歳をとると「肥満」「高血圧」「高脂血症」など、生活習慣病に代表される病気にかかりやすくなります。そのような疾患にかかると、医者から「脂肪の量を減らしなさい」と言われる人は多いと思います。

しかし、実は年齢を重ねるごとに必要な脂質の量は増えてくるのです。もし歳をとるにつれて脂肪の摂取を控えていると、逆に老化を進行させます。そこで今回は、年齢と脂質の関係について解説します。

「30歳」がキーポイント

多くの人に話を聞くと、「30歳」という年齢は、大きなキーポイントになるようです。「痩せにくくなった」「疲れがとれない」などさまざまな体に関する不調が出てきます。見た目でも明らかに肌の張りがなくなってくるのが、20代後半から30歳にかけてです。

長年かけて紫外線を浴びてきた影響で、シミやシワも目立つようになります。また、顔だけでなく、体も緩んできます。

これらの変化は、細胞の新陳代謝の影響によるものです。人の体は約60兆個の細胞でできています。新陳代謝とは、新しいものと古いものが入れ替わることを指します。そして、人間の細胞は、1日約1兆個ずつ生まれ変わっているとされています。

この新陳代謝が落ちてくるのが、20代後半から30歳にかけてということです。

20代前半までは、放っておいても新陳代謝が活発なため、常に新しい細胞に生まれ変わります。そのため、身体的に多少無理をしてもそこまで問題になりません。しかし、20代後半から徐々に代謝のスピードが遅くなるため、古い細胞が占める割合が大きくなります。

そうなると、体の機能が修復されないため、疲れやだるさが残ります。そして、肌や体、脳も老化してくるのです。

新陳代謝に必要なのは脂肪酸

そして、その新陳代謝で新しい細胞の材料となるのが「脂肪酸」です。もちろん、タンパク質の構成要素である「アミノ酸」や微量栄養素である「ミネラル」も必要不可欠です。しかし、脂肪酸はそれらと同等、もしくはそれ以上に大切なものなのです。

具体的には、脂肪酸は「細胞膜」を形成します。細胞膜とは、細胞の一番外側の壁のことであり、細菌やウイルスが細胞内に入るのを防いでいます。また、体内の老廃物を排泄したり、ホルモンの材料を作ったりする役割もあります。

そのため、細胞膜の原料である脂肪酸が不足すると、それらの機能が低下してしまいます。つまり、細胞の働きが悪くなり、免疫力も低下するため病気にもかかりやすくなります。

DHAが成長や美容、老化防止に重要

さらに、脳の60パーセントは脂肪酸でできています。脂肪酸が足りないと脳の働きが悪くなり、集中力の低下などが起こります。また、母乳には「DHA」と呼ばれる体にとって必要不可欠な脂肪が含まれています。

このDHAは、子供の目や神経の発達に欠かせません。また、大人にとっても、シミや老化の原因となる「酸化」を防ぐ働きがあります。

もし母親のDHA摂取量が少ないと、子供の成長に多大な影響を与えるようになります。このような状態では、いくら幼児教育や塾などで教育に力を入れても、DHA不足で脳が活性化されていないため、全く意味をなしません。

そして、とくに0~18歳と65歳以降は意識してこうした脂肪酸を摂取する必要があります。

若いうちは成長期で新陳代謝が活発なため、その分だけ油を摂る必要があります。65歳以降では、そもそも嗜好の変化から脂肪の摂取量が減ります。また、先ほども述べたように、DHAには老化の原因である酸化を防ぐ役割があります。

このような理由から、とくに18歳までと65歳以降は積極的に脂肪酸を摂取する必要があります。

ココナッツオイルを積極的に摂るべき理由

脂肪は全ての年代において意識して摂る必要があることがわかります。とくに10代のダイエットなどによる脂質の制限は成長に多大な影響を与えるだけでなく、20代の美容面にも関係します。このように、脂肪酸は成長、美容、老化防止のためには欠かせない栄養素なのです。

ここではDHAについて述べましたが、同じように体にとって重要な油としてEPAがあります。そこで、DHAやEPAを意識的に摂ることが重要です。

それでは、美容面では他にどのような油がいいのでしょうか。次に、DHAやEPAの他に体に良い油である「ココナッツオイル」について解説します。

ココナッツオイルの効果

ココナッツオイルとは、その名の通りココナッツから抽出された油を指します。ココナッツオイルは、海外では古くから使用されている油です。スリランカでは、6世紀から使用されていたと言われています。また、1960年代の調査では、ココナッツオイルの心臓病に対する効果も報告されています。

その栄養は、体の健康にとって抜群の効果があります。最も特記すべきは、ココナッツに含まれる「ラウリン酸」の免疫向上効果です。ココナッツに含まれる脂肪酸のうち、ラウリン酸が50パーセント以上含まれています。

ラウリン酸は母乳にも含まれている成分であり、子供の成長に欠かせないものです。そのため、妊婦や授乳中の人はとくに積極的に摂る必要があります。

また、植物性油には珍しく、「飽和脂肪酸」の割合が高いことも特徴です。飽和脂肪酸は、約23~25℃以下では固形であり、それ以上は液状です。そして、飽和脂肪酸は酸化しにくいという性質があります。

