加齢に伴って顔にできるしわやたるみに悩む人は多いです。若い人でも同年齢の人たちに比べて「自分にはしわが多い」と悩み、さまざまな美容クリームなどを試す人もいます。

しわやたるみは顔の印象を変えてしまうため、少しでも減らしたいものです。

現代は「しわやたるみを軽減するクリーム」「しわを減らすマッサージ」「しわを消すエステ」など目でみえる部分からアプローチする商品がたくさんあり、次々と試したくなります。

しかし、しわやたるみは目でみえる部分からではなく、身体の中からのアプローチが重要になってくるのです。つまり、しわやたるみは皮膚だけの問題ではなく、身体の中の細胞・血管状態が大きく関係しています。そのためにはDHA・EPAが深く関わっています。

ここでは、「しわやたるみとは何なのか」、しわやたるみが発生する原因を確認し、油の摂り方でしわやたるみが発生しにくい細胞・血管にする方法を述べていきます。

しわやたるみを生じる原因

肌は表面から表皮・真皮・皮下組織と3層からできてきます。主に表皮はバリア機能として働き、体内の水分喪失や有害物質の侵入から守る作用を担っています。そして表皮の下に存在する真皮が「しわとたるみ」に大きく関係します。

真皮は主にコラーゲンから作られています。コラーゲンとコラーゲンをつなげる繊維としてエラスチンが存在し、コラーゲンとエラスチンで網目構造を作っています。さらに、その網目構造の隙間を埋める水分を保つゼリー状の物質としてヒアルロン酸があります。

これらのコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸によって弾力のある網目構造を作ることによって、肌にも弾力が生じます。弾力のある網目構造はウォーターベッドをイメージしてください。コラーゲンとエラスチンでベッドのスプリングを形成しています。そのバネの間を埋めるゼリー状の水がヒアルロン酸です。

逆にいえば、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸のどれか一つの成分が不足すると、みずみずしい弾力のある肌は作られないのです。その結果、しわやたるみとして現われるのです。

つまり、しわやたるみの主な原因は真皮を構成するコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸による網目構造の不良です。しわやたるみの改善を謳ったスキンケア商品や栄養ドリンクに「コラーゲン・ヒアルロン酸配合」という文字をよく目にするのはこのためです。

そこで、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸の成分が不足して真皮の弾力がダウンすることを防がなくてはいけません。

コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は以下のようなものを食べものに多く含まれています。

  • コラーゲン:鶏皮、手羽、魚の皮、牛すじ肉、豚肉、鶏軟骨、うなぎ、ふかひれ、すっぽん、ゼラチンなど
  • エラスチン:牛すじ肉、手羽、煮魚、軟骨など
  • ヒアルロン酸:手羽、魚の目玉、うなぎ、ふかひれ、オクラ、納豆など

しかし、これらの真皮を形成する成分はそのまま吸収されて肌に届くわけではありません。コラーゲンは動物性たんぱく質の一種であり、ほかのたんぱく質と同じように胃で消化されて、腸から吸収されます。コラーゲンそのままの大きさでは肌まで届かないため、一度小さく分解されるのです。

その後分解されたコラーゲン(アミノ酸)は腸粘膜から血管に入り、血液にのって全身の細胞まで運ばれます。そして真皮中にある線維芽細胞によって、再度アミノ酸からコラーゲンに合成されるのです。

同じように、エラスチンも含まれている食べ物を摂取してそのまま肌に運ばれるわけではありません。アミノ酸として腸から吸収されて血管内を通り、真皮にある線維芽細胞にて合成されます。

さらにヒアルロン酸も同様で、上記のような食べ物を摂取してもそのまま真皮にヒアルロン酸は蓄積されません。胃で分解されて小さくなってから腸より血液中に吸収されます。そして、ヒアルロン酸もコラーゲン、エラスチンと同じように線維芽細胞で合成されます。

そのため、弾力のある肌のためにと「コラーゲン・ヒアルロン酸配合」と書かれている栄養食品やサプリメントを摂取しても、真皮細胞に存在するコラーゲンやヒアルロン酸自体が増えるわけではないのです。では、実際にコラーゲンなどを効率よく体内で合成するためにはどうすれば良いのでしょうか。

