魚は脂肪分が少なく、体に良い食品として知られています。しかし、実は魚に含まれる脂肪分にこそ、魚に特徴的で体の健康を促進する栄養素が含まれています。

その魚の脂肪分に含まれている栄養素がよく知られている「EPA」と「DHA」と言われるものです。多くの人は、この言葉自体は聞いたことがあると思いますが、EPA・DHAの2つを明確に説明できる人は少ないです。そこで今回は、魚の脂肪分について解説します。

脂肪をため込む場所

魚に脂肪分が少ないことは、間違いありません。魚肉の主要な成分はタンパク質ですが、本来、タンパク質には味がありません。魚の味を作っているのは、魚肉に含まれるエキス成分と脂肪です。

牛肉や魚を焼くときの美味しそうなにおいは、これらに含まれるエキス成分と脂肪が焼けるにおいによるものです。

魚は全体的には脂肪分が少ないですが、人間と同じで、腹側に脂肪が多くあります。また、赤身魚は筋肉に脂肪をため込み、白身魚は肝臓に脂肪を蓄積しています。そして、この脂肪に魚特有の栄養素が豊富に含まれています。

赤身魚は、筋肉に脂肪が多く含まれているため、魚肉自体に栄養があります。一方、タラなどの白身魚は、肝油が健康に良いとされます。これは、先ほど述べたように、魚の種類によって脂肪をため込む場所が異なるためです。

赤身魚の脂肪は酸化されやすい

魚の脂肪分は比較的少ないということを述べました。しかし、魚の種類や獲れる時季、場所によっては、脂肪分を多く含む魚もいます。特に、太平洋に住むマイワシは脂肪分が多く、肉全体の15~30パーセントが脂肪であると言われています。

このような赤身魚に含まれる油は「多価不飽和脂肪酸」と呼ばれます。油は、ラードやバターなどの常温で固体である「飽和脂肪酸」と、植物油などの常温で液体である「不飽和脂肪酸」の2つに分類されます。赤身魚に含まれる油は、不飽和脂肪酸になります。

不飽和脂肪酸の中でも、赤身魚に含まれる多価不飽和脂肪酸は、すぐに「酸化」されやすい油です。油は酸化すると異様な臭いを発しますが、赤身魚が古くなると、そのような臭いが出ます。

酸化とは、ある物質が酸素と結合することを言います。鉄が錆びるのは、酸化反応の代表的なものです。

そして、人間の細胞でも酸化は問題とされています。老化や肌荒れ、認知症、パーキンソン病、動脈効果などは酸化が関係しているものとして知られています。赤身魚には、このような酸化が起こりやすい油が多く含まれています。

DHA、EPAの役割

これまで述べたように、赤身魚に含まれる脂肪分は非常に酸化しやすいです。しかし、その成分は「DHA」、「EPA」という、誰もが体に良いと知っているものです。

これらはいわゆる「オメガ3系脂肪酸」と呼ばれるものです。

オメガ3系脂肪酸には、さまざまな体への効果があります。その代表的なものが、脳の活性化です。これは、もちろん胎児や乳児、幼児などの子供にとっても大切ですが、高齢者の認知症予防にも好影響を与えます。

その他にも、うつ病やパーキンソン病などは、オメガ3系脂肪酸の不足が発症に影響すると言われています。また、オメガ3系脂肪酸は、エゴマ油や亜麻仁油などにも多く含まれています。

ただ、オメガ3系脂肪酸に共通する特徴として、酸化しやすいという性質があります。特に、空気に触れたり熱したりすると酸化は早まります。そのため、赤身魚でオメガ3系脂肪酸を摂取するのであれば、新鮮なうちに生で食べることが大切です。

魚でオメガ3系脂肪酸を摂取する際の注意点

このように、魚は種類によって脂肪をため込む場所が異なります。そのため、魚の油を摂る場合、摂取した方が良い部分が違ってきます。

また、魚に含まれるオメガ3系脂肪酸は、体にとって必要不可欠なものです。しかし、酸化しやすいという特徴があるため、摂取する際は、調理方法などに工夫が必要です。

なお、

さらに多価不飽和脂肪酸と呼ばれる油は「オメガ3系脂肪酸」と「オメガ6系脂肪酸」の2つに分類されます。この2つのバランスが、体の健康にとってかなり大切になります。

オメガ3系脂肪酸は、前述の通り健康食品などでよく知られる「DHA」や「EPA」などがその代表例です。他にも青魚や亜麻仁油、エゴマ油などに豊富に含まれています。一方、サラダ油などは、オメガ6系脂肪酸が多く入っています。

この例からもわかるように、一般的な食生活をしているとオメガ3系脂肪酸が不足し、オメガ6系脂肪酸を過剰に摂取してしまう傾向になります。

そして、この2つのバランスが崩れて起こる代表的な問題に、「炎症」があります。オメガ6系脂肪酸は炎症を促進し、逆にオメガ3系脂肪酸は炎症を抑制する役割があります。そして、炎症は動脈硬化や老化の原因になると言われています。

そのため、オメガ3系脂肪酸が不足し、オメガ6系脂肪酸が過剰になると、さまざまな病気につながります。例えば、アルツハイマー病やうつ病、統合失調症などの脳の病気や、がん、心臓病、肥満などが代表的なものとして挙げられます。

これらを防ぐためにも、普段の生活でオメガ3系脂肪酸を豊富に含む食品を意識して摂取することと、オメガ6系脂肪酸が多く入っている食品を避けることが大切です。そのため、魚を摂取することは体に良いとされています。

養殖魚と大型魚に関する注意点

魚の中でも青魚や小魚には、とくにオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれていると言われています。また、鮭の油にもオメガ3系脂肪酸が多く入っています。しかし、養殖されている鮭には注意が必要です。なぜならば養殖されている鮭には、さまざまな有害物質が含まれているからです。

例えば、売られている鮭は、だいたいサーモンピンクのきれいな色をしています。ほとんどの人が知らないようですが、この色は合成着色料によって作られた色です。さらに、北米や欧州産の養殖鮭には、農薬やダイオキシンなどが高濃度で蓄積されています。

これは、養殖魚は限られた範囲で生活しているため、海洋汚染の影響を受けやすいだけでなく、エサにも有害物質が濃縮されていることが原因です。

さらに養殖魚は、天然魚に比べて、オメガ3系脂肪酸を豊富に含む「DHA」や「EPA」が非常に少ないことがわかっています。そのため、有害物質を避けるためだけではなく、健康のためにも天然の魚を食べることをお勧めします。

魚に含まれる有害物質にも着目すべき

また、いくら天然といっても、マグロなどの大型魚の食べ過ぎには注意が必要です。これは多くの人が知っていますが、大型魚には有機水銀が濃縮されているからです。

有機水銀は体にとって有毒です。通常食べる程度の魚の量では、体に影響は与えないとされています。しかし、2003年に発表された研究で、わずかな量の有機水銀でも、脳に影響することがわかりました。

このように、魚には体にとって必要な栄養素が豊富に含まれていることは間違いありません。しかし、養殖魚や大型魚は、その栄養素の含有量が少なかったり、有害物質が濃縮されていたりするために注意が必要です。魚を食べる際は、天然モノの小さな魚を食べるように心がけてください。