「3人に1人が肩こりを感じている」というデータがあるほど、肩こりに悩んでいる人は多いです。特に携帯電話やパソコンを使用する時間が増えている現代は、肩こり人口が増える一方です。

肩だけではなく、背中や首など身体中に「こり」を感じている人も多いです。一方で手軽に通えるマッサージ店や整体治療院なども増え、定期的に通うことで凝りを解消している人もいます。また、鎮痛剤でこりの痛みをごまかしながら生活している人もいます。

しかし、肩こりはマッサージ店や鎮痛剤に頼らなくても、軽減したり改善したりできます。肩こりは体質ではなく、生活習慣から引き起こされる症状の1つであるため、こりの原因を改善することが肩こり解消に有効なのです。

ここでは、肩こりや身体のこりの原因は何なのかを確認し、それらにDHA・EPAが効果的なのかを述べていきます。

肩こりが引き起こるメカニズム

肩こりは、肩の周辺に、凝り・だるさ・張り・痛み・違和感などを覚え、ときには頭痛や吐き気も伴う症状です。肩こりを感じている人は慢性的に症状がある人が多く、痛みやだるさなどで生活に支障をきたします。

では、肩こりはどうして起きるのでしょうか。肩こりの原因は「筋肉の緊張」です。肩の周りには、重い頭や腕を支えている筋肉が存在しており、首や頭、腕を動かしたり、支えたりしています。背中にはいくつもの筋肉がある中、肩こりに大きく関係するとされているのが「僧帽筋(そうぼうきん)」です。

僧帽筋をはじめ、背中の筋肉が緊張することで肩こりは引き起こされます。

「筋肉の緊張 → 血行不良 → 酸素不足・老廃物蓄積 → 神経伝達悪化 → 痛みやだるさを実感」

このような流れで筋肉の緊張から肩こりの症状につながります。そして、症状として痛みを感じることでさらに筋肉は緊張し、悪循環が続くことになります。そのため、肩こりを解消したければ、筋肉の緊張と血行不良を解消することが重要になります。

筋肉の緊張はなぜ起こるのか

筋肉の緊張は原因として次のようなことが挙げられます。

  1. アンバランスな姿勢
  2. 肥満などの体型
  3. ストレス
  4. 運動不足

まず、「1.アンバランスな姿勢」では、猫背や「歪んだ座り方・立ち方」などが原因になります。姿勢の悪さは猫背だけではなく、左右前後のどこかに重心が傾いている座り方や立ち方をしていると、頭や腕を支えている僧帽筋はアンバランスな身体の状態を修正しようと頑張って働きます。

そうなることで、僧帽筋は常に収縮し(負担がかかり)、筋肉疲労や血管の圧迫を起こします。また、筋肉が働くためには血液によって運ばれる酸素と栄養が必要です。筋肉の収縮によって血管が圧迫されると、酸素と栄養が筋肉に運ばれにくくなり、さらに筋肉は働きにくい状態になります。

アンバランスな姿勢を続けることで筋肉にかかる負担は、好ましい姿勢のときに比べると1.5~2倍といわれています。

さらに長時間同じ姿勢を続けることも、適度に身体を動かしているときより筋肉を緊張させます。同じ姿勢を続けるときは、長くても30分に一度はストレッチをして、肩周りの血行を良くし、筋肉の疲労蓄積を抑制しましょう。

また、「2.肥満などの体型」も筋肉の緊張に関係してきます。肥満となり、背中や肩、腕に皮下脂肪が増えることによって、それらを支える筋肉の負担は大きくなります。

さらに肥満の人の多くは、血液中の糖やコレステロール(脂質)の量が多い状態です。つまり、血液がスムーズに流れない人が多いのです。その結果、血液から肩回りの筋肉へしっかりと酸素を送ることができず、肩こりの症状を発生させます。

このように肥満は筋肉にも血液にも負担をかけ、肩こりを助長させてしまうのです。

「3.ストレスが原因となる肩こり」には自律神経が関係します。ストレスを身体が感じると、自律神経のうち交感神経が身体を支配します。自律神経とは運動神経などと違い、自分の意思でコントロールできない神経ですが、心臓、血管、体温、呼吸、発汗、胃腸機能、腎臓など身体の重要な器官を管理しています。

自律神経のうち、ストレス時を含め緊張・興奮時に活発になるのが交感神経です。

 

