「美容に効果的な栄養素」と聞くと、ビタミンCやB群をイメージする人は多いかと思います。「ビタミンやミネラルが美肌に良い」のは一般的に知られていても、「油が美容のために必要」なことは広く認知されていません。

20~50代の女性を対象に「美容に関する意識調査」を実施したところ、自身に当てはまる項目として、1位「痩せたい」66.5%、2位「肌のキメを整えたい」54.9%、3位「シミ・そばかすを取りたい」54.7%、4位「毛穴をなくしたい」52.3%と肌の悩みをかかえている人は多いです。(ヤフー株式会社・株式会社インテージ共同調査/472名対象)

また同調査で、美容のために心掛けていることの問いに対して「野菜を積極的に摂るようにしている」「脂っこい食事を控えるようにしている」という回答が目立ちました。

こういったことからも、美容に対して野菜は意識していても、油はマイナスイメージが強いことが分かります。

ただ、適切に油を摂取すれば美肌になります。そこで、美肌をつくる油について確認していきます。

肌のキメに必要な油

肌のキメは「肌を拡大したときに見える溝(皮溝)が、交差し合ってできた膨らみ(皮丘)」によって左右されます。この膨らみが細かければ細かいほど、キメが整い奇麗な肌になります。

また、反対に皮溝の幅が広く皮丘の高さが不揃いだと、光の跳ね返りがバラバラで、肌はくすんでみえます。

キメが細かい肌とは、「肌細胞がしっかり作られているという肌」を指します。つまり、古くなった細胞から新しい細胞へどんどん生まれ変わることができている状態です。

「肌のターンオーバー」という言葉を聞いたことがあるかと思います。まさしく、ターンオーバーが「肌の細胞の生まれ変わり」のことなのです。ターンオーバーは肌の新陳代謝とも呼ばれています。

人の身体は約60兆個の細胞でできています。その細胞は、1日約1兆個ずつ生まれ変わっているとされています。肌のターンオーバーを活発にして美肌を目指すには、「細胞の生まれ変わる力」をしっかりつけることが重要になります。

そして、新しい細胞の材料となるのが脂肪酸(油)です。もちろん、たんぱく質もビタミン・ミネラルも必要不可欠です。しかし、脂肪酸は細胞を作り出す鍵を握っています。

具体的には、脂肪酸は細胞膜を形成します。細胞膜とは、細胞の一番外側の壁のことであり、「栄養や酸素を取り入れる」「細菌やウイルスが細胞内に入るのを防ぐ」「老廃物の排泄をする」「情報を伝達する」といった役割を果たします。

そのため、細胞膜の原料である脂肪酸が不足すると、細胞に必要な栄養がしっかり取り込めなくなり、正常な働きをする細胞が作られなくなります。栄養をしっかり取り込める細胞膜をつくる脂肪酸は、DHA・EPA(魚の油)です。これらは、細胞膜を柔軟にするのです。

逆にサラダ油、加工食品や惣菜の含有油脂、加工油脂、肉の脂などは細胞膜を硬くし、働きを弱めます。

細胞が活性化され、肌のターンオーバーが正常化されると、古い角質が剥がれ新しい肌へと変わります。肌のキメの細かさを得るには、細胞膜を整え、細胞に栄養を満たすことが重要なのです。

肌のシミや炎症を取り去るには

肌にできてしまったシミをどうにかして取りたいという思いを持っている人は多いです。このとき、エステや皮膚科に行き「レーザー処置などを実施しないとシミを取り除くことはできない」と思っていないでしょうか。

まず、「肌のシミはどのようにできるか」について説明します。肌に炎症が起きると、肌を守るためにメラニン色素が作られます。炎症は「糖質(砂糖・小麦粉など)・サラダ油・加工食品などの摂り過ぎ」や「睡眠不足・ストレス」が原因となり、細胞が傷つくことで起こります。

メラニン色素は排出されない限り、肌に蓄積され続けます。メラニンは黒色の物質であるため、これが肌に残ることでシミとなるのです。そして、肌のターンオーバーが崩れていることで、シミは肌に残ります。

また、肌細胞の炎症はコラーゲンなどを変性させて、シワの原因にもなります。

シミ対策には、「炎症を抑制すること」「ターンオーバーの正常化」「紫外線対策」が重要になります。サラダ油や糖質が炎症を促進させてしまうものに対して、DHA・EPAは炎症を抑制修復するものです。

前述の通り、ターンオーバーの正常化には、肌細胞を囲っている細胞膜を柔軟に保つことがポイントです。それには、DHA・EPAが欠かせません。ターンオーバーで肌細胞が生まれ変わることにより、古くなった肌角質が剥がれ落ちます。

