足や顔のむくみに悩んでいる人は多いです。むくみは浮腫(ふしゅ)ともいい、普段の生活でよくみられる症状です。

特に長時間座りっぱなしだったり、同じ姿勢を続けたりしていると、時間の経過とともに足がパンパンになってしまう経験をした人は多いかと思います。

ひどい場合は、指で足を押すと跡が残り戻らなくなったり、痛みを感じたりすることもあります。「たかがむくみ」と軽く考えられがちですが、むくみがよく出る状態は身体全体がSOSを出している証拠です。放っておくと血管に障害を与えることもあります。

ここではむくみが起きるメカニズムや原因を確認し、むくみ解消のキーワードとなる水分やDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)の摂り方を述べていきます。

むくみとは何なのか

私たちの身体は血管とリンパ管という2種類の管が全身を循環しています。血管には動脈と静脈があり、動脈は心臓から全身へ送り出されるきれいな血液が流れていて、心臓から遠ざかるにつれ、毛細血管に移行していきます。動脈と毛細血管を流れる血液は、全身の細胞に酸素と栄養を運んでいます。

一方で細胞から排出される二酸化炭素や老廃物(不要物)のうち80~90%は静脈(毛細静脈)に入り、不要物を運び心臓に戻ってきます。その後尿や便、汗として体外へ排出されます。

このように「全身の細胞へ必要なものを送り、不要なものを回収する」という循環のほとんどは血管によって行われています。

そして、静脈により回収しきれなかった細胞からの排出物の残り10~20%は、全身を通っているリンパ管に吸収されます。リンパ管は心臓の近く(鎖骨部分)で静脈に入り、心臓へ循環されます。このように、血管とリンパ管の流れによって、私たちの身体(細胞)は循環し、機能しているのです。

ただ、「毛細血管から栄養や酸素を細胞内へ」「細胞内から不要物を毛細静脈へ」「細胞内から残りの不要物をリンパ管へ」と3つの組織間の出入りは直接されているわけではありません。どの「細胞から管への出入り」も一度、間質液(かんしつえき)という液体の中を通過するのです。

間質液とは、細胞と細胞の隙間を埋めている液体です。血管から細胞へ酸素や栄養が入る際、「血管→ 間質液 →細胞内」と移動します。リンパ管への移動も同様で「細胞内 → 間質液 → リンパ管」と間質液を通過するのです。

血液の循環量が1日4~6リットルであるのに対し、間質液は1日11リットルほど流動しています。ちなみにリンパ液は1日2~4リットルの循環量です。このように間質液は体内の循環に大きく関与しており、むくみ(浮腫)は間質液が増えることで起きるとされているのです。

したがって、「むくみ=間質液が増えた状態」と考えてください。では、なぜむくみの原因となる間質液が増えるのでしょうか。

むくみの原因

むくみは間質液(細胞と細胞の隙間にある液体)の増加によって生じることを確認しました。では、間質液が増える原因を以下の項目2つに分けて説明していきます。

①毛細血管から水分が多く出ている場合

毛細血管から間質液に水分が多く出る原因はいくつかあります。まず、毛細血管を流れる血液中のアルブミン(たんぱく質の一種)の量が減ったときです。

ダイエットなどでたんぱく質(アルブミン)不足状態であったり、体内(肝臓)で作られるアルブミンが少なくなったりすると、血液中のアルブミン濃度は低下します。

アルブミン濃度が低くなった血液は、血液中の水分を外(間質液中)に出すことで、血液中のアルブミン濃度を上げようとします。血液中のアルブミンの量自体は変わらなくても、水分が減ればアルブミン濃度は上がるということです。その結果、間質液の水分は増え、むくみとして表れます。

また、肝臓や心臓などの臓器の機能低下が起こったときも間質液の水分は増えます。肝臓などの機能低下が起こると、静脈の流れが悪くなり、毛細血管で血液が詰まりやすくなります。すると、血液中の水分は毛細血管から間質液に流れ出てしまうのです。

さらに、血管に炎症(傷)が起きた際、血管の外に血液中の水分や物質が流れ出やすくなります。例えば、打撲をした時や蚊に刺された時など腫れが生じます。そのような炎症時は血管から水分や物質が多く流れ出ているから腫れるのです。

