花粉症やアレルギーの症状に悩んでいる人は年々増えています。ある調査では首都圏での花粉症発症率は47%であり、多くの人が花粉による身体の症状を何とかしたいと思っています。

特にスギ花粉に悩まされている人が多く、シーズン前になると花粉症緩和のためにさまざまな方法がテレビなどでも紹介されます。「マスクをつける」「薬を飲む」「ヨーグルトなどの乳酸菌を摂取する」など、少しでも花粉症の症状を和らげたいと対策をしている人は多いです。

また、アレルギー症状をもつ子供も増えています。このように花粉症やアレルギーに悩む人が増えている背景にはさまざまな要因があります。食生活の乱れ・大気汚染・化学物質・ストレスなど生活環境の変化が、花粉症やアレルギーの発症率を高めています。

花粉症やアレルギーの原因がさまざまなように、改善方法も一つではありません。しかし、花粉症やアレルギーが起きる体内でのメカニズムから考えると、体質改善のスタートとして取り入れたいものがあります。それがオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)の摂取です。

ここでは、DHA・EPA(魚油などオメガ3脂肪酸)が花粉症やアレルギーにどのように効果的であるのかを確認していきます。

花粉症が起きるメカニズム

花粉症とはスギ・ヒノキ・イネなどの花粉が体内に入ってきたときに、その花粉を体外へ排除しようとする免疫反応の一つです。主な症状として鼻水・くしゃみ・鼻づまりがありますが、そういった症状により花粉を体外へ出そうとしているのです。

このような免疫反応を「抗原抗体反応」とも呼びます。花粉症の場合、花粉が抗原とされ、抗原に対抗するために体内で作られる物質を抗体と呼びます。抗体は身体を守るためには必要なものでありますが、抗体の生成が一定量を超えた場合に不快なアレルギー症状を引き起こします。

抗体が一定量を超えた状態となっているときに、同じ抗原である花粉が体内に入ってくると、目や鼻の粘膜にある細胞に抗体はくっつき、さらにそこに抗原が結合します。そのように結合された細胞からは、ヒスタミンなどの化学物質が放出されます。

ヒスタミンなどの化学物質は、神経や血管を刺激し、知覚神経が刺激されると、目がかゆくなったり鼻水が出たりするのです。

くしゃみは入ってきた花粉を吹き飛ばそうとし、鼻水は液体によって外に花粉を出そうとします。そして、鼻づまりは、これ以上花粉を体内入れないように、鼻の粘膜が腫れることにより起きます。

このような目や鼻の症状は「ヒスタミンによる炎症」として表れるわけですが、炎症が出やすい人とそうでない人がいます。それが、同じように花粉を吸いこんでも、花粉症の症状が出る人と出ない人に分かれる理由でもあります。

ちなみに、花粉症の症状を和らげる薬として抗ヒスタミン剤がよく知られています。抗ヒスタミン剤は、ヒスタミンが目や鼻の受容体に結合するのをブロックすることで、炎症が起こらないようにしているのです。

ここまでの一連の流れが、花粉により不快な鼻や目の症状が出るメカニズムです。

また、身体の「免疫力」と「アレルギー」は両方とも同じ働きによるものです。身体に症状を出さずに体内に入ってきたウイルスを攻撃してくれる力が「免疫力」とされており、同じ抗原(花粉など)と抗体の反応でも一定量を超えて症状として出てしまうと「アレルギー」となるのです。

つまり、本来であれば身体を守る反応(免疫反応)が、逆に不快な症状を出してしまうのがアレルギー反応になります。

食物アレルギーが起こるメカニズム

アレルギー症状は、抗原抗体反応によって身体に炎症が引き起こされて症状として表れることを確認してきました。ただ、アレルギーは花粉症などに限りません。炎症が鼻の粘膜で起きれば「アレルギー性鼻炎(花粉症)」になりますが、気管支で起きれば「喘息」、腸の粘膜によって起きれば「食物アレルギー」となるのです。

そこで次に、食物アレルギーが起きる仕組みについて述べていきます。食物アレルギーはたんぱく質によって引き起こされます。食品に含まれるたんぱく質は胃で消化されてアミノ酸になりますが、十分にアミノ酸まで分解されたたんぱく質であればアレルギーは起きません。

また、腸粘膜には未消化のものを血液中に入れないようなバリア機能があります。本来の腸粘膜のバリア機能がしっかり働けば、未消化のたんぱく質を血液中に入れることを防げるのです。しかし、現代人は腸粘膜に炎症が起きている人が多いです。