また、メラニン色素は紫外線を浴びることでも作られるので、外に出る際の紫外線対策も必要となります。肌細胞の炎症によってメラニン色素は発生しますが、本来は「炎症から身体を守る」という目的で作られます。

同様に、「紫外線の害から身体を守る」ために、紫外線を浴びてもメラニン色素が作られるのです。

つまり、メラニン色素は皮膚がんになるのを防止するという役割もあるのです。このように「身体をさまざまな害から守る」ためにメラニン色素は作られるわけですが、シミの原因になるのは事実です。

少しでも「紫外線から肌を守り、炎症を起こさないような食事を心掛ける」ことがシミを作らないためには必要です。「DHA・EPAの摂取で炎症を抑制し、肌細胞にしっかり栄養を満たす」ことで、ターンオーバーの正常化を目指しましょう。

ニキビにも有効なDHA・EPA

さらに、ニキビに対してもDHA・EPAは有効です。

糖質(砂糖・小麦粉・ご飯粒)・加工食品・惣菜・サラダ油を使用した料理や菓子・肉などを多く摂取することによりニキビができます。それらを食べていることで、体内の血液はドロドロした状態になり、肌の毛穴にもドロドロした皮脂が溜まるからです。

そのような皮脂が「毛穴を塞ぎ、炎症を起こす」ことでニキビとなります。

本来、肌を守るには皮脂が必要ですが、「毛穴からしっかり排出されるサラサラした皮脂」がニキビのない美肌をつくるポイントになります。

DHA・EPA(魚油)は、皮脂をサラサラに保つ効果があるので、ニキビができにくい肌へと導いてくれます。また、DHA・EPAは炎症を抑制してくれるので、ニキビ跡にも有効です。

「テカリ」と「ツヤ」の違い

肌トラブルといわれるシミやニキビには、DHA・EPAが有効であることが分かりました。では、みずみずしい肌の象徴である「肌のツヤ」について確認していきたいと思います。

肌が乾燥すると、肌からの水分蒸発を防ごうとするため皮脂がたくさん分泌されます。皮脂と水分により「ツヤがある肌」となるわけですが、「ツヤ」を出したいのに、「テカリ」になってしまうと悩んでいる人は多いです。

ツヤがある肌は「水分がしっかりあり、サラサラした状態の皮脂が内側から分泌されている」ことで作られます。

オイリー肌と呼ばれる肌のテカリは、「水分不足により肌が乾燥しているにも関わらず、テカテカするから」という理由で「クリームなどで保湿していない場合」に起きます。保湿しないと肌からの水分蒸発が進み、よけい皮脂が分泌される肌になってしまいます。

また、水分が不足している肌というのは、肌細胞にしっかり水分や栄養が満たされていない状態です。肌細胞を水分と栄養で満たすには、「細胞膜を柔軟にして細胞内にしっかり水分・栄養を取り込む」ことが重要になります。

上述の通り、細胞膜を柔軟にする油はDHA・EPAです。また、逆に細胞膜を硬くしてしまう油は「加工食品や惣菜の含有油脂」「サラダ油」「加工油脂」「肉の脂」などです。それらを多く食べていると、細胞内に必要な栄養や水分が取り込みにくくなり、また、細胞内の老廃物を排出できなくなります。

そのため、「細胞膜を硬くしてしまう油」を含む食品をよく食べていると、肌の水分不足が起き、ツヤがない肌へとなるのです。「肌のくすみ」といわれている状態も、肌細胞に老廃物が溜まっていることで起きます。

そこで「ツヤがある肌」を作り出すには、血管・血液・肌細胞全てがしっかり機能しなくてはなりません。体内の血管をしなやかな状態に保ち、血流を良くすることで、身体の隅々まで血液に乗って栄養や水分や酸素が運ばれます。

また、肌の下を通っている毛細血管の血行も良くすることで、顔色が良くなります。そして、肌細胞に栄養を満たすことで「ツヤがある肌」に仕上がるのです。

血管・血液・肌細胞の全てを良好にするものがDHA・EPAです。魚にはDHA・EPAのほか、良質なたんぱく質・ビタミン・ミネラルが含まれています。これらも肌細胞を作るために重要な栄養素となります。美肌を心掛けるときは、1日1回魚料理を食べるようにしましょう。

さらに、水分摂取も忘れてはならないポイントになります。美肌のための1日水分摂取量は、体重1㎏あたり40mlが理想です。体重50㎏であれば、1日あたり2Lが目安となります。500mlペットボトル4本分です。

