラニン)が作られるのです。

頭皮の毛細血管の血行をよくすることは、白髪対策だけでなく、抜け毛や頭皮のトラブル予防にも関係します。

頭皮の血行を良くするためには、毛細血管をしなやかな状態にすることが重要です。そのためには、脂質の摂り方がポイントとなり、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取することで毛細血管の壁がしなやかになり、血液は流れやすくなります。

DHA・EPAは魚(特に青魚)に多く含まれており、イワシやさんま、サバなどを食べることで補えます。

一方オメガ6脂肪酸を摂取すると、血管の壁は硬くなり、血液は流れにくい状態となります。オメガ6脂肪酸はサラダ油(大豆油、コーン油、紅花油、ゴマ油など)や加工食品、お菓子、惣菜などに多く含まれており、現代人はオメガ6脂肪酸の摂取が無意識のうちに過剰になりがちです。

メラニンの材料となるたんぱく質(アミノ酸)をしっかり取り入れているにも関わらず、白髪が増えていくという場合は、頭皮の血流不良が原因でメラノサイトに栄養と酸素が送られていない状態かもしれません。

頭皮は身体の先端部分にあり、最も血流が滞りやすい場所の1つです。血流を良くするために、積極的にオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取しつつ、オメガ6脂肪酸(サラダ油など)の摂取を控えるようにしましょう。

2.のメラノサイト(メラニン生成細胞)の機能低下は加齢による原因が大きいです。白髪発生の平均年齢は30代中頃であり、40代では80%、50代では90%の人で、少なくても1本以上白髪が生えています。

加齢に伴い体内の活性酸素(細胞を傷つける酸素)や炎症は増加しやすくなります。活性酸素や炎症が増えることで髪の毛に存在するメラノサイトは機能低下し、メラニンを生成しにくくなります。その結果、白髪が多い髪の毛になります。

そのため、加齢による白髪発生を減らしたい場合は、活性酸素を発生させにくくし、炎症を抑制する必要があります。

活性酸素は紫外線、栄養の過不足、睡眠不足、運動不足、ストレスなどで増えます。睡眠や運動などの生活習慣を意識的に見直し、ストレスに対応できるような状態にしておくことが必要です。

また、体内で起きる炎症といえば、発熱や腫れ、湿疹など、何か(病原菌侵入や虫刺され、打撲など)に免疫細胞が反応して起きる自然な症状です。ただ、そういった原因とは無関係に常に体内で炎症が続いている状態は細胞の機能低下を引き起こします。頭皮のメラノサイトも体内の炎症によって機能低下し、白髪の原因となります。

炎症を促進させるものはオメガ6脂肪酸(サラダ油など)や糖質(砂糖など)の過剰摂取です。惣菜やコンビニ弁当、お菓子など、これらが含まれているものをよく食べていると炎症を起こしやすくなり、白髪の原因になります。

逆に炎症を終息・抑制するものはオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAは魚を毎日摂取しない限り補うことが難しいですが、魚料理が苦手な場合は魚の缶詰やサプリメントの利用も摂取手段の一つになります。

このように活性酸素と炎症を抑制することで、加齢による白髪増加は避けられるようになるのです。

食事によってメラニンを作る材料をしっかり補えているのであれば、生活習慣(睡眠や運動習慣)を見直して油の摂り方(オメガ3脂肪酸の摂取・オメガ6脂肪酸の回避)を意識することで、加齢によるメラノサイトの機能低下を予防することができます。

肌のシミ発生と白髪予防のメカニズム

髪の毛と肌では、メラニンが作られる過程(メラノサイト→メラニン)は同じです。黒髪も肌のシミもメラニン生成によって作られます。しかし、「シミがない美肌のためにはメラニンは敵」「黒髪のためにはメラニンは必要」となります。

したがって、多くの人が求める美(黒髪、美肌)を考えると、「メラニンはしっかり生成された方が良いのか、それとも否か」について理解しにくいです。

実は、髪の毛と肌に存在するそれぞれのメラノサイトの働き方には違いがあります。肌に存在するメラノサイトは紫外線やストレス、炎症、活性酸素などの刺激を受けることでメラニンを生成しようとします。そのため、シミ予防にはストレスや炎症を避けて過剰なメラニンを作らないようにすることが大事になります。

一方、髪の毛に存在するメラノサイトは、炎症や活性酸素、紫外線などがメラニン生成のきっかけになるわけではなく、メラノサイトに栄養と酸素が運ばれることで継続的にメラニンを生成しているのです(紫外線などのきっかけは必要ない)。

そのため、加齢による活性酸素増加では、肌にあるメラノサイトは活性化するのに対し、頭皮にあるメラノサイトは機能低下するのです。その結果、加齢による変化では、「肌のシミが増えるのに対し、髪の毛では白髪が増える」という状態になります。

