骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といえば「お年寄りの骨の病気」というイメージがあり、若いうちから予防を意識している人は少ないです。しかし、「骨が丈夫でなくなる」ということは、少し転んだだけで骨折したり、骨折しても治りにくくなったりします。

骨折だけで命に関わるような状態になることは少ないですが、骨折によって寝たきりの生活になる可能性があります。その結果骨だけでなく、筋肉にも影響を及ぼし、内臓や血液の健康にも関係してきます。

そのような健康を害す骨粗鬆症を予防するには、若い年代からの生活習慣が大事になるのです。骨の問題はカルシウムだけでなく、さまざまな要因が関係してきます。

ここでは、骨粗鬆症が起きる原因と骨を強くする方法、さらには骨粗鬆症の予防にDHA・EPAは効果的なのかについて確認していきます。

骨粗鬆症とはどういう状態か

骨といえば、「身体を支える」という役割ぐらいしかイメージできないかもしれません。しかし実は、骨には主に以下の5つの役割があります。

  1. 身体を支える
  2. 内臓を守る
  3. 自律神経を調節する
  4. 血液を作る
  5. ミネラルを貯蔵する

硬くて丈夫な骨は、柔らかい脳や内臓を守りながら、身体全体を支えています。

また、骨は筋肉にもつながっており、骨が弱り骨や筋肉に歪みを生じることで、自律神経が乱れてきます。自律神経は、体温調節、胃腸機能、血圧状態など体内のあらゆる機能を調節する神経であり、その自律神経が乱れることで、めまい、冷や汗、消化不良、下痢、便秘、吐き気などさまざまな症状を引き起こします。

特に背骨や腰椎、首の骨一つ一つと自律神経はつながっており、骨が歪むことで身体の不調につながります。そのため、自律神経を整えるためにも、丈夫な背中や腰である必要があるのです。

そして、骨髄(骨の内部の柔らかい部分)では常に新しい血液細胞が作られており、体内の血液循環のスタート部分を担っています。

さらに、骨はカルシウムなどのミネラルを貯蔵する役割もあります。普段は貯蔵しておいて、必要なときに血液中にミネラルを放出するというわけです。この「骨のミネラル調整」の役割は骨粗鬆症の原因と大きく関係してきます。

このように骨は身体を支えるだけでなく、身体にとって重要な仕事をたくさんしています。骨粗鬆症になると身体にとって重要な骨の働きができなくなることで、骨折しやすくなるだけではなく、さまざまな不調や病気を引き起こします。

骨量と骨質が骨粗鬆症に関係する

骨粗鬆症は、骨量と骨質が低下することで起こります。

骨粗鬆症のポイントとなる「骨量の低下」とは、骨全体のミネラル(カルシウムなど)の量の低下です。つまり骨量は骨の中のミネラル(主にカルシウム)の量と考えてください。近年では骨量を測れる体重計などもあるため、健康診断時以外でも自分の骨量を把握しやすくなりました。

男性20~40歳での推定骨量平均値は以下の通りです。体重別に記してあります。(タニタ体重研究所調べ参照)

体重 男性(骨量平均値)
60kg未満 2.5kg
60~70kg未満 2.9kg
75kg以上 3.2kg

同じように女性の推定骨量平均値は以下の通りです。

体重 女性(骨量平均値)
45kg未満 1.8kg
45~60kg未満 2.2kg
60kg以上 2.5kg

20~40歳は最も骨量が多い年齢とされ、40歳を超えると徐々に骨量は低下していきます。あくまでもこの表の数値は推定平均量ですが、自分の測定量が平均より低い場合はカルシウムなどのミネラルが足りていないことが分かります。

そして、一般的に60歳を超える頃から骨粗鬆症を発症しやすくなります。ただ、若くても生活習慣や薬などの影響で骨量が低くなる場合もあります。

骨粗鬆症のポイントになるのが、「骨量の低下」に加えて「骨質の低下」です。骨は骨量の元となるミネラル(カルシウム)だけ補っていても強くなりません。骨量は骨を作る材料になるものであるのに対し、骨質はその材料一つ一つをくっつけて骨を作り上げる成分です。

つまり、「骨量+骨質=骨の強さ=骨粗鬆症の予防力」となります。そのため、骨粗鬆症を予防・改善するには、骨量の材料となるカルシウムだけ補っていても骨は強くならず、骨質を高めていかなくてはならないのです。