水分の内容としては、体温に近い温度のミネラルウォーターが良いです。冷たすぎると、内臓を冷やしてしまい、新陳代謝の低下につながるからです。

また、コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料、糖分入りジュース、アルコールなどは、水分補給に適しません。利尿作用(おしっこの量を増やす作用)により、体内の水分を排出させてしまうからです。特に糖分入りジュースは、含まれている糖によって肌の老化を引き起こします。

毎日の水分補給と魚の摂取を心掛け、ツヤのある美肌を目指しましょう。

ココナッツオイルが美肌を保つ

ここまで、美肌を作るためにはDHA・EPAの摂取が必要であることを確認してきました。油といえば、肉の脂、乳脂肪、サラダ油、加工油脂など種類がたくさんあります。このうち、DHA・EPA以外に美肌のために必要な油はあるのでしょうか。

美肌を保つには、女性ホルモンの分泌を整えることも重要になります。そこで必要になってくるのがココナッツオイルです。ココナッツオイルとは、その名の通りココナッツから抽出された油を指し、身体や脳に有益な効果があると報告されています。

植物性油には珍しく、ココナッツオイルは固体の状態が存在し、酸化しにくいという特徴があります。肉の脂と乳脂肪とおなじように、約23~25℃以下では固形であり、それ以上では液体になるのです。

家庭でココナッツオイルを使う際、常温保存にしていると、夏は液体であるのに対し、気温が下がり冬になるとカチコチに固まっているといった経験をするかと思います。このように、ココナッツオイルや肉の脂などは「気温によって固体になる」「酸化しにくい」といった同じ特徴をもちます。

しかし、肉の脂とココナッツオイルは同じ特徴をもつ仲間でも、肉の脂は「長鎖脂肪酸(構造が長い)」に分類され、細胞膜を硬くしたり、血液をドロドロにしたりと、身体に良い影響をあたえません。

肉の脂に比べココナッツオイルはエネルギー源として使用されやすい「中鎖脂肪酸」を多く含みます。中鎖脂肪酸は身体に対しあらゆる効能があるといわれています。以下では、中鎖脂肪酸を含むココナッツオイルの美肌につながる効能を紹介します。

〇ココナッツオイルの持つ「ラウリン酸」は腸の働きを活発にする。その結果、老廃物の排出、栄養の吸収がスムーズにいき、優秀な肌細胞がつくられる

〇肌細胞を傷つけ老化を促進させる「活性酸素」の抑制

〇代謝を良くし、肌のターンオーバーを促す

〇女性ホルモンを整える

このようにココナッツオイルにはさまざまな美肌効果があるといわれています。特に、女性ホルモンをしっかり作り出すことは重要です。女性ホルモンは「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種で調節されています。

体内では「コレステロール→プロゲステロン→エストロゲン」と代謝されます。エストロゲンはコラーゲンを増やし、水分を保持する役割があるため、「美肌ホルモン」とも呼ばれています。一方プロゲステロンは、皮脂の分泌を促します。

プロゲステロンは排卵から生理前にかけて分泌されます。そのため、生理前にニキビができやすいという人は、ドロドロ状態の皮脂がプロゲステロンにより分泌されていることが分かります。このため、プロゲステロンは女性にとって敵のように思えます。

しかし、それは誤解です。プロゲステロンも体内では重要な働きをします。プロゲステロンが不足すると、不妊や甲状腺機能低下、片頭痛、疲労感、気持ちの不安定などを引き起こします。

いずれにしても、美肌作りにはこの2つの女性ホルモンがバランス良く分泌されることが重要です。ココナッツオイルを補い、女性ホルモンの分泌を促しましょう。

しかし、ココナッツオイルを購入する際は注意点があります。それは、その抽出方法です。他の油と同様に、ココナッツオイルには「精製して作られたもの」と「エキストラバージン」のものがあります。

当然、精製して作られたものは、その過程で漂白や脱臭などの化学処理を行なっているため、本来の栄養が失われています。一方、エキストラバージンでは生の実から油分を搾り取ったものになります。

そのため、ココナッツオイルを購入する際は、「エキストラバージンココナッツオイル」と記載されたものを選ぶようにしましょう。

上記の写真のように、extra virgin coconut oil(エキストラバージンココナッツオイル)の記載を確認しましょう。

DHA・EPAは老廃物の排出力を高める

ここまで、油の摂取がどのように美肌作りに関わるのかみてきました。美肌を作るには、「身体に何を取り入れるか」も大切ですが、「いかに身体から不必要なものを出すか」も重要なポイントとなります。