コラーゲンなどの吸収を高めるには何が必要か

手羽やたんぱく質などコラーゲン合成の材料となる栄養素を摂取しても、しっかりと腸から吸収されないことにはコラーゲンやヒアルロン酸などは作られません。

コラーゲンなどの元となる栄養素はいずれも胃で消化されて腸粘膜から吸収されます。そのため、腸内環境が整っていないと良質な栄養素が吸収されません。

普段の食生活から、糖質(砂糖、小麦製品など)や酸化油脂(調理してから時間が経過している油脂、サラダ油など)、食品添加物などを多く摂取していると、腸の中では悪玉菌が増え、腸粘膜に傷をつけて栄養素を吸収しにくい状態にしてしまいます。

逆に、乳酸菌(納豆やヨーグルトなどの発酵食品)、食物繊維(野菜、海藻など)、DHA・EPA(魚の脂質)などの摂取は、排便を促して老廃物を排出しやすくすると共に、良質な栄養素を体内へ吸収しやすい状態にします。

さらに、DHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸は「悪玉菌の増殖によって炎症を生じている腸粘膜を修復してくれる作用」があります。普段から悪玉菌が増えるような食生活を送っている場合は、まずDHA・EPAによる腸粘膜修復が必要になります。

真皮にてしっかりコラーゲンなどを作り出すためには、甘いものや加工食品、惣菜(サラダ油使用)などは控え、腸内環境を整えることを意識しましょう。

コラーゲンなどの合成を促す

また、コラーゲンを合成するためには、コラーゲンの材料となるアミノ酸だけでなく、ほかのアミノ酸や鉄(ミネラル)、ビタミンなどの栄養素も必要となります。同じようにエラスチンやヒアルロン酸も線維芽細胞内で合成される際、アミノ酸だけではなくさまざまな栄養素が必要となります。

たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどあらゆる栄養素を同時に真皮まで届けなければ、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸は合成しにくくなります。

そのために、手羽やうなぎなどコラーゲンの元となる食品だけでなく、穀類、肉、魚、卵、野菜、海藻、果物、きのこ、発酵食品などあらゆる食品を摂取することが必要になります。

線維芽細胞による美容成分合成力を高める

しわやたるみを生成しにくくするためには「弾力のある真皮を作り出すコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸のスムーズな合成」が鍵を握ります。

これらの成分はどれも真皮に存在する線維芽細胞の中で合成されます。つまり、線維芽細胞は肌のハリや弾力を作り出す工場です。

線維芽細胞の中へ運び込まれた栄養素を元に、しわを防ぐために必要なコラーゲンが合成されます。線維芽細胞内での合成をスムーズに行うには細胞自体の機能を上げる必要があります。

線維芽細胞の機能向上には細胞内にしっかりと栄養素と酸素を取り入れ、細胞内の老廃物を排出させなくてはなりません。そのためには、線維芽細胞を囲んでいる細胞膜をしなやかな状態に保ち、細胞膜の酸化を防ぐことが重要です。

さらに線維芽細胞をはじめとして、身体中の細胞膜は油と水で構成されています。細胞膜をしなやかにして物質の出し入れをスムーズにする油はオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAは魚(特に青魚)に多く含まれています。

一方、細胞膜を硬くしてしまう油はオメガ6脂肪酸(サラダ油)です。サラダ油は調理用油(コーン油、大豆油、菜種油、ゴマ油など)だけではなく、加工食品や惣菜、外食、コンビニ食品、お菓子、ラクトアイスなど身の回りの食品の多くに使用されています。

現代人は「オメガ3脂肪酸の摂取の比べ、オメガ6脂肪酸の摂取が過剰になっている」とされています。オメガ3脂肪酸は魚料理を毎日食べないと摂取できない油に対し、オメガ6脂肪酸は無意識のうちに摂り過ぎになってしまう油だからです。