つまり、肌のメラノサイトでは紫外線や活性酸素がメラニン生成(シミ発生)のきっかけになります。しかし、髪の毛にとって紫外線や活性酸素はメラノサイトの機能低下(メラニン不足)になるどころか、紫外線を頭皮に直接浴びることで毛根の細胞は傷つき、どんどん白髪が増えるのです。

このように、「黒髪を守る」ことと「肌のシミを少なくする」ことは、同じように「メラノサイトからのメラニン生成」が関係していますが、メラノサイトの機能メカニズムは逆になります。

黒髪と美肌を考慮するのであれば、直接紫外線を浴びないようにし、活性酸素や炎症などの刺激を減らすことが重要になります。

白髪の発生原因(睡眠不足とストレス)

ここまで、メラニンが作られにくくなることで白髪が発生するメカニズムを確認してきました。その中で、睡眠不足は活性酸素を増やす原因となり、睡眠の重要性も述べましたが、睡眠が白髪予防に必要なより深い理由があります。

それは睡眠中の成長ホルモンの分泌です。内臓機能や血流など、全てに関係する細胞が修復・再生するのは成長ホルモンの影響が大きいです。ストレスに対応できるホルモンをしっかり分泌できるようにするためにも、睡眠が必要です。

そのため、睡眠が十分に足りていないと、せっかく栄養を摂っていてもそれを生かせない身体になってしまい、黒髪を守るのに必要な栄養や酸素も不足してしまうのです。

また、「白髪が多い=ストレスを抱えている」という認識が広まっています。ストレスを多く感じる状態では、活性酸素を増やすこと以外に白髪発生にも影響します。

ストレスを多く感じていると、自律神経のうち交感神経が優位になります。すると、交感神経の作用で血管が縮小し、血液は流れにくくなります。その結果、頭皮の毛細血管まで十分な血液が流れず、メラノサイトに酸素と栄養が届きません。これが、ストレスが白髪発生を促進する理由です。

ストレスを避けることは難しいですが、十分な睡眠と適度な運動で交感神経優位な状態を減らし、流れやすい血流を意識しましょう。

白髪の改善にDHA・EPAが関係している

ここまで、白髪発生のメカニズムを確認してきました。白髪予防には「メラノサイト(頭皮にあるメラニン生成細胞)にしっかり栄養と酸素が運びメラニンを生成させる」「活性酸素と炎症を抑制してメラノサイトを活発にする」ことが重要です。

そのためにはオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取が重要でした。メラノサイトまで「栄養と酸素を運ぶ血液」を流れやすくし、炎症を終息・抑制させるのが、DHA・EPAの作用です。

さらに、DHA・EPAは細胞膜を柔軟にする働きもあります。メラノサイトの細胞膜にDHA・EPAが多いことで、細胞内に栄養と酸素は取り込まれやすくなります。そして、細胞膜の柔軟化は「メラニンを作れ」という情報交換を促進させます。

しかし、DHA・EPAが体内でそのように機能する(スムーズな血流・炎症抑制・情報交換をさせる)ためには、「DHA・EPAが酸化されていないこと」が重要なポイントになります。細胞膜の脂肪酸が酸化していると、以下のイラストのように細胞は機能低下を起こしてしまいます。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は油の中で酸化されやすい油に分類されます。これらの脂肪酸(魚油やサラダ油など)に「熱・酸素(空気)・光」の要素が加わると、脂肪酸は酸化されてしまいます。

例えば、惣菜のアジフライは調理(加熱)してから、酸素にふれ、光が当たる場所に置かれているため、「アジに含まれているDHA・EPAも、揚げるために使用してあるサラダ油も酸化してしまっている」ということになります。

白髪予防に必要なDHA・EPAであっても、酸化していたら体内で過酸化脂質となり、血液の流れを悪くし、細胞機能も低下させてしまいます。そのため、魚料理からDHA・EPAを補う場合は、新鮮な刺身か調理したての魚料理を食べるようにしましょう。

さらに新鮮な魚料理でも体内に活性酸素が多い状態だと、DHA・EPAは過酸化脂質に変換されてしまいます。睡眠や運動などの生活習慣を整え、活性酸素の過剰な発生を抑えるようにすることが重要です。

体内での脂肪酸の酸化を防ぐポイントとして、「抗酸化物質を積極的に摂る」ことがあげられます。魚介類や野菜、果物、種実類に酸化を防ぐ栄養素が含まれているため、意識的に摂るようにしましょう。

また、DHA・EPAをサプリメントから補う場合は、抗酸化物質(ビタミンEなど)が添加されていることを確認すると安心です。

生活習慣や食生活を意識してもなかなか白髪改善につながらない場合は、頭皮の毛細血管の状態が悪かったり、炎症が増えてメラノサイトが働きにくくなっていたりする可能性があります。