このように毛細血管から間質液に水分が多量に出ている場合は、「アルブミン(たんぱく質)不足」「肝臓などの機能低下」「炎症時」など理由が考えられます。

足のむくみを訴えている人の中には痩せている女性も多いです。偏った食事によるダイエットでたんぱく質が不足していることが原因になっている可能性があります。

アルブミン濃度が低下した細胞は、やがて機能低下を起こします。肉や魚など、意識的に摂取するようにしましょう。

②リンパ管の流れが滞った場合

間質液が増えるのは、毛細血管から水分が多量に出ている場合だけでなく、静脈で回収し切れなかった老廃物を受け取るリンパ管の状態も関係します。

リンパ管の流れが滞ると、間質液から老廃物をスムーズに回収ができず、間質液は増えてむくみ(浮腫)を生じてしまうのです。

血管内の血液は心臓がポンプ代わりとなってスムーズに流れるように圧力がかけられています。一方、リンパ管を流れるリンパ液はポンプ役になるものが存在せず、自力で循環します。

ダイエットや健康に興味がある人は「リンパの流れを良くする」「リンパの滞りをなくす」ことを意識している人が多いかもしれません。

リンパの流れを良くするのにポイントとなるのはリンパ管周りの筋肉の状態です。リンパ管は自力で動く必要があるため、周りに存在する筋肉が活発的に動くことでリンパ管の流れも良くなります。

そのため、ストレッチや運動をして筋肉を動かす習慣をつけたり、ストレスで緊張状態になりやすい筋肉をほぐしてあげたりすることが重要です。

ストレス(不安や緊張)を感じると、全身の筋肉は緊張状態になります。そのような筋肉を緩めてあげるには、手で背中や手足の皮膚をやさしく撫でてあげると良いです。それだけで筋肉を緊張状態にしていた交感神経が静まり、筋肉は緩みます。

リンパの流れを良くするには、日ごろから身体を動かして筋肉を活性化させるように意識しましょう。それがむくみのない身体となり、老廃物の滞りもなくなるため、ダイエットや健康にもつながります。

むくみと水分の関係

むくみ(浮腫)というと「水分の摂り過ぎ」というイメージもあります。確かに間質液(細胞と細胞の隙間にある液体)が増えることがむくみの原因となるため、「水分の過剰摂取が間質液を増やすのではないか」と考える人がいるかもしれません。

しかし、それは誤解です。むしろ水分不足の状態がむくみを引き起こしているのです。

体内に水分不足が起こると、間質液のナトリウム(ミネラルの一種)濃度が高まります。すると、細胞内から間質液へ水分が移動し、ナトリウム濃度を下げようとします。その結果、間質液の水分が多くなり、むくみを生じます。

そのような場合、細胞内の水分が不足するため、ダルさや頭痛、吐き気などの症状が起こる場合もあります。身体がむくんでいる上にダルさなどの体調不良がある場合は、体内の水分不足が考えられます。

また、体内の水分が不足すると、「栄養や酸素を細胞内へ」「細胞内から老廃物を血液中へ」など血液、間質液、リンパ管全ての循環(流れ)がスムーズに機能しません。

体内の循環がスムーズに機能しないと、老廃物をしっかり排出できません。さらにリンパ管の流れも悪くなり、老廃物や水分を回収できなくなることから、むくみにつながります。

このようにむくみ予防には、普段からしっかり意識して水分補給をする必要があるのです。喉の渇きを感じる場合は、すでに体内では水分不足状態になっているとされています。喉の渇きを感じる前に、頻繁に水分補給するようにしましょう。

水分補給に適している飲み方は以下の通りです。

  • 常温の水を飲む
  • 一気に大量の水を飲まない
  • 水分補給は水か、カフェインが含まれていない麦茶などにし、ジュースやコーヒーは適さない
  • 1日に1.5~2リットルを目安にこまめに飲む

冷蔵庫で冷やした水を飲むことは身体を冷やすことにつながり、血流やリンパの流れを悪くします。

また、一気に大量の水を飲むと、大量の水分が血液中に流れ出し、血管から間質液に流れやすくなります。それではかえってむくみを引き起こしてしまうため、コップ半分ほどの水を頻回飲むようにしましょう。