腸粘膜が正常であれば、必要な栄養素だけ腸から吸収されて、血液により全身に運ばれます。ただ、腸粘膜に炎症が起きている状態だと、バリア機能がしっかり働かず、未消化のものや有害なものまで血液中に浸入します。

未消化のものが体内に浸入しても、免疫機能が「排除すべき異物である」と反応しなければアレルギー症状は起きません。しかし、免疫機能が過敏に反応してしまう状態になっている場合、アレルギー反応が起こるようになります。

一度アレルギー症状を引き起こすためにヒスタミンが放出されると、その食べ物は「アレルゲン」として認識されます。その結果、その食べ物(アレルゲン)が体内に入るたびに抗原抗体反応が起こるようになります。

食べ物によってヒスタミンが放出される場所は全身さまざまなので、鼻水・じんましん・目の腫れやかゆみ・息苦しさ・吐き気と全身の炎症として症状が表れます。

また、アナフィラキシーショックという生死に関わる状態を引き起こすこともありますので、アレルギー反応を起こしやすい人は注意が必要です。

ヒスタミンによる炎症が起きにくい身体を作る

花粉症はじめ、アレルギーは免疫反応によって放出されるヒスタミンが炎症を引き起こすことで症状として表れます。では、ヒスタミンによる炎症を起こしにくくして、不快な症状を出さない身体にするにはどうすれば良いのでしょうか。

炎症を起こしにくい身体は、油が鍵を握っています。普段食べ物から取り入れている油は、調理油から肉や魚に含まれている油までさまざまですが、その中で、炎症を起こしやすくする油と炎症を抑制する油があります。

油の名称で分けますと、以下の通りです。

炎症を起こしやすくする油:オメガ6脂肪酸(サラダ油など)

炎症を抑制する油:オメガ3脂肪酸(DHA・EPAなど)

このように体内では全く逆の働きをする油が存在します。オメガ6脂肪酸もオメガ3脂肪酸も性質は似ている油ですが、体内での働きは逆です。

オメガ6脂肪酸は、主にサラダ油に多く含まれていています。調理用のサラダ油だけでなく、加工食品やお菓子の原材料として使われている「植物油脂」と記載されているものは、オメガ6脂肪酸が多いです。外食やコンビニで使用されている油も、ほとんどが植物油脂です。

そのため、私たちは無意識にオメガ6脂肪酸を過剰摂取しがちなのです。オメガ6脂肪酸に比べ、意識しないと不足しがちになる油がオメガ3脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は主な摂取源として魚の油(DHA・EPA)があります。

亜麻仁油やエゴマ油、クルミなどにもオメガ3脂肪酸に分類されるα‐リノレン酸が含まれています。α‐リノレン酸は体内でEPA、DHAに変換されます。しかし、その変換率が0.2~15%とわずかであるため、オメガ3脂肪酸の摂取源としては期待できません。

では、DHA・EPAなどオメガ3脂肪酸はどのようにして炎症を抑制するのでしょうか。

オメガ6脂肪酸を摂取すると、体内でアラキドン酸という脂肪酸へと変換されます。体内に引き起こされる炎症は、アラキドン酸が引き金となって起きます。アラキドン酸は細胞膜に入り込むと、炎症を促進する物質の原料となります。

つまり、オメガ6脂肪酸は炎症誘発物質(アラキドン酸)へと変換されるため、アレルギーをはじめとした炎症反応が起こりやすくなるのです。

それに対して、オメガ3脂肪酸は、アラキドン酸の生成や働きを抑制します。その結果、炎症が引き起こされるのを邪魔するのです。

なお、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、構造や性質が似ているため体内では入り込む場所を取り合っています。いわば、この2つの脂肪酸は「椅子取りゲーム」をするかのように、体内で場所を奪い合っているのです。

つまり、オメガ3脂肪酸の摂取量が多くなれば、オメガ6脂肪酸は細胞膜に入りこむことができず、炎症が抑えられます。

また、オメガ3脂肪酸はオメガ6脂肪酸の邪魔をして炎症を抑制するだけでなく、オメガ3脂肪酸自体も炎症抑制に対して働くことが分かっています。オメガ3脂肪酸は、炎症反応を終わらせる物質となることにより、体内に起きている炎症を修復するということです。

このように、オメガ3脂肪酸は「オメガ6脂肪酸の炎症促進作用を邪魔する」「オメガ3脂肪酸それ自体の作用によって炎症を抑制する」という2つの作用によって、体内の炎症反応が抑制されるのです。

炎症を起きにくくするオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の摂取バランス

ヒスタミンによる炎症を起きにくくするためには、オメガ6脂肪酸の摂取を控え、オメガ3脂肪酸を積極的に摂取する必要があることを確認してきました。では、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸はどのぐらいのバランスで摂取すれば良いのでしょうか。