交感神経が優位になるとき、筋肉は緊張し、血管も収縮します。そのため、肩回りの筋肉は働きにくくなり、肩こりとして症状が出ます。

ストレスによる交感神経優位な状態では、肩回りの筋肉だけでなく胃腸の筋肉も緊張します。こうした状態では胃腸機能がダウンします。緊張時に食欲がなくなるのは、そのためです。

胃腸機能がダウンすると、食べた物がしっかり消化吸収できず、良い状態の栄養が筋肉まで運ばれません。このように、筋肉の緊張と胃腸機能低下により、ストレス時は肩こりを引き起こしやすいのです。

「4.運動不足」では筋肉をあまり使わないことで、筋肉の衰えが生じます。筋肉は血液を流すポンプの役割もするため、筋肉が衰えると血行は悪くなり、老廃物がたまることでコリとして痛みやだるさを感じます。

このように筋肉の緊張を引き起こす理由はさまざまありますが、「筋肉の緊張」か「血行不良」どちらかの状態が先に起こることで、互いに影響し合って肩こりを生じます。

血行不良を防ぐにはどうすれば良いか

肩こりは筋肉の緊張から起こることもあれば、血行不良から起こることもあります。血行不良になる原因を以下にまとめます。

  1. 血液が流れにくい血管になっている
  2. 血液中に糖やコレステロールが多い
  3. 鉄分などの栄養不足
  4. 運動不足
  5. ストレス
  6. 低血圧

血行不良の大きな原因として「1.血管の状態」が大きく関係しています。血管に炎症(傷)があったり、過酸化脂質(酸化された脂質)があったりすると、血管の壁は硬い上に狭くなり、中を通る血液は流れにくくなります。

過酸化脂質は摂取した脂質(サラダ油や魚油)が体内の活性酸素によって酸化されることによって生成されます。体内の活性酸素はストレス、運動不足、睡眠不足、加齢などによって増加します。

活性酸素の発生を抑制し、血管に生成される過酸化脂質を少なくするためには、サラダ油などの過剰摂取を避けると共に、適度な運動や睡眠を維持することが重要です。また、体内での酸化を抑制する抗酸化物質を積極的に摂取しましょう。野菜や果物、魚介類に抗酸化物質は多く含まれています。

また、「2.血液の状態」も血行不良には大きく関係します。血液は栄養素、酸素、ホルモンを全身の細胞まで運んでいます。そのため、血液がスムーズに流れないと各細胞まで栄養素や酸素が行き渡らず、肩回りの筋肉細胞も酸素不足になります。その結果、筋肉は働きにくい状態になり肩こりにつながるのです。

血液が運ぶ栄養素の中でも、糖質(ブドウ糖)や脂質(酸化コレステロール)が多い状態だと、血液は流れが悪くなります。現代人は糖質と脂質を同時に摂取してしまう食べ物を好む人が多いです。ラーメン、寿司、ピザ、丼もの、菓子パン、お菓子、揚げ物、ラクトアイスなどがそれに相当します。

そういったものを普段から多く摂り入れていると、血液の質は低下し、血管内を流れにくい状態となります。

さらに、血行の状態には「3.血液中の栄養状態」が関係します。血液中に存在する酸素はヘモグロビンという鉄分とたんぱく質が合わさった物質によって運ばれています。

そのため、上のイラストのように、ヘモグロビン(椅子)の数が少ない場合は、運ばれる酸素の量が減ってしまうのです。全身の細胞へ運ばれる酸素が減ると、肩回りの筋肉細胞も酸素不足となり働きにくくなります。

細胞が酸素不足になると、細胞でエネルギーが作られにくくなるため、細胞の機能は低下します。また、一つ一つの細胞で行われる「必要なものは取り入れて、不要なものは排出する」という物質交換が行われにくくなるため、老廃物がたまってしまいます。

老廃物がしっかり排出されない細胞では、細胞同士の神経伝達がしにくくなり、痛みやだるさを感じるようになるのです。

このような流れで栄養不足が肩こりを引き起こすのです。特に女性の多くは鉄不足に陥りやすいです。

また、血液の成分になるのは、鉄分だけでなく、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどあらゆる栄養素です。

血液によってしっかり栄養素や酸素を全身へ運ぶためには、肉や魚、卵、豆製品、乳製品、野菜、果物、海藻などまんべんなく食品を摂取し、血液の成分を補うことが重要です。特に動物性のたんぱく質(肉や魚、卵など)は血液の成分を補いやすいため、ダイエットなどで制限することは避けましょう。