細胞膜をしなやかにして、線維芽細胞内に酸素や栄養素をスムーズに取り入れるためには、毎日積極的にオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取して、オメガ6脂肪酸(サラダ油)の摂取を控えなくてはなりません。

厚生労働省が推奨している1日に必要なオメガ3脂肪酸摂取量は2.1g(成人男性)です。この量はイワシなら2尾、サンマなら1尾、サバやブリは切り身で1枚食べれば補える量です。

毎日これだけの量の魚料理の摂取が難しい場合は、DHA・EPAサプリメントでの摂取もオメガ3脂肪酸を補う手段の一つです。

そして、線維芽細胞での肌のハリ・弾力成分のスムーズな合成のために、もう一つ重要な条件として「細胞膜の酸化を防ぐ」ことがあります。

細胞膜を構成するオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸は酸化されやすい脂肪酸でもあります。せっかくオメガ3脂肪酸が豊富な細胞膜を構成できていても、その脂肪酸が酸化されていたら、細胞膜は硬くなってしまいます。その結果、細胞は酸素・栄養不足となり機能しにくくなります。

上のイラストのような状態を避けるためには、「①体内の活性酸素を増やさない」「②酸化された油脂を摂取しない」「③抗酸化物質を摂り入れる」ことが必要です。

活性酸素は体内の脂質を酸化させる物質であり、加齢によって増加します。加齢は避けられないものですが、ほかにも活性酸素を増やす要因は存在し、それらはコントロールすることができます。活性酸素を増やす要因は、ストレス、運動不足、睡眠不足、紫外線、食事の偏りなどです。

適度な運動と睡眠を維持し、ストレスを上手に解消することで、活性酸素の発生は抑制され、体内の細胞膜(脂質)は酸化されにくくなります。

また、体内で酸化されなくても、もともと酸化されている食べ物を摂っていては、過酸化脂質がそのまま体内に入ってきてしまいます。油は酸素・熱・光によって酸化されるため、調理してから時間が経っている惣菜やお菓子、魚料理、加工食品などは控えるべきです。

さらに、体内での酸化を抑制する抗酸化物質(ビタミンEやセサミンなど)を積極的に摂り入れると、酸化は防止でき、細胞膜は機能しやすくなります。野菜や果物、魚介類など、抗酸化物質が含まれているものを意識的に摂取しましょう。

DHA・EPAをサプリメントで補う場合は、ビタミンEなどの抗酸化物質が配合されているものを選ぶ必要があります。

このように線維芽細胞の細胞膜を働きやすい状態にすることで、細胞内でのコラーゲンやヒアルロン酸の合成力は上がり、しわやたるみの少ない肌となります。

毛細血管を増やして強化することがしわやたるみを作りにくくする

線維芽細胞の状態が肌のハリや弾力に大きく関係することを確認しました。肌のしわやたるみの発生を抑えて、ハリや弾力を出すには線維芽細胞の状態だけでなく、その細胞に栄養と酸素を届ける血管の状態も重要になります。

真皮にある線維芽細胞まで、コラーゲンなど美容物質を作り出す材料(栄養素)を運ぶのは血液です。コラーゲンなどの合成には栄養素だけでなく酸素も必要であり、酸素も血液によって運ばれます。血液は血管の中を流れますが、肌の周りにある血管は動脈などの太い血管ではなく、毛細血管です。

毛細血管は肌の皮下組織や真皮の中にも通っており、その毛細血管から線維芽細胞へ栄養素や酸素が運ばれます。つまり、「肌に存在する毛細血管の数が多く、強度が高いほど、たくさんの栄養素や酸素が線維芽細胞に運ばれ、コラーゲンが合成しやすくなる」ということです。

毛細血管の数は日々増えたり減ったりしています。「皮膚に存在する毛細血管の数は、30代の人に比べて70代では4割消えてしまう」といわれています。この毛細血管の数の減少が「加齢による、しわやたるみの増加」に大きく関係しています。