さらに、カフェインは尿として水分を排出させやすくしてしまいます。また、スポーツドリンクを含むジュース類は、過剰な糖分を摂取することとなり、血流を悪化させます。糖分入りの飲料はむくみを引き起こすだけでなく、さまざまな身体の不調を引き起こすため、控えるようにしましょう。

むくみとDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)の関係

むくみの原因の一つである「身体の炎症」について前述しました。身体の炎症時は、血管の外に血液中の老廃物や水分が流れ出やすくなり、むくみを生じやすくなります。炎症は身体をぶつけたときや風邪をひいたとき、虫に刺されたときなどに赤みや発熱、腫れを伴って起きます。

そのような炎症は目でみて分かりやすいですが、実は目で見えない体内の血管や粘膜にも炎症は起きている場合が多いです。体内の血管や粘膜に炎症があっても自覚症状がなく気付きにくいですが、体内の炎症は細胞の機能低下を引き起こし、さまざまな病気につながるのです。

体内の炎症を引き起こす原因はオメガ6脂肪酸(サラダ油など)や糖質(砂糖や小麦粉など)の摂り過ぎ、ストレスなどです。現代人の身の回りには、惣菜、コンビニ食品、加工食品、お菓子、外食などと、オメガ6脂肪酸や糖質の過剰摂取となる食品があふれています。そのため、炎症を起こしやすい食生活を送っている人が多いです。

炎症が起きていると血管から水分や老廃物が流れ出て、間質液中に蓄積されます。その結果、体内の循環が滞り、むくみだけでなくさまざまな身体の症状を引き起こします。

体内の循環を良くして、むくみを解消するには、炎症を終息・抑制させなくてはいけません。

オメガ6脂肪酸が炎症の発生を促進する油であるのに対し、炎症を終息・抑制する油はオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)です。DHA・EPAは魚油に多く含まれており、魚料理やサプリメントを摂取することで補えます。

体内での炎症を抑えるためには、オメガ6脂肪酸の摂取を控えた上でオメガ3脂肪酸の摂取を意識する必要があります。

さらに、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は血管の壁や赤血球の膜をしなやかにする作用をするため、良好な血流を保つために重要です。血流が悪いと体内の循環がスムーズにいかないため、むくみやすくなります。

また、血管の壁がしなやかでないと、血管内に間質液中の水分や老廃物をしっかり取り込めません。その結果、間質液が増え、むくみを引き起こすことになります。

しかし、オメガ3脂肪酸が体内でこのように有効的に働くのは、「脂肪酸が酸化していない」という条件下のときだけです。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は油の中でも非常に酸化しやすい油です。

油の酸化は「熱・酸素・光」の条件下で促進するため、調理してから時間が経っている魚料理や惣菜、お菓子、植物油脂が含まれている加工食品などは、食べる前から脂肪酸が酸化している可能性が高いです。

また、調理したての料理や、缶詰の魚(密封のため酸化しない)を食べても、脂肪酸は体内に存在する活性酸素によって酸化する場合もあります。

体内での酸化を防ぐためには、ビタミンE、セレンなどの抗酸化物質を積極的に摂取する必要があります。したがって魚料理や油料理を食べる際は、これらの抗酸化物質を含む野菜や果物、魚介類、卵などバランス良く食べるようにしましょう。

また、DHA・EPAをサプリメントで摂取する場合も抗酸化物質がしっかり含有されているものを選ばなくてはいけません。

このように脂肪酸の酸化を意識した上でオメガ3脂肪酸を摂取し、「体内のスムーズな循環」「老廃物や水分の取りこみ」「炎症抑制」を心掛けることでむくみが生じない身体を作りましょう。

むくみを引き起こしやすい食べ物

むくみを解消するには「スムーズな循環」「細胞内、血管内へ必要なものは取り込み、不要なものは排出する力」「炎症抑制」がポイントになります。

逆に、これらのポイントが体内で行われていないとむくみを引き起こすことになります。

体内の循環(血液やリンパの流れ)を滞らせ、炎症を引き起こしやすくする食べ物は共通しています。それは、糖質やオメガ6脂肪酸が多いものです。菓子パン、麺類、ピザ、丼もの、お菓子、ファストフード、清涼飲料水、惣菜などをよく食べる習慣がある人は、それらをやめてみることからスタートしましょう。