さらに、飽和脂肪酸の中でもココナッツオイルは体に吸収されやすい「中鎖脂肪酸」を多く含み、エネルギー代謝を高めます。そのため、脂肪の燃焼にも効果的です。

その他にも、細胞を作る材料になったり、活性酸素を抑制したり、脳を活性化させることでアルツハイマーを予防したりと、その効果は挙げはじめるとキリがないほどたくさんあります。

ココナッツオイルは体外からも作用する

ココナッツオイルは、摂取することで体にとってさまざまな効果があります。また、細胞修復力に優れており、スキンケアとして肌に使用することもお勧めです。

海外では、古くから乾燥肌や傷の治療に用いられています。細胞修復効果に加えて、鎮静作用もあるため、日焼け後のスキンケアにも効果的です。油を肌に塗ることに対して、抵抗感がある人がいるかもしれませんが、その効果は明らかですので試してみてください。

このように、ココナッツオイルには体にとって有効な成分ばかりが入っています。ココナッツオイルを積極的に摂らないのは、非常にもったいないのです。

しかし、ココナッツオイルにも注意点することがあります。それは、その抽出方法です。他の油と同様に、ココナッツオイルには「精製して作られたもの」と「エキストラバージン」のものがあります。

当然、精製して作られたものは、その過程で漂白や脱臭などの化学処理を行なっているため、本来の栄養が失われています。一方、エキストラバージンでは生の実から油分を搾り取ったものになります。

そのため、ココナッツオイルを購入する際は、エキストラバージンもしくは、バージンと記載されたものを買うことが大切です。せっかく摂取するのであれば、体に良いものを摂るようにしてください。

美容に効果的な大豆油

また、他に美容に効果的な油として大豆油が知られています。

油に含まれる脂肪酸やその他の栄養成分は、体や脳の構成要素になります。つまり、若々しく健康的な美肌を作る役割があります。そのため、脂質の摂取不足は、美容面にとっても悪影響を与えます。

また、皮膚の表面には「皮脂」という脂肪層があります。その皮脂は、脂肪酸と構造が似ているため、外から油を塗ることで、乾燥を防いだり、肌にハリをもたらしたりします。そこで今回は、美容面に効果的な油について解説します。

油の美容効果

人の皮膚の表面にある皮脂は、皮膚を乾燥から防ぐ役割があります。皮膚は水分が減ってしまうと、うるおいや柔軟性がなくなり、もろくなります。赤ちゃんの肌が、みずみずしく張りがあるのは、皮膚に含まれる水分量が多いためです。

このように、肌は水分を十分に含んでいることで、いわゆる「美肌」といわれる状態になります。そのため、皮膚の乾燥を防ぐことは、美容のためには欠かせないことです。

皮膚の乾燥を防ぐ皮脂は、油の構成成分である「脂肪酸」と似ています。そのため、肌に油を塗ることは、皮脂の役割を補う効果があります。具体的には、「肌の乾燥を防ぐ」「肌にハリをもたらす」「シミやシワ、ニキビ跡などの肌トラブルの解消」などの作用があります。

そして、油は全て食用であり、化学成分や防腐剤、香料などの添加物が含まれておらず100%ナチュラルなものです。そのため、赤ちゃんや敏感肌の人でも安心して使用できます。

また、使用方法も自由であり、クレンジングや、洗顔後に化粧水の浸透を良くする「ブースター」、化粧水後の美容液などとしても使えます。

さらにマッサージオイルやボディオイル、頭皮ケア、アウトバストリートメントなど、さまざまな用途に使用できます。

大豆油の効果

油の中でも、大豆油は美容効果に優れています。大豆油は酸化しやすく、食用としてはお勧めできませんが、スキンケアとしては良い油といえます。油自体の歴史は浅いのですが、大豆油に関する研究は多く行われており、アンチエイジングに対する効果はかなり期待できるものです。

その主な特徴は、肌の弾力を司るタンパク質と、肌の構造を支える結合組織の一種である「エラスチン」を老化から守り、たるみをケアすることです。

エラスチンは、肌の弾力のもととなるものです。また、エラスチンは、もともと量が少ない上に、加齢とともにその機能が徐々に衰えます。紫外線による肌への悪影響は、エラスチンの老化を紫外線が促すために起こるのです。

大豆油はエラスチンの老化を防ぐだけでなく、一度低下してしまった肌の弾力を取り戻す作用があります。そのため、肌のたるみの予防と解消の両方に効果的です。

しかし、大豆油に使われている大豆のほとんどは遺伝子組み換えであるという問題があります。さらに、農薬もたくさん使用されています。人の顔の皮膚は、外からの物質が浸透しやすく、そのような油では、有害物質が肌の中に侵入してしまう可能性があります。

そのため、大豆油を使用する際は、オーガニックのもの以外はお勧めできません。オーガニックとは、農薬や化学肥料を使用せずに作られた農作物のことを指します。オーガニックの大豆が使用されているものであれば、有害物質の心配もいりません。

「油は食用」と考えている人が多いと思いますが、実は美容面のケアとして、とても有効です。使い方によっては、化粧品などより効果がある場合もあります。

しかし、そのまま使用することには、抵抗がある人もいると思います。そのような場合は、現在使っている乳液やクリームに数滴たらすだけでも効果があります。あなたの身近にある油を有効活用し、より健康的な肌を手に入れるようにしましょう。