魚の油に多く含まれるDHAとEPAは脂肪酸の一種であり、体にとってさまざまな好影響を与えることがわかっています。一番よく知られるのが、脳に対する効果です。DHAやEPAは脳の発達に欠かせない栄養素です。

脳の成長が著しい、胎児や子供の知能に関わるのはもちろんのこと、高齢者の認知症発症にも影響すると言われています。

そのため、DHA・EPAは全ての年代の人々に欠かせない栄養素です。DHAとEPAは、豚肉や牛肉、鶏肉などの陸上動物や植物などにはあまり含まれていません。また、その性質も他の脂肪とは異なります。

魚の代用となる食べ物はないと言っても大袈裟ではありません。また、DHAとEPAは、高血圧と骨粗しょう症の予防にも有効であることがわかっています。そこで今回は、DHAとEPAが高血圧症と骨粗しょう症にどのような影響を与えるかについて述べます。

高血圧予防効果

高血圧症は、高齢者の多くが罹っている疾患です。その中のほとんどが病院で降圧剤を処方され、薬によってコントロールされています。また、予防のためによく言われることは、「塩分を控えましょう」ということです。

血液は、一定の塩分濃度を保つ仕組みになっています。そのため、血中に過剰に塩分が入ると、細胞から水分が引き寄せられ、血液成分の濃さを薄める反応が起こります。

血管内に水分が入るということは、血液量が増えるということです。そうすると、自然と血圧は上昇します。これは、ホースの中を流れる水の量が増えると、ホース自体に高い圧力がかかるのと同じことです。

このような理由で、高血圧の人は塩分を控えるように指導されます。

しかし、血圧の上昇には塩分の摂取量だけでなく、排出量も影響します。ある調査では、脳卒中や心筋梗塞が少ない地域の人々は、その他の地域の人たちと比べて、尿中の塩分濃度が高いことが明らかになっています。

そして、尿による塩分の排泄量が多いのは、漁村の人々だったことが分かっています。つまり、魚をよく食べると、塩分が尿と一緒に出やすくなるということです。

これは、魚にカリウムが多く含まれているためです。カリウムは食塩のナトリウムを排泄する作用があります。

さらに、EPA、DHAには、血圧低下作用があります。これは、DHAとEPAに血管を柔らかくする作用があるためです。血管が硬いと、血管内の血液量が増えたときに、血管が柔軟に対応できません。

高齢者の血圧が高いのは、このように血管が硬くなるのも大きな要因です。そのため、魚を食べることは、高血圧と動脈硬化の予防に効果的なのです。

骨粗しょう症予防効果

骨粗しょう症は高齢者の寝たきりの原因になります。骨粗しょう症は骨がもろくなる病気であり、骨折を起こしやすくなります。このときの骨折が寝たきり状態のきっかけになるのです。

骨粗しょう症の原因は、「ビタミンDの欠乏」と言われています。骨を強くするのはカルシウムですが、カルシウムを効率よく吸収するためにはビタミンDが欠かせません。魚にはこのビタミンDが多く含まれています。

また、DHAやEPAはカルシウム量の増加と、カルシウムの骨への付着を促します。ある研究では、DHAのサプリメントを摂取した人は骨質の減少が少なく、骨密度の増加が認められたという報告もあります。

骨強度は、骨密度と骨質によって作られます。そのうちの70パーセントを骨密度が占めているため、病院などでは骨強度の指標として骨密度が測定されます。

良質の油を摂ることで予防できるがん

このように、魚には高血圧と骨粗しょう症を予防する効果があります。その中でも、DHAとEPAは高血圧、骨粗しょう症のどちらにも効果的であるため、ぜひ日常的に摂取したい栄養素です。

 

また、良質な油はがん予防にとっても重要です。がんは多くの人が恐れている病気の1つです。そして、がんは死因の中でも最も数が増えているものです。

がんは専門用語で「悪性新生物」とも呼ばれます。これは、体の外から「悪性の新しい生物」が入ってきた病気という意味ではありません。もともと体を構成していた細胞が、「悪性に新生してしまった」ということで、このような名前がつけられています。

感染症のように外部から侵入するものであれば、それを阻止することで病気を防ぐことができます。しかし、がんは自分の体の細胞が変化することで発生するという、非常にやっかいなものです。

また、がん細胞は血液などによって、さまざまな場所に転移する能力をもっています。

そのため、いくら手術で取り除いても、また新しく発症したり、他の場所に移っていたりします。つまり、手術をしても完全には安心できません。

さらに、手術を行うと、がん細胞の周りにある正常な細胞も一緒に摘出します。そうなると、失われた分の免疫や神経の働きが低下してしまいます。そのため、その他の病気にかかりやすくなります。

つまり手術では、完全にがんが無くなるという保証もなく、さらに手術後の生活の質を下げる恐れがあります。このことを知った上で、治療の選択をすることが大切です。

がんに対する治療には、手術療法とは別に、薬物療法や放射線療法といったものがあります。しかし、これらの治療にも、手術と同じようにさまざまなリスクを伴います。がんの治療を行う際には、このような治療に対する危険性を知っておくことが重要です。

良質の油ががんを予防する

がん患者が増えている要因の一つに、食生活の変化が挙げられます。その中でも脂質は、その種類によって、がんを促進するものと抑制するものがあります。例えば、マーガリンやショートニング、精製した油、酸化した油などは、がんを促進する代表的なものです。これらの油には「トランス脂肪酸」と呼ばれる脂肪酸がたくさん含まれています。

トランス脂肪酸は、全身の細胞の働きを悪くします。さらに「活性酸素」と呼ばれる、遺伝子に悪影響を与える物質を増やす作用もあります。その結果、がんが促進されます。

また、このような油を多く含む食品は、食物繊維が少ない傾向にあります。そのため、腸の活動が低下したり、腸内環境を悪くしたりすることで、大腸がんを発症しやすくなります。

さらに、一般的に売られている植物油は、ほとんどが精製されています。そのような油は、脂肪酸の一種である「リノール酸」を多く含んでいます。リノール酸は、がん細胞を増殖させる「プロスタグランジン」という物質を作り出すことで、がんを促進します。

一方、フラックスオイルや魚油などの、「オメガ3系脂肪酸」を多く含む油は、がんを抑制します。オメガ3系脂肪酸としては、EPAやDHAなどが知られています。

オメガ3系脂肪酸は、先ほど述べた、がん細胞を増殖させるプロスタグランジンの生成をブロックしてくれます。その結果、がん細胞は増えないようになるため、がんの発症が抑制されます。

このように、がんはあなた自身の体の細胞が変化することで作られます。そして、それを防ぐ方法として、フラックスオイルや魚油などによる食事療法がお勧めです。

がんを促進させる油を避けて、逆に抑制する油を積極的に摂ることで、体の細胞ががん化することを防ぎましょう。