では、骨粗鬆症予防として具体的に「どのような方法で骨量と骨質の低下を防ぐのか」を確認していきましょう。

骨粗鬆症を引き起こす原因

骨粗鬆症を引き起こす「骨量と骨質の低下」はどのような理由から生じるのか、それぞれ原因を述べていきます。

骨量低下の原因:カルシウム摂取不足

骨量の主な材料はカルシウムです。カルシウムは日本人が不足しがちな栄養素のうちの1つです。骨粗鬆症を予防するためには、しっかりとカルシウムの補給を意識する必要があります。そうしない限り、無意識のうちに摂取不足となってしまいます。カルシウムは乳製品、魚、緑黄色野菜、海藻に多く含まれています。

またカルシウムは、含まれている食品を摂取しても、腸からの吸収率が低いミネラルでもあります。牛乳やヨーグルトなどの乳製品では摂った量の50%が吸収され、小魚では30%、緑黄色野菜では15%しか吸収されません。

ただ、マグネシウムとビタミンDはカルシウムの吸収をサポートしてくれる栄養素です。カルシウムが含まれている食品といっしょに摂取すると、腸からのカルシウム吸収は促進されます。

マグネシウム豊富なナッツや大豆製品、ココアなど、ビタミンD豊富なきのこ類や魚介、卵などを積極的に摂り入れましょう。カルシウムの吸収を考えるのであれば、乳製品、穀類、魚、卵、肉、豆製品、緑黄色野菜、海藻、きのこ類、ナッツ、果物、発酵食品など、まんべんなく食品を食べることが重要になります。

さらにカルシウムの吸収に必要なビタミンDは、日光を浴びることにより体内で合成されます。「骨粗鬆症予防に日光浴を取り入れましょう」との言葉を聞いたことがある人は多いかと思います。それは、日光に当たることでビタミンDが合成されて、カルシウムが吸収されやすくなるからです。

一方でカルシウムの吸収を阻害するものもあります。それは、加工食品やスナック菓子などに含まれているリン酸塩です。肉など自然な食品にもリン酸塩は含まれますが、そういった自然食品のリン酸塩は加工食品に含まれるリン酸塩に比べて身体に影響を与えにくいです。

一方、現代人は加工食品によるリン酸塩を過剰摂取しがちです。カルシウムなどのミネラル吸収を考慮するのであれば、加工食品やスナック菓子の摂取は控える必要があります。

また、腸粘膜の炎症もカルシウムなどミネラルの吸収を阻害する原因の一つです。現代人の好む食事は腸粘膜に炎症を起こしやすいものが多いです。例えば、植物油脂や砂糖、食品添加物の摂り過ぎで腸粘膜は炎症を起こしてしまいます。

腸粘膜に炎症があると、身体に必要なビタミン・ミネラルが吸収されにくくなる一方で、体内への吸収を排除したい有害物などは侵入しやすくなります。炎症を終息・抑制する成分がオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)であるため、ミネラル吸収を促進させたい場合は積極的に魚料理からオメガ3脂肪酸を補うようにしましょう。

このように「骨といえばカルシウム摂取」と考えがちですが、カルシウムは吸収されにくい栄養素であることを意識し、吸収の阻害になるものは避け、吸収率が上がるようにあらゆる食品をまんべんなく摂取するようにしましょう。

骨量低下の原因:骨から血液中へのカルシウム放出

骨は「カルシウムの貯蔵庫」としての役割があります。そして、カルシウム摂取不足などで血液中のカルシウム濃度が下がったとき、骨のカルシウムを溶かして血液中に放出しています。

血液中のカルシウム濃度は常時一定量が維持されているため、血液中の濃度が低くなったときは貯蔵庫(骨)からカルシウムが補われるシステムになっているのです。

血液中のカルシウムは、「ホルモン反応や神経伝達物質反応、酵素反応など身体の中で起きるさまざまな反応の合図を出す」という重要な働きをします。

「カルシウム不足=イライラする」という認識が広まっているのは、カルシウムが興奮系(イライラ)の神経伝達の管理を担っているため、カルシウムが不足すると、感情のコントロールが難しくなるという仕組みがあるからです。

このように体内で重要な働きを担っているカルシウムは、血液中で濃度を一定に保つ必要があるため、骨より血液中に優先してカルシウムが放出されるようになるのです。その結果、骨のカルシウムは不足しやすく、骨量が低下し、骨粗鬆症を引き起こしやすくなります。

カルシウムの「骨 ⇔ 血液」濃度の調整をしているのは、ホルモン(パラトルモン・カルシトシン)です。骨と血液でのカルシウム調整をスムーズに行うには、「これらのホルモンが十分に作られること」「ホルモンを分泌する器官(副甲状腺・甲状腺)がしっかり機能すること」が重要です。