まず、老廃物はどこから排出されているのでしょうか。老廃物は便(75%)、尿(20%)、呼気・汗・垢(5%)から出ていくと言われています。つまり、圧倒的に便からの排出が多いのが分かります。

老廃物の排出がスムーズに行われないと、身体に必要な栄養や水分が細胞内に入っていきません。そのため、DHA・EPAの摂取で細胞膜を柔軟にし、老廃物が出ていきやすい細胞にすることが必要です。そして同時に、腸内環境と整え、便をしっかり排出できる腸にしておくことも重要になるのです。

便をしっかり出すには腸だけでなく、胃での消化もポイントになります。胃が食べ物を消化しやすいように「よく噛む」ことが「胃腸での消化→吸収→排便」の一番の基本となります。よく噛まずに食べ物が胃から腸へ送られていくと、良い便が作られないだけでなく、せっかく食べた物の栄養も吸収しにくくなります。

そして、乳酸菌(納豆・ヨーグルトなど)、食物繊維(野菜・果物・海藻など)、DHA・EPA(魚油)などを摂取し、腸内環境を整えることも心掛けましょう。

「腸の状態=肌の状態」ともいわれているように、胃腸を整え、老廃物の排出力と栄養の吸収力をつけましょう。

サラダ油の摂取が美肌を遠ざける

DHA・EPAが美肌を作るには欠かせないことが分かりました。しかし、体内でDHA・EPAと逆の働きをして、肌荒れを起こしてしまう油も存在します。それは、「サラダ油や加工食品の含有油脂」「惣菜の油脂」「加工油脂」「肉の脂」です。

これらは、血液をドロドロにし、血管を傷つけることで、栄養を肌細胞に届きにくくします。さらに、細胞膜を硬くするので、肌細胞内に栄養・水・酸素を取り入れにくくします。

現代人はこれらの油を過剰摂取しているといわれています。せっかく魚の摂取を心掛けてDHA・EPAを取り入れていても、サラダ油などの摂取が多くては美肌につながりません。

サラダ油は身の回りのあらゆる食品に含まれていますので、美肌を目指すのであれば油の摂取のバランスを注意する必要があります。

身体を酸化から守る

美肌のために必要なもの、避けたいものを紹介してきました。ただ、美肌を作るには、もう一つ欠かせないポイントがあります。それは、老化の原因となる酸化です。

アンチエイジングという言葉は、聞いたことがあるかと思います。アンチエイジングは抗老化という意味です。細胞は老化すると、本来の機能を果たしてくれません。

老化の原因はストレスや運動不足などさまざまありますが、「酸化」と「糖化」が大きな原因となります。酸化とは活性酸素により体内の細胞が傷つくことです。酸化を予防するには、「酸化された油を摂らない」ことと「抗酸化物質を積極的に摂り入れる」ことが必要です。

油は酸化しやすいことで有名です。美肌作りに必要なDHA・EPAも酸化しやすい油です。また、サラダ油・加工食品の含有油脂も酸化しやすいです。酸化してしまった油を摂り入れていては、DHA・EPAの効果もなくなります。そのため、魚料理は調理仕立てを食べるようにしましょう。

さらに、野菜や果物に含まれる抗酸化物質は、体内での酸化を防ぐ効果があります。1食に1品は野菜や果物を取り入れましょう。

また、糖化とは「糖質(砂糖・小麦など)の摂り過ぎで血液がドロドロになり、身体中に炎症を起こすこと」を指します。つまり、糖質をたくさん摂取するほど肌が荒れるようになります。糖化も酸化同様、美肌の敵になりますので、糖質の摂り方にも注意しましょう。

まとめ

ここでは、美肌作りに欠かせないポイントをみてきました。美肌に関しては何歳になっても気になるテーマです。スキンケアや紫外線対策など、外からのケアも必要ですが、内側を整えることが基本になります。

「肌細胞へいかに良質な栄養・酸素・水分を取り入れられるか」を考えることは非常に重要です。そのためには、DHA・EPAなどの良質な油を摂取することで細胞膜を柔軟にして、血液に乗って流れてくる栄養を細胞内へしっかり取り入れることが必要です。

肌細胞をしっかりつくることで肌のターンオーバーは正常化して、ツヤのあるキメの細かい肌となります。美肌のための肌細胞を作る基本となる、細胞膜・血管・血液全てをしなやかにしてくれるものがDHA・EPAなのです。

美肌を手に入れるには、サラダ油など肌に炎症を起こして老化を促進させる油を避けましょう。その代わり、魚料理やサプリメントによりDHA・EPAの摂取を心掛けるといいです。