一般的に、コレステロールは体に悪いものとして認識されています。実際に、医者から「コレステロール値が高いから卵や肉を控えて」と言われたことがある人は多いのではないでしょうか。また、スーパーに行けば、「コレステロールを下げる」などと記載された商品が並んでいます。

しかし、2015年に米厚生省と農務省は「食事によるコレステロールを制限する必要はない」という報告書を出しました。つまり、コレステロールが多く含まれている食品を食べても、直接コレステロール値の上昇には関係ないということです。

このようにコレステロールに関してはさまざまな情報があり、結局どうしたら良いのかが分からない人も多いです。そこで今回は、コレステロールの性質から働き、必要性について述べていきます。

コレステロールとは何か

コレステロールは人間の身体に存在する脂肪の一つであり、いわゆる動物の細胞を構成する成分です。コレステロールに対し、植物の細胞を構成する成分は植物性ステロールと呼ばれています。人間の体内に存在している脂肪といえば、コレステロールの他に中性脂肪・リン脂質・脂肪酸があります。

食事から摂った脂肪は小腸から吸収され、たんぱく質とくっついて血液に乗り、全身へと運ばれます。運ばれてきた脂肪は全身の各細胞が取り込み、エネルギー源にします。脂肪は1g当たり9kcalとなり、栄養素のうちで一番高いエネルギー源となります。

摂り過ぎた脂肪は、内臓の周りや皮膚の下に蓄積されます。また、炭水化物やたんぱく質の摂り過ぎた分も、同様に脂肪として蓄積されます。そして、体内にエネルギー源がないときに、脂肪がリパーゼ(消化酵素)により分解されエネルギー源として使われます。

では、コレステロールはどのように生成されるのでしょうか。体内のコレステロールの8割は肝臓で合成されます。小腸で吸収された栄養素が血液に乗り運ばれ、肝臓へ運ばれます。運ばれてきた栄養素により肝臓でコレステロールは合成されます。

コレステロールの材料となる栄養素とは、食事で摂取した脂質や糖質(ご飯粒・小麦粉製品・砂糖)、たんぱく質(肉・魚・卵・豆製品)です。

ただ、有酸素運動をしている間は、コレステロール合成がされないといわれています。そのため、コレステロールは食品によって増えるわけでなく、糖質をたくさん食べていたり、運動をしていなかったりした場合は、コレステロール合成が促進されるということになります。

このように肝臓によってコレステロールは支配されているので、肝臓が元気に働けない状態になると、コレステロールが生成されなくなったり、逆にコレステロールが過剰になってしまったりするのです。

肝臓は、身体のフィルターのような働きをします。身体にとって有害なものを解毒し無毒化するため、アルコール・薬・農薬・食品添加物など有害なものを多く摂取していると、肝臓は疲れてしまいます。その結果、コレステロールのコントロールが困難になります。

では、コレステロールは身体にとってどのような作用をするのでしょうか。

コレステロールの作用

体内でのコレステロールの働きは3つあります。「①ホルモンを作る」「②胆汁の原料となる」「③細胞膜をつくる」の3つがコレステロールの主な働きです。では、一つ一つの働きを確認していきましょう。

①ホルモンを作る

ホルモンは身体の機能を正常に保つための調整をしているものであり、100種類以上あります。大きく分けて、たんぱく質から作られるものと、コレステロールから作られるものに分けられ、コレステロールから作られるホルモンはステロイドと呼ばれています。

ステロイドホルモンの中には、性ホルモンとコルチコイドがあります。性ホルモンは女性ホルモン・男性ホルモンがあり、不足すると性欲減退・PMS(月経前症候群)・更年期障害・不妊などにつながります。

コルチコイドは代表になるもので、コルチゾールがあります。コルチゾールはストレス対抗ホルモンとも呼ばれていて、ストレスを感じるとそのストレスに対抗できる身体を作ろうと働きます。

コルチゾールは本来、午前中に多く分泌され、夜になるにつれ分泌量は低くなります。身体にとっては重要なホルモンであるため、不足してしまうと、ストレスに対抗できなくなります。さらに、物事に対してやる気が起きません。そのため、コレステロールからしっかりホルモンが作られる身体にしておく必要があるのです。

②胆汁の材料となる

胆汁とは、肝臓で作られる「脂肪を分解する消化液」です。食事から摂り入れられた脂肪は胆汁によって消化吸収されやすい状態になります。また、脂溶性のビタミンA・D・E・Kも胆汁により吸収を促されます。

そのため、コレステロール不足になると、胆汁の生成量が足りなくなり、身体に必要な脂肪酸やビタミンの吸収ができなくなります。

③細胞膜を作る

私たちの身体は60兆個からの細胞により作られていますが、コレステロールは細胞の膜を作る成分として必要不可欠です。細胞膜は外からのウイルスや有害物質の細胞内への侵入を防ぎ、細胞内の成分の漏出を防ぐ役割をします。

そのため、コレステロールが不足すると細胞膜の機能が弱まり、有害物質が細胞内に入りやすくなります。また、細胞内への栄養吸収がしにくくなることで、栄養不足も引き起こします。

さらに、細胞膜は細胞同士の情報伝達にも大きく関係しています。体内のコレステロールの25%は脳に存在し、脳は健康に生きていくための情報伝達が多くされているところです。脳の細胞膜にコレステロールが不足していると、情報伝達がしっかりされず、さまざまな症状として現れるのです。

つまり、コレステロールは私たちの身体を作っている細胞の機能を守るためには、必要不可欠なものであるのです。

コレステロールが動脈内に蓄積する仕組み

ここまではコレステロールの身体への必要性について確認してきました。しかし、「コレステロールが動脈内に蓄積すると、動脈硬化につながる」という、コレステロールについて良くないイメージは根強く認識されています。

そこで、コレステロールが動脈内に蓄積する仕組みについて確認していきます。コレステロールは細胞を構成する成分であるため、細胞が傷ついている部分に多く集まる特性があります。「細胞が傷つく」とは、「炎症が起きている」ということです。

炎症は、植物油脂・砂糖(糖質)・加工油脂の摂り過ぎ、ストレス、喫煙、運動不足などによって引き起こされ、その炎症が長く続くことにより、あらゆる病気につながります。血管内に炎症ができると、その部分の細胞の傷を修復しようとコレステロールは集まってきます。

コレステロールが炎症部分に集まるだけでは、動脈硬化や血栓は引き起こされません。それでは、どのような条件が追加されると動脈硬化となるかというと、それは酸化です。体内の酸化により、コレステロールが酸化されることで、動脈内の酸化コレステロールは蓄積し続けるのです。

通常であれば、血管内のコレステロールは回収されて肝臓に戻されます。ただ、酸化コレステロールは回収されず、動脈内に残ります。その結果、酸化コレステロールが動脈内で固まりとなり、動脈硬化につながるのです。

これがコレステロールと動脈硬化が結びつけてイメージされている理由です。

コレステロールを下げずに酸化を防ぐ

動脈硬化が引き起こされる仕組みを理解することで、「コレステロール自体が悪者ではない」と確認できたかと思います。

日本では、コレステロール高値の人に対して、コレステロールを下げる薬が安易に処方され過ぎであるといわれています。ここで学んできた通り、コレステロール自体は身体にとって必要不可欠なものです。コレステロールが体内に不足していると、健康的な身体にはなりません。

特にダイエットを意識している女性はコレステロール不足の人が多いです。女性のコレステロール不足は、女性ホルモンの乱れや栄養不足による不調を引き起こします。

避けるべきものはコレステロールではなく、体内の酸化による酸化コレステロールの蓄積です。体内の活性酸素が増えることにより、コレステロールは酸化され異物となることで、血管内に蓄積します。

活性酸素は、加工食品・食品添加物・酸化油・ジャンクフード・惣菜・ストレス・寝不足・紫外線・農薬・化学物質全般・塩素の多い水道水・重金属・大気汚染などにより体内で発生します。生活習慣を注意し、活性酸素をできる限り発生させない身体にすることが重要です。

また、体内の酸化による影響を少なくするためには、抗酸化物質を摂取することも意識しましょう。野菜や果物、魚介、海藻などに酸化を防ぐ物質が豊富に入っていますので、毎食まんべんなく摂取することをお勧めします。

このように、健康的な身体のためにはコレステロール自体は低過ぎないことを目指し、体内の酸化を防ぐことを意識しましょう。

体内に活性酸素が増え、酸化した脂質が増えていることの目安として、体臭があります。以前に比べて体臭が強くなったと感じる場合は、酸化して蓄積している脂質が増えている場合が多いです。一つの目安として、生活習慣を整えましょう。

「コレステロールを下げる」と記載されている食品のメカニズム

コレステロール自体は身体に必要なものであると分かっても、健康診断をしてコレステロール値が高いと医師から下げるように指導されます。また、スーパーなどでは「コレステロールを下げる」と記載された食品(飲料)が並んでいます。では、そういった食品(飲料)は、どのような効果があるのでしょうか。

例えば、豆乳・烏龍茶・青汁・サラダ油・マヨネーズ・シリアルなどに「コレステロールを下げる」といった表示されているものがあります。

豆乳によるコレステロール低下のメカニズムは、「豆乳に含まれる大豆たんぱく質を摂取すると、胆汁酸(コレステロール)は大豆たんぱく質とくっつき、そのまま体外へ排出される」というものです。

また、緑茶や烏龍茶のコレステロール低下作用は、「カテキンの効果」といわれています。お茶に含まれるカテキンが、脂肪分解酵素(リパーゼ)の働きにブレーキをかけ、食事から摂取した脂肪が分解されるのを抑制します。その結果、小腸から脂肪は吸収されずに、コレステロールが低下するという仕組みです。

さらに、油やマヨネーズのコレステロール低下作用は植物性ステロールによる効果です。植物性ステロールは植物の細胞を構成する成分の一つであり、植物の多くに含まれています。植物性ステロールはサラダ油を抽出する際に取り出され、基本的に小腸では吸収されません。

「植物性ステロールはコレステロールが吸収される過程を阻害する」というメカニズムによるものです。

しかし、「植物性ステロールは血管を詰まりやすくする」という研究結果も発表されており、EUでは植物性ステロール入り食品に対して「コレステロール値が普通の人は摂取しないように」といった警告表示をするよう義務付けられています。

このように、「コレステロールを下げる」と表示されている商品は、本来の身体の機能を妨げて、脂肪を吸収しないようにすることによって、コレステロール値を下げる仕組みになっています。コレステロールをむやみやたらに下げてしまうと、あらゆる弊害が表れます。

したがって、本来の身体の機能を妨げてコレステロール値を下げるのではなく、肝臓機能を正常に保ち、生活習慣を整えることでコレステロールの生成と回収がスムーズにできる身体にしましょう。

コレステロール0(ゼロ)食品の落とし穴

「コレステロールを下げる」の表示以外にも、「コレステロール0」と記載されている食品は多くあります。「コレステロールを下げる」といった機能的な文を記載するには、特定保健用食品(トクホ)の認定を国から受けなくてはいけません。

しかし、「コレステロール0」のような機能性を謳っていない文については、認定なしで商品に記載することができるため、こちらの表示の方が多く見られるかもれません。

特にサラダ油のコーナーに「コレステロール0」と表示されたボトルが多く並んでいます。しかし、もともとコレステロールは動物の生体膜の構成成分として使われているため、植物にはほとんどコレステロールは含まれません。

植物から作られるゴマ油・菜種油・オリーブオイル・大豆油・コーン油などのサラダ油には、もともとコレステロールは含まれていないのです。そのため、油に記載されている「コレステロール0」という表示は当然ということになります。

また、インスタントラーメンなどにも「コレステロール0」の表示は多く見られます。これも動物性の油を使わず、植物油脂(サラダ油)で作ってあれば、「コレステロール0」と記載できるのです。しかし、身体にとって有害であるのは、コレステロールではなく植物油脂です。

「コレステロール0だから安心」と思っていても、商品裏の原材料を確認すると、脂質16gなど入っている場合がほとんどです。この脂質はほぼ植物油脂です。しかも、身体にとって必要な植物油脂の量を遥かに上回る含有量なのです。

近年では、「コレステロール0」ではなく「脂質0」の表示があるインスタントラーメンもあります。こちらの場合は、植物油脂もほとんど入れずに作られていますので、安心して食べられます。

このように、注意するのは「コレステロール」の記載ではなく「脂質」の記載です。食品自体もコレステロールが多い卵やバターは避ける必要がないように、油や加工食品のコレステロールも避ける必要がないのです。

ノンオイルドレッシングの落とし穴

食品での表示といえば「ノンオイル」もあります。有名なものでノンオイルドレッシングが多く見られます。「ノンオイル」であれば、コレステロールも植物油脂もほとんど入っていないのでヘルシーではあります。

しかし、ドレッシングの旨味を出すために、ノンオイルドレッシングに多く含有されているのが「果糖ブドウ糖液糖」という甘味料です。果糖ブドウ糖液糖は、遺伝子組み換え作物が使用されている可能性が高いとされ、危険性があるといわれています。

身体にとって必要な野菜をサラダで食べるのであれば、市販のドレッシングは使用しないことをお勧めします。自宅で塩コショウ・酢・良質なオリーブオイルで簡単にドレッシングが作れますので、そういったもので美味しく野菜を食べましょう。

コレステロールの「悪玉」と「善玉」について

なお、コレステロールは「悪玉コレステロール」と「善玉コレステロール」の2つに分類されています。そして、悪玉コレステロールは体に必要ないものであり、善玉コレステロールは体にとってなくてはならないものと言葉通りの認識がされています。

一般的に善玉コレステロールはHDLコレステロール、悪玉コレステロールはLDLコレステロールのことを指します。

コレステロールは、たんぱく質に吸着することで血液中を移動し、全身を循環します。これは、タンパク質という船に乗って、血液という海を移動するようなイメージです。そして、HDLとLDLとは、コレステロールを運ぶタンパク質の一種(船)のことを指します。

そのため、コレステロール自体は1種類しかありません。HDLコレステロール(善玉)とLDLコレステロール(悪玉)は、コレステロールを運ぶたんぱく質が違うだけです。

つまり、コレステロール自体には悪玉も善玉もありません。HDLとLDLの違いは、コレステロールが乗っているたんぱく質が、「分配役」か「回収役」ということにあります。

HDLは、各臓器や組織にあるコレステロールを回収し、肝臓に運びます。一方、LDLコレステロールは、肝臓から各臓器や組織にコレステロールを分配します。つまり、HDLは全身の不要になったコレステロールを集め、LDLは全身に必要なコレステロールを届けるという役割があります。

LDLコレステロールが悪玉コレステロールと呼ばれるようになったのは、LDLがコレステロールを全身に運ぶためです。そして、全身のコレステロールが過剰になると、動脈硬化などが生じ、健康に良くないというイメージがあるからです。

動脈硬化を引き起こすのはコレステロールではなく、コレステロールの酸化による血管内での蓄積です。コレステロールもLDLも悪者ではないのです。

コレステロールよりも油の質にこだわるべき

同じ脂質であっても、コレステロールでなく本当に注意すべきは、サラダ油(植物油脂)の摂り過ぎです。サラダ油は炎症を促進する作用があるほか、体内の酸化も促します。

市販のサラダ油は、「スーパーに並んでいる段階で酸化されている」とされています。そのため、調理にサラダ油を使うことによって、過酸化物質を体内に摂り入れ、コレステロールの酸化を進めてしまうのです。

また、惣菜や菓子、コンビニ弁当などにも多くサラダ油が使用されています。それらは、調理されてから時間が経っているので、油の酸化度合いは高いといえます。

逆に油の中でも魚油(DHA・EPA)は、炎症を抑制する作用があります。また、赤血球や血管をしなやかに保ち、血液の流れをスムーズにすることで、血管内の滞りや傷を修復します。DHA・EPAのこういった作用によって、酸化コレステロールが血管内に蓄積するのを防ぐことができます。

このように、動脈硬化を防ぐには、サラダ油による体内の炎症や酸化を防ぐことが重要です。さらに、DHA・EPAの摂取により炎症を修復し、コレステロールが集まらないようにして、酸化コレステロールの蓄積を防ぐことも必要不可欠です。

コレステロール値が高い場合はどうすれば良いか

ここでは、コレステロールとは何かということから、コレステロールの働き、重要性を確認してきました。コレステロールは、ホルモンや細胞膜など身体の機能を調整する重要な成分であり、胆汁といった栄養素の消化吸収に欠かせない消化液も作ります。

血液検査でコレステロール値が低いと喜ぶ人は多いですが、それは注意が必要です。生理前のイライラ・不調・冷え・不妊・肩こり・疲れなどはコレステロール不足によって引き起こされている可能性があります。

それらの不調の原因は、コレステロール不足による、女性ホルモン生成量の低下や、必要なビタミンの吸収不良などです。

ただ、血液検査でコレステロール異常となった場合は、まず肝臓のダメージの原因となる加工食品・アルコールなどの摂取を控え、体内の酸化防止を考慮した生活を送るようにします。また、細胞の炎症が起こるとコレステロールが多く運ばれるので、炎症の原因となる砂糖や植物油脂の摂り過ぎも避けるようにします。

そして、DHA・EPA(魚油)の摂取により、血液の流動性を良くし、炎症を修復できる体内を保つことも重要です。血管内を血液が流れやすくなることで、酸化コレステロールの蓄積を防ぎ、コレステロールの回収もスムーズに行われます。

このように、コレステロールが高値と診断されても、すぐに薬や特定保健用食品に頼らず、普段の生活習慣を見直すことから始めましょう。