そのためには、肉や魚、卵、緑黄色野菜、果物などからホルモンの材料となるたんぱく質、ビタミン類、酵素をしっかり摂取できるように心掛けましょう。

骨量低下の原因:女性ホルモンの減少

「閉経後の女性が骨粗鬆症になりやすい」というイメージを持っている人は多いです。実際に骨粗鬆症有病者は、圧倒的に女性の方が多く、50歳を過ぎた頃から増え始める傾向があります。それは骨の形成に女性ホルモンの分泌が関係しているからです。

皮膚や髪の毛が日々新しいものに生まれ変わっているように、骨も毎日古くなった骨細胞が破壊され、新しい骨細胞に作り替えられています。そのため、骨折しても骨は再生します。

女性ホルモンの一種エストロゲンは、「骨を壊す細胞」の働きを抑制する作用をします。そのため、閉経後にエストロゲンの分泌が少なくなると骨を壊す細胞は暴走し、骨をどんどん壊し、新しい骨を形成する細胞とのバランスがとれなくなります。このアンバランスによって、骨粗鬆症を引き起こしてしまうのです。

そのような「骨の破壊>骨の形成」になっている状態で「骨粗鬆症予防のために」と考え、カルシウムのみをサプリメントなどで過剰に摂取することは危険です。

エストロゲンが少なくなり、破骨(骨の破壊)が促進されている状態では、骨から血液中にカルシウムが溶け出しています。つまり、血液中にカルシウムがしっかりある状態です。そこへカルシウムがサプリメントより大量に入ってくると、血液中のカルシウムは過剰となり、血液が詰まりやすくなってしまいます。

特に閉経後、女性ホルモン分泌が減っている場合は単純にカルシウムだけをサプリメントで補うことは避けましょう。

ちなみにエストロゲンの影響を受けやすい人は、閉経以前から女性ホルモンのバランスが取れていなかった人が多いです。女性ホルモンは本来体内でコレステロールから合成されます。ダイエットや偏食などで肉や魚、穀類などを普段からバランス良く食べていないと、ホルモンは合成されにくくなります。

現代ではホルモン療法や、ホルモン剤、エストロゲン作用があるサプリメントなど、簡単にホルモンを外から調整できるものが増えています。そのようなホルモン剤を若いうちから利用していると、体内で自らホルモンを作る力が衰え、閉経後に女性ホルモン減少の影響を受けやすくなります。

エストロゲン低下による急激な骨量低下を防ぐためには、若い頃からバランスの良い食事を心掛け、ホルモンの材料となるコレステロールをしっかり補いましょう。また、ホルモン剤やサプリメントなどで外からホルモンバランスを調整することは控えましょう。

骨質低下の原因:コラーゲン

ここまで骨量が低下する原因について確認してきました。骨粗鬆症を引き起こすのは、骨量だけでなく骨質の低下も鍵を握ります。

骨質を管理しているのがコラーゲンです。骨の中にカルシウムがいくらあっても、カルシウムのつなぎ役となるコラーゲンが不足している状態では、カルシウムは骨として形成されません。

コラーゲンはたんぱく質の一種です。魚介類(魚の皮も含む)、肉類などに多く含まれています。そのような食材を積極的に摂取してコラーゲン不足にならないように意識しましょう。

骨量と骨質低下の原因:運動不足・睡眠不足

骨粗鬆症の大きな原因として運動不足があります。運動して骨を刺激すると、骨はその刺激(負荷)に負けないように強くしようとします。つまり、骨に負荷がかかると、「骨の形成を促す細胞」が活性化するのです。

骨を強くする刺激は、激しい運動をしなくてもウォーキングやジョギングなどの軽い刺激で十分です。また、ウォーキングも難しいという場合は、仕事や家事の合間に背伸びを繰り返したり、スクワットをしたりするだけでも効果があります。

また、睡眠をしっかりとることも骨粗鬆症の予防には重要です。私たちの細胞が生まれ変わるために必要な成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。

そのため、睡眠不足や不規則な睡眠をとっていると、成長ホルモンが分泌されにくくなり、骨の形成がスムーズに行われません。

「寝る子は育つ」という言葉は子供だけに当てはまるのではありません。大人の骨も日々生まれ変わっていることを意識し、睡眠不足にならないような生活習慣を送る必要があります。

このようにカルシウムやコラーゲンなどの摂取だけでなく、運動習慣、睡眠習慣を整えることも骨粗鬆症の予防には重要になるのです。

骨粗鬆症とDHA・EPAの関係

ここまで骨粗鬆症を引き起こす原因についてそれぞれ確認してきました。骨粗鬆症の原因はさまざまありますが、骨粗鬆症の予防・改善には「骨を形成するカルシウムとコラーゲンの補給」は欠かせません。