また、毛細血管が存在していても血管内がボロボロの状態では血液は流れにくく、血管としての機能は果たせません。

毛細血管の数を増やして、血管を強くするために必要なことを以下にまとめます。

  1. 運動をする
  2. 睡眠をしっかりとる
  3. DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)を摂る
  4. サラダ油や糖質の摂り過ぎに注意して、バランス良く食品を摂取する

「1.運動をする」ことで筋肉が活性化し、それに伴って血流も良くなります。「2.睡眠をしっかりとる」ことは、睡眠中に分泌されるホルモンが血管の修復や強化をしてくれるからです。血管を強くする食事をしていても、睡眠時間が不足していると血管は修復されにくいです。

「3.DHA・EPAを摂る」「4.サラダ油や糖質の摂り過ぎに注意して、バランス良く食品を摂取する」ことは、上で述べた線維芽細胞の細胞膜をしなやかにする油の摂り方と同じです。

血管の壁をしなやかな状態にして血液を通りやすくするのがオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)であり、逆に血管の壁を傷つけるのがオメガ6脂肪酸(サラダ油など)です。オメガ6脂肪酸や酸化油脂によってできた血管内の傷に糖などは付着しやすく、血管をさらにボロボロ(機能が低下している状態)にします。

また、DHA・EPA(オメガ3脂肪酸)は、酸化油脂などで傷ついた(炎症を生じた)血管を修復する働きもします。

さらに、血液によって酸素や栄養素をしっかり運ぶには、血液の材料となるたんぱく質やミネラル(鉄分など)、ビタミンもしっかり補って、血液量を確保する必要があります。普段の食事からあらゆる食品をバランス良く摂り入れるようにしましょう。

毛細血管は加齢によって減っていく一方ではなく、何歳になっても増やすことができます。「毛細血管の数と強度=肌のハリや弾力」とイメージし、毛細血管を強くする生活習慣を心掛けましょう。

毛細血管を鍛える運動

毛細血管の状態が肌のしわやたるみに大きく関係していることを確認しました。「毛細血管の強化には運動が良い」と理解しても、なかなか日々の生活に運動を取り入れることが難しい人は多いです。

血流を上げて毛細血管を強化するには、ふくらはぎの筋肉を活性化させることがポイントになります。1日の中で座ったままや立ちっぱなしの姿勢が長いと、どうしても血流は足から心臓へ戻りにくい状態となります。

ふくらはぎは「第2の心臓」とも呼ばれているように、血行を良くして心臓まで戻すポンプの役割をしてくれます。そのため、ふくらはぎの筋肉を動かすことで血流はアップするのです。

その場でスキップを繰り返してみたり、かかとを上下に上げ下げしたりするだけでもふくらはぎの筋肉は刺激されます。

運動する時間がない日々を送っている場合は、その場でできるスキップやかかと上下運動を取り入れ、ふくらはぎを活性化しましょう。

まとめ

ここでは、加齢に伴う肌のしわやたるみができる原因と予防法を確認してきました。しわやたるみができる原因は真皮に存在するコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸不足による網目構造の不良です。

コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は食べ物に含まれていますが、いずれも一度アミノ酸など小さい分子に分解されてから、再度真皮にある線維芽細胞内で合成され、その合成力が肌の状態を左右します。

しわやたるみを予防するには、「線維芽細胞の細胞膜をしなやかにする」「毛細血管を強化して線維芽細胞で良質な酸素と栄養を届ける」ことがポイントになります。これらは線維芽細胞内でのコラーゲンなどの合成力を高め、ハリや弾力のある肌をつくるからです。

線維芽細胞の細胞膜をしなやかにする油も毛細血管を強化する油も共通しており、それはオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。

逆に細胞膜や毛細血管をもろくしてしまう油はオメガ6脂肪酸(サラダ油など)です。植物油脂が使用してある加工食品、惣菜、コンビニ食品、お菓子などの過剰摂取を避けると共に、魚料理やサプリメントなどでDHA・EPAを摂取しましょう。

肌のしわ・たるみ対策ではクリームなどによるスキンケアも大事ですが、身体の中から肌のハリと弾力につながる成分が作られるような体質に変えていくことを心掛けると良いです。