「オメガ6脂肪酸のアラキドン酸によって炎症が起こるのであれば、オメガ6脂肪酸を摂らないようにすればよい」と思われるかもしれません。しかし、オメガ6脂肪酸も身体にとってはなくてはならない油です。身体にとって害のあるウイルスや菌が浸入してきたときは、炎症を起こして外に排除する必要があるからです。

オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸の摂取目安は1:4とされています。この比率は厚生労働省によるものです。しかし、日本脂質栄養学会が推奨している比率は1:2です。体内の炎症を抑制したり、血管疾患を予防したりする有効性を考慮すると、1:1~1:2が理想とされています。

オメガ3脂肪酸は主に魚を食べることで摂取できます。1日に摂取したいオメガ3脂肪酸の量は2.1gのたんぱく質です(成人男性)。これは、サンマであれば1尾、イワシであれば2尾、ブリであれば切り身1枚、サバ缶であれば100g程度食べれば補える量です。

それに対して摂取比率を考えると、オメガ6脂肪酸は1日あたり4g程度の摂取に抑える必要があります。例えば、唐揚げ1つに含まれるオメガ6脂肪酸は2gです。カレーパン1つには4.4g、サラダ油を用いての目玉焼きであれば2.3gのオメガ6脂肪酸が含まれます。

このように、オメガ6脂肪酸はお菓子やパン、加工食品、惣菜、調理油などからすぐ摂取できます。そのため摂取目安量を超え、過剰摂取になりがちです。それに比べ、オメガ3脂肪酸は意識して魚やサプリメントを摂取しなければ補えません。

現代人は「オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸」の摂取比が1:10~1:50になっているといわれています。この脂肪酸の摂取比率の乱れが体内の炎症を引き起こしやすくし、アレルギー症状が増えている原因の一つとなるのです。

また、オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸を摂取するには、注意しなくてはいけないことがあります。それは「酸化」です。オメガ3脂肪酸もオメガ6脂肪酸も、ともに酸化されやすい性質をもつ脂肪酸です。酸化とは、油が「酸素・熱・光」の条件下に置かれることで、脂肪酸の性質を変えてしまうことを指します。

脂肪酸が酸化されると、身体への有効な機能は期待できなくなります。逆に細胞を傷つけたり、血栓のもとになったりするため、酸化された脂肪酸の摂取は避けなくてはいけません。酸化を防ぐには以下の注意が必要です。

①魚料理やサラダ油で調理したものは、調理仕立てを食べる

②惣菜や加工食品をできる限り避ける

③酸化を抑制してくれる抗酸化物質(野菜・果物・魚介・ポリフェノールなど)を積極的に食べる

このように酸化に対しても注意をすることで、身体に有効なオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を摂取できるようになります。

花粉症に毎年悩んでいるという人は、毎日魚を食べたりサプリメントを利用したりして、オメガ3脂肪酸の摂取を心掛けてみましょう。炎症しやすくなっている細胞を変えていかなければならないので、摂取後すぐに変化があるわけではありません。花粉が飛び始める数か月前から、意識する必要があります。

私は普段管理栄養士として栄養指導をしていますが、「オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)のサプリメントを摂取しているのに、花粉症がなかなか改善されない」という声を聞きます。話を聞いてみると、そういった人には外食・コンビニ食・お菓子の摂取量が多いという共通点があります。

せっかく炎症を抑制するオメガ3脂肪酸を摂取していても、それ以上にオメガ6脂肪酸(サラダ油)を摂取していては、体内の椅子取りゲームでオメガ3脂肪酸は負けてしまいます。オメガ3脂肪酸の効果を実感したいのであれば、オメガ6脂肪酸の摂取を控えることも意識しましょう。

腸内環境を整える

さらに、花粉症に対しても食物アレルギーに対しても、腸内環境を整えることが症状を緩和させるポイントとなります。アレルギー症状は免疫機能の誤作動によって起きます。免疫細胞は腸内に70%が存在していることから、腸内細菌が免疫機能の鍵を握っているといえるのです。

また、食物アレルギーは未消化な栄養素が腸粘膜から吸収されることで起こりますので、腸粘膜を整えることが重要です。腸粘膜に炎症が起きると腸粘膜に傷がつき、そこから未消化の物質が吸収されます。

そのような腸粘膜に傷がついている状態をリーキーガット症候群と呼びます。リーキーガット症候群になっていると、有害物質や未消化な栄養素が腸から血液中に流れ出てしまいます。