そういった場合は、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取とオメガ6脂肪酸(サラダ油)の回避を心掛けて、栄養や酸素が頭皮まで届く状態を整えましょう。これは、白髪だけではなく抜け毛にも効果的です。

頭皮の血行を良くする

白髪予防のためにDHA・EPAの摂取などで頭皮の毛細血管を流れやすい状態に整えたら、しっかりと血行の良さを持続させることが重要です。

実際に頭皮を鏡などで見てみると頭皮の色を確認できます。頭皮の色からは以下のように血行状態が判断できます。

  • 白や青:血行が良く、栄養や酸素が行き渡っている
  • 黄色:血行がやや悪く、栄養や酸素が行き渡りにくい
  • 茶やピンク:血行が悪く、栄養や酸素が行き渡らない(毛細血管がうっ血している場合もある)

このように頭皮の色が黄色や茶色、ピンクの場合は、毛細血管に炎症が起きていたり、血管に過酸化脂質が蓄積されていたりする可能性があります。

特に肩こりや頭痛が頻繁にある人は、頭周辺の筋肉が緊張して血液が流れにくい状態にあります。血液の材料となるバランスの良い食事を心掛けた上で、ストレッチや軽い運動をして頭皮の血行を良くしましょう。

白髪染めは続けていても問題ないか

白髪はまだらになって生えてくるため、その白髪を隠そうと市販の白髪染めを使ったり、美容院で染めたりする人は多いです。しかし、白髪染めを一度使い始めると、どんどん生えてくる白髪に対して毎回染めていかなくてはいけないため、永遠に使い続けることになります。

では白髪染めを永遠に使用することは髪の毛や頭皮にとって問題ないのでしょうか。市販されている多くの白髪染め商品は、「髪の毛のメラニン色素をいったん抜いてから、新たに髪の毛の内部に色を入れる」という仕組みで染めるようになっています。

しかし、そのような商品で髪の毛に色を入れる際には、薬剤による酸化反応を利用しているため、活性酸素を発生させます。活性酸素はメラノサイト(メラニン生成細胞)の働きを抑えてしまいます。その結果、白髪染めを使えば使うほど、髪の毛にメラニンは作られなくなり、白髪が増えるということにつながります。

ただ、白髪染めでもトリートメントタイプの商品であれば酸化反応を利用しない方法で染まるため、生えてきた白髪を隠したい場合はトリートメントタイプを使うことをお勧めします。

同時に、「ストレスや生活習慣の乱れで機能低下したメラノサイトは復活できる」ということも頭に入れ、身体の中からメラニンがしっかり含まれた髪の毛を作り出すことを意識しましょう。

「白髪を抜く」という対処法は良いのか

白髪が生えてきたら、毛根から抜いてしまう人もいます。「白髪を抜いたら白髪が増える」という認識も広まっていますが、抜くと増えるという科学的根拠はありません。

しかし、髪の毛を毛根から抜くことで頭皮にある毛穴は炎症を起こしやすくなります。頭皮の炎症はメラノサイトの機能低下につながり、結果的にメラニンが作られにくくなります。

白髪は頭皮の状態から変えていくことを心掛け、対症療法として毛根から抜くことは控えましょう。

まとめ

ここでは白髪が生えてくるメカニズムと白髪予防方法について確認してきました。白髪は一度生え始めたら「体質だ」と諦めるものではなく、白髪の生えにくい状態に改善することができるものです。

白髪の大きな原因はメラノサイト(メラニン生成細胞)の機能低下です。頭皮のメラノサイトは栄養不足・活性酸素・炎症・血行不良などの条件でメラニンを生成しにくくなります。

肌のメラノサイトは紫外線や活性酸素、炎症によってメラニン(シミの元)が作られやすくなるのに対し、頭皮ではこれらの要因でメラニンが作られにくくなります。

血行を良くして、炎症を抑制するためには油の摂り方が鍵を握ります。オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を積極的に摂取し、オメガ6脂肪酸(サラダ油)の摂取を控えるよう心掛けましょう。同時にDHA・EPAの酸化を防ぐために抗酸化物質(ビタミンE・Cなど)も摂り入れる必要があります。

栄養バランスや油の摂取を意識し、十分な睡眠をとることで寝ている間に細胞は修復され、機能低下したメラノサイトはメラニンが生成できるように改善します。

「白髪が生えてきたら白髪染めで隠すしかない」と思っていた人は、身体の中から頭皮の毛細血管に栄養と酸素をしっかり送れる状態に変えていくことを心掛けましょう。白髪染めが必要ない髪の毛に変わっていきます。