また、血流を良くするには、血液の量がしっかりある必要もあります。特に女性や食事制限をしている人は血液の材料となるたんぱく質・ミネラル(鉄や亜鉛、カルシウムなど)が不足しやすいです。血流量が少ないとスムーズな循環は行えません。

普段の食事から肉(レバーや赤身肉)、魚介類、緑黄色野菜、海藻、卵、豆製品などまんべんなく食品を摂り入れるようにしましょう。

そして、「細胞内・血管内への良好な摂り込み、不要物の排出」についても糖質やオメガ6脂肪酸の過剰摂取は控えるべきです。また、「細胞内 ⇔ 間質液」「間質液 ⇔ 血管内」での移動はナトリウムの濃度が重要になります。つまり塩分の摂り方を考えます。

塩分の摂り過ぎで間質液中にナトリウム濃度が高くなれば、細胞内から水分が移動して間質液のナトリウム濃度を均一にしようとします。すると、間質液は増加し、むくみを引き起こします。

塩分と言えば「塩の摂り過ぎ」が問題となりますが、気を付けるべき塩は「食塩」です。天然の塩「天日(海)塩」はナトリウムの他にも多量なミネラルが含まれ、体内でナトリウム濃度が上がることは少ないとされています。

以下のような「天日(海)塩」と記載されている塩を選ぶと良いです。

しかし多くの食品や調味料に用いられている「食塩」は精製された塩です。食塩は99%の成分が塩化ナトリウムであり、体内のナトリウム濃度に影響します。調理の際には「天日(海)塩」を用い、加工食品や合成調味料の摂取を控えることで食塩の摂取を抑えましょう。

お酒とむくみの関係

「お酒を飲んだ次の日はむくみがひどい」と悩む人も多いです。お酒自体がむくみを引き起こすイメージがありますが、むくみを引き起こすのはアルコール分解に使われる多量な水分の影響です。

アルコールを分解する際に多量な水分が使われ排出されることで、体内は一時的に脱水状態となります。このアルコールによる水分不足が逆にむくみを引き起こしているのです。

さらに飲酒時は塩辛いおつまみや揚げ物を好んで食べがちです。塩分や酸化油脂の過剰摂取もむくみを生じさせます。

飲酒時はこまめに水分補給をしながら、バランスの良いおつまみを選ぶことが、翌日のむくみ防止につながります。

まとめ

ここでは、むくみの正体を理解することで、むくみの原因になっているものをそれぞれ確認してきました。

むくみの正体は「細胞と細胞の隙間にある間質液の増加」です。間質液は「細胞 ⇔ 間質 ⇔ 血管」や「細胞 ⇔ 間質液 ⇔リンパ管」など、私たちが生きていく上で必要な酸素や栄養、排出すべき老廃物の行き来の中間役を担っています。

血管に炎症がある場合や血液中に栄養の過不足がある場合、血管から間質液に水分が流れ出やすくなり、むくみの原因となります。また、リンパ管の流れが滞っていることで、老廃物や水分がしっかり回収されなくなり、むくみとして表れます。

バランスの良い食事によって血液中の栄養の過不足をなくしましょう。また、運動やマッサージなどでリンパ管の流れを意識することも重要です。

そして、「スムーズな循環」「水分や老廃物の取り込み」「炎症抑制」に関わるオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)とオメガ6脂肪酸(サラダ油)の摂取バランスを意識する必要があります。

血流を悪くし、炎症を促進するオメガ6脂肪酸の摂取は極力控えなくてはいけません。惣菜、お菓子、加工食品、コンビニ食品、外食の摂取頻度を控えましょう。

一方、血管の壁をしなやかにし、「水分や老廃物の取り込み」と「血流」をスムーズにするオメガ3脂肪酸は魚料理やサプリメントから摂取する必要があります。

毎日の魚料理摂取が難しく、サプリメントからDHA・EPAを補いたい場合はビタミンEやセレンなど抗酸化物質の含有を確認することが重要です。

こまめな水分補給、バランスの良い食事、リンパ管の流れを良くする運動を普段から意識し、むくみを生じさせない生活を送りましょう。むくみが改善されると自然に血流も良くなり、細胞状態も良好になります。そうなることで、むくみだけでなく頭痛や肌荒れなどさまざまな症状の改善にもつながります。