前述の通り、カルシウムは吸収しにくい栄養素です。体内への吸収を考慮せずにカルシウム豊富な牛乳や緑黄色野菜ばかり食べていても、吸収されずに排出されるだけです。

まず吸収されにくい栄養素は、腸からの吸収を意識する必要があります。腸粘膜に炎症(傷)がある場合、カルシウムなどのミネラルは一段と吸収しにくくなります。腸粘膜の炎症を引き起こす原因になるのが、オメガ6脂肪酸(サラダ油など)や砂糖(糖質)の摂り過ぎです。

それらが多く含まれる加工食品、お菓子類、惣菜、外食、清涼飲料水などの摂取は控えるべきです。オメガ6脂肪酸や糖の摂り過ぎは、カルシウムの吸収だけでなく、他の栄養素の吸収も阻害します。

一方、既に出来てしまっている炎症を終息させたり、炎症を予防したりする油がオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAは魚に多く含まれており、特にサンマやイワシなどの青魚を摂取することで取り入れられます。

また、骨と血液の間では、ホルモンによってカルシウムの量が調節されています。骨にも血液にもカルシウムは必要であり、そのホルモンの生成や分泌がしっかり機能していないと、「骨 ⇔ 血液」間のカルシウム調節がスムーズに行われません。

カルシウムの量を調節するホルモンは、血液にのって運ばれ、細胞に作用することで初めて働きます。その際に重要になってくるのが、血液の流れと受け取る側の細胞膜の状態です。

血液が滞りなく流れていたり、細胞膜が情報を受け取りやすいしなやかな状態であったりすれば、運ばれてきたホルモンはしっかり作用します。このとき血液の流れを良くして、細胞膜をしなやかな状態にするのは、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。

逆に血液の流れを悪化させ、情報を受け取りにくい細胞膜にするのは、オメガ6脂肪酸(サラダ油)です。ただ、オメガ3脂肪酸であっても、酸化してしまったDHA・EPAでは、オメガ6脂肪酸同様に、ホルモンを作用しにくくします。

オメガ3脂肪酸の酸化は、脂肪酸が「熱・酸素・光」の条件下にあることで促進されます。調理してから時間が経っている魚料理や、抗酸化物質が含有されていないDHA・EPAサプリメントを摂取すると、酸化しているオメガ3脂肪酸が体内に入ってくる可能性が高いです。

また、食べる段階では酸化していなくても、摂取した後にオメガ3脂肪酸が体内に存在する活性酸素によって酸化することでも、オメガ3脂肪酸を有害化させてしまいます。

カルシウムの調節をするホルモンを作用しやすい状態に保つためには、調理仕立ての魚料理や抗酸化物質が含まれているDHA・EPAサプリメントを摂取する必要があります。さらに、オメガ6脂肪酸(サラダ油)が含まれる加工食品、惣菜、お菓子、菓子パンなどの摂取を控えなくてはいけません。

骨粗鬆症を予防するには、カルシウムを摂取するだけでなく、カルシウムの消化吸収率を上げ、カルシウム濃度を調整するホルモンを作用させやすくすることが重要です。そのためには、魚料理やDHA・EPAサプリメントからオメガ3脂肪酸を積極的に摂取するようにしましょう。

まとめ

ここでは骨粗鬆症のメカニズムと原因、予防法について確認してきました。骨は身体を支えるだけでなく、神経や内臓、血液にも直接関係するため、「骨が弱くなること」は「骨折しやすくなる」だけの問題ではありません。骨の強さは「いかに健康的に生きられるか」の指標になります。

骨粗鬆症の予防には、骨の強さである「骨量+骨質」を高めることがポイントになります。骨量はカルシウムの量が大きく関係しますが、カルシウムは吸収しにくい栄養素です。

カルシウムの腸内からの吸収率を上げるためにビタミンD(魚介類・きのこなど)を積極的に摂取するとともに、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取で腸内の炎症を抑制しましょう。

また、カルシウムの「骨 ⇔ 血液」間の濃度調節をスムーズに行うためには、ホルモンが作用しやすいように血流と細胞膜の良好な状態を維持することが重要です。そのためには、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を摂取する必要があります。

一方、オメガ6脂肪酸(サラダ油)や糖質(砂糖など)、リン酸塩の摂り過ぎは腸からのカルシウム吸収を阻害し、ホルモンが作用しにくい身体にします。加工食品や惣菜、お菓子、清涼飲料水などの摂り過ぎは避けるべきです。

骨粗鬆症は若い頃からの予防が大切です。カルシウムが吸収されやすい身体になれば、他の栄養素も吸収されやすい身体となり、さまざまな不調を防げます。

骨粗鬆症の予防は食事の仕方だけでなく、「日光に当たること」「骨を刺激するような運動をすること」「しっかり睡眠をとること」もポイントになることを忘れず、生活習慣を整えましょう。