腸内細菌のバランスを整え、リーキーガット症候群を予防改善するためには以下のことに気を付ける必要があります。

①乳酸菌とオリゴ糖を摂取し、腸内の善玉菌を増やす

②食物繊維の摂取を心掛け、排便を促す

③DHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸を摂取し、腸粘膜の炎症を抑制する

④リーキーガット症候群を引き起こすものの摂取を控える

以上のことを意識することにより、花粉症や食物アレルギーの原因となる免疫機能のアップにつながります。また、腸内環境が整うと、アレルギーの症状も軽くなるとされています。

①の乳酸菌とは、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を摂取することで補えます。特にヨーグルトに関しては、厚生労働省の調査でも「毎日100gのヨーグルトを摂取することで、花粉症症状が緩和する」と発表されています。

また、腸内の善玉菌のエサとなるのがオリゴ糖であり、野菜や果物に含まれています。乳酸菌を摂取するのであれば、オリゴ糖とセットで摂るようにしましょう。

②の便通を良くすることは、腸内環境改善には必須条件です。野菜や海藻、きのこ類などで食物繊維を摂取し、さらには水分をしっかり摂ることを習慣にする必要があります。

③の腸粘膜の炎症抑制には、上述の通りDHA・EPAが有効です。どれだけたくさん乳酸菌を摂取しても、腸内に炎症がある状態では有効的な働きができません。まずはDHA・EPAの摂取で、腸粘膜を修復することからスタートしましょう。

④のリーキーガット症候群を引き起こしたり、腸内悪玉菌を増やしたりする原因物質は共通しています。それは、砂糖、精製小麦、酸化油脂、食品添加物、ストレスなどです。普段、甘いものや小麦製品、加工食品をよく食べる習慣がある人は注意が必要です。

また、未消化の物質も腸粘膜を傷つける原因となりますので、食べ物をしっかり消化できるようにしておくことも重要です。まずはしっかり咀嚼し、良好な状態の栄養を胃腸に運ぶことが基本となります。

DHA・EPAの摂取に加え、アレルギー症状の鍵となる腸内環境を普段の食生活から整える習慣をつけましょう。

梅肉エキスがアレルギー症状を和らげる

なお、アレルギー症状に対しては梅肉エキスも有効です。

花粉症緩和に対し、ヨーグルトなどの乳酸菌はイメージつく人も多いかと思いますが、梅肉エキスはなかなかアレルギー症状と結びつかないかもしれません。

しかし、梅肉エキスは直接抗ヒスタミン(ヒスタミンの働きを抑える作用)としての効能があるため、アレルギー症状の重症化を防ぐことにつながるのです。動物実験では、梅肉エキスによるヒスタミン放出抑制率は57.3%となっています。薬の抗ヒスタミン剤は副作用があるのに比べ、梅肉エキスは食品のため副作用はありません。

もちろん花粉症の症状は、梅肉エキスだけ摂取してすぐに改善するものではありません。体内の炎症を抑制したり、腸内を整えたり、身体全体を変えていくことが必要です。ただ、花粉症のつらい症状を少しでも緩和したいのであれば、梅肉エキスを取り入れてみることもお勧めします。

まとめ

花粉症は、原因が花粉にあると考えている人も多いと思います。しかし、もし花粉が本当の原因であれば、世界中の人が花粉症になっています。問題なのは、花粉に対して過剰なアレルギー反応を示す身体にあります。

花粉症のつらい症状を緩和するには、ヒスタミンによって起きる体内での炎症を起こしにくくすることが重要です。炎症抑制の鍵を握っているのは摂取する油のバランスです。炎症を抑制するDHA・EPA(オメガ3脂肪酸)を意識的に摂取し、炎症を促進させるサラダ油の摂取を控えるようにしましょう。

また、DHA・EPAの効果を体内で有効にするのであれば、DHA・EPAの酸化にも注意が必要です。酸化させないように、魚は調理してすぐのものを食べ、抗酸化物質の積極的な摂取も意識しましょう。

さらに、アレルギー症状を抑えるには、腸内を整えておく必要があります。腸内の状態によって免疫システムの働きが変わってくるからです。DHA・EPAの摂取により腸粘膜の炎症を修復することから、体質を改善していきましょう。

食べるものによって体質を変えていくことは、すぐに効果が出ないぶん持続できない人も多いです。しかし、花粉症はじめアレルギー症状は体内を変えていくことで確実に症状の出方が変わってきます。

仕事や生活にも支障がでるアレルギー症状であるならば、そのつらい症状を出している自分の細胞(身体)を変えていきましょう。