「4.運動不足」と「5.ストレス」は、上の「筋肉の緊張はなぜ起こるか」の部分で述べた通り、筋肉の衰えと交感神経による筋肉緊張が影響して、血行不良を引き起こします。

そして、女性に多い「6.低血圧」も血行不良を引き起こします。血圧は心臓から血液を流すポンプの力のことです。現代人は高血圧による健康被害に注目しがちですが、実は低血圧も健康的な生活に影響します。低血圧は、血液を流すポンプの力が弱い状態です。

ポンプの力が弱いと、身体の隅々まで血液が流れにくくなります。その結果肩回りの筋肉細胞まで酸素が届きにくい状態となり、肩こりを引き起こします。

このようにさまざまな原因から血液の流れが悪くなり、酸素や栄養が運ばれにくくなります。人によって生活習慣が違うため、何が原因で血行不良を起こしているかは違います。自身の生活習慣を見直し血行不良を改善しましょう。

マッサージは肩凝り解消につながるのか

肩こりの原因になる筋肉緊張と血行不良についてそれぞれ確認してきました。

肩こりを感じていて定期的にマッサージを受ける人はいます。マッサージを受けることによって「気持ちが良い」と感じるから、お金をかけて施術を受けるのですが、実際にマッサージはどのように肩こり改善に作用しているのでしょうか。

マッサージは「筋肉をもみほぐして筋肉の緊張を改善している」というイメージがあります。しかしマッサージを受けたことがある人なら感じたことがあるかもしれませんが、マッサージをして一時的に身体のだるさが軽減されても、少し経つとマッサージ前と同じように肩こりを感じてしまいます。

つまり、マッサージによって筋肉の緊張は改善されないのです。それどころか、マッサージによって筋肉に刺激を受けることで、身体の防御反応が働いて、さらに緊張を強めてしまう場合もあるのです。

そのため、マッサージで筋肉をもみほぐされる行為は一時的な快感は得られるものの、根本的な肩こり改善にはつながりません。

一方整体などの治療では、姿勢の悪さが原因となっている筋肉や背骨の歪みを整えてくれるため、筋肉緊張の解消が期待できます。

なお、マッサージによる「筋肉をもみほぐす」という刺激は肩こりの原因解決にはなりませんが、「筋肉(皮膚)をなでる」という行為は筋肉の緊張をほぐしてくれます。筋肉に刺激を与えずゆっくりなでることによって、交感神経(身体全体の緊張)が抑えられます。

肩こりを改善したい場合は、マッサージ店に定期的に通うより、背中や肩をなでることを心掛けましょう。

肩こり解消にDHA・EPAはどう関係しているのか

肩こりの解消のために意識的に摂取したい栄養素があります。それは、DHA・EPAといわれる魚に含まれている脂質です。DHA・EPAはオメガ3脂肪酸の仲間です。オメガ3脂肪酸は血管の壁をしなやかにして、赤血球の膜を柔軟にするため、血管中の血液の流れを良好にします。

また、オメガ3脂肪酸は血管中に起きている炎症(傷)を終息・抑制させます。血管に炎症がある状態は血行不良の原因となります。血液の流れを良くして肩回りの細胞に良好な栄養と酸素を届けるためには、「炎症がない状態」が必要なのです。

血液によってしっかり酸素と栄養が肩回りの筋肉細胞まで運ばれれば、筋肉細胞は働きやすい状態になります。筋肉細胞に酸素と栄養を取り入れ、老廃物を排出できれば、痛みやだるさなどの肩こりを感じにくくなります。

一方、オメガ6脂肪酸(サラダ油など)は炎症を促進させ、血管の壁を硬くしてしまう油です。オメガ6脂肪酸はコーン油、大豆油、菜種油などの調理油や加工食品、お菓子、惣菜などに多く含まれています。

現代人はオメガ6脂肪酸の過剰摂取とオメガ3脂肪酸の摂取不足の差が顕著です。魚料理をあまり食べずにコンビニ食品や外食が多い食生活を送っていると、体内の炎症を起こしやすい身体となってしまいます。

そして、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は共に酸化しやすいで油でもあります。油の酸化は、酸素・熱・光の条件下にて進みます。酸化した油は、細胞膜を硬くし栄養や酸素を取り入れにくい状態にします。その結果、肩回りの神経伝達はスムーズに行われず、肩こりをひどくさせてしまいます。

オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸は酸化していない状態で摂取することが重要であり、さらに体内で活性酸素による酸化も防がなくてはいけません。

特に魚料理は調理したてのものを食べるようにし、体内での酸化を防ぐ抗酸化物質を共に摂取するようにしましょう。抗酸化物質は野菜や果物、魚介類に多く含まれています。

魚料理の摂取が難しい人はDHA・EPAのサプリメントも摂取手段の一つです。サプリメント購入の際も油の酸化については注意したいため、ビタミンEなどの抗酸化物質が添加されているサプリメントを選ぶようにしましょう。

肩こりの痛みに鎮痛剤は効果的か

肩こりで痛みやだるさがひどい場合、鎮痛剤を服用して痛みを緩和している人は多いです。鎮痛剤は抗炎症剤とも呼ばれており、「炎症を止める」ことで痛みを一時的に感じなくしています。

肩こりで感じる痛みは炎症によって生成されるプロスタグランジン(痛み物質)という物質が放出されることで起きます。つまり、痛みの元となるプロスタグランジンを抑制すれば、肩こりの不快感が減るのです。鎮痛剤はこのプロスタグランジンの生成を抑制することで、痛みを感じにくい状態にしてくれます。

プロスタグランジンは肩こりの痛みだけでなく、生理痛、頭痛、発熱時にも発生するため、そういった時の不快感にも鎮痛剤は有効的です。

ただ、「身体が痛みや発熱といった炎症を起こしている状態」というのは、血液や細胞が機能低下したり、体内に浸入した細菌やウイルスと戦っていたりして、身体のピンチを症状として実感させようとしてくれているサインです。

そのようなサインに対して炎症を引き起こしている根本原因を解決せず、薬で炎症を一時的に抑制しているだけでは、いつまで経っても肩こりや痛みは改善しません。

炎症を起こしてプロスタグランジンを生成させるのは、オメガ6脂肪酸に含まれるアラキドン酸という脂肪酸です。アラキドン酸は加工食品や惣菜、コンビニ食品、外食などに多く含まれています。

つまり、「コンビニ弁当(オメガ6脂肪酸) → アラキドン酸 → プロスタグランジン(痛み物質)」という流れが作られます。

このイラストのようにオメガ6脂肪酸(サラダ油など)の過剰摂取により痛みの元となるプロスタグランジンは過剰に生成され、肩こりや頭痛などの痛みを感じさせます。

そのため、肩こりがひどく鎮痛剤が手放せない生活を送っているのであれば、オメガ6脂肪酸(サラダ油など)の摂取内容を振り返り、食生活の改善を行っていくことが肩こりの根本的解決につながります。

一方、オメガ3脂肪酸鎮痛剤(DHA・EPA)は炎症を抑制し、痛みの元の発生を抑えます。

鎮痛剤に効果を感じられる場合はプロスタグランジンの生成が多くなっている状態です。オメガ6脂肪酸を控えるとともに、DHA・EPAなどオメガ3脂肪酸(魚油)を積極的に摂取するように心掛けましょう。

まとめ

ここでは肩こりが起きる原因について確認してきました。肩こりは筋肉の緊張と血行不良により、肩回りの筋肉細胞が機能低下したときに症状として痛みやだるさが引き起こります。

血行不良には血液の流れやすさが鍵を握り、血管内に炎症がなく、血液中の赤血球もしなやかであることが重要です。そのためには炎症を終息・抑制させて、血管の壁や赤血球の膜をしなやかにするオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を意識的に摂取しなくてはなりません。

一方、炎症が促進したり、血管に過酸化脂質が蓄積したりすると、血行は悪くなり、肩こりはひどくなります。そのような血行不良の原因となるオメガ6脂肪酸(サラダ油)や酸化した油脂の摂取は控えましょう。

肩こりによる痛みやだるさは「体内の血液や血管、筋肉細胞の状態が悪くて炎症を起こしている」という身体からのサインです。肩回りの血行が悪いということは、全身の血流も良くない状態です。そのサインを放っておくと、肩こりだけでなくあらゆる症状や病気を引き起こす可能性もあります。

肩こりというサインを感じたら、マッサージや鎮痛剤などの対症療法に頼ることを少しずつ控えていき、DHA・EPAの摂取を含め根本的な解決を心